三十七話
くっ!オレの左腕が疼く!!…………誰だって黒歴史あるよねぇ~
「ご苦労、カイン」
「マスター、お疲れ様でした」
コロシアムを出たところで美女二人の出迎えにオレは思わず笑顔。
いや~気分いいね、これ。
「本当に疲れたよ。まさかあんな奴等が出てくるなんてな」
「収穫はあったろ?カインの相方も中々だったし。あの居合い術は見事な手並みだった」
「やっぱりファラもそう思うか。やっぱりパッと見じゃ実力は分かんないな」
「ですが、さすがマスターです。内容はマスターの圧勝でしたよ」
賞賛してくれるルシスだが、半分は左腕のおかげだから素直に喜べないな。
美女に褒められるのは素直に嬉しいがね。
「あの戦いから察するに左腕は馴染んできたか?」
「あれから二週間経過してようやくな。さっきの実戦で慣らしたが、まだ力加減が難しいのを実感したよ」
ホトに無理矢理、移植された贈り物。
剣鬼の死体で形成された左腕はその材料故か、はたまた剣鬼の怨念でもつまっているのか、凄まじい膂力を持つに至っている。
だがその全てをまだ完全に使いこなせないでいる。
油断してると勝手に動くし、不便な面もある。
それのせいもあり全力は出せないでいる。
…徐々に慣らすしかないか。
「…それで、そっちは儲かったか?」
無論、出場したオレは儲かった。
当面の資金は勿論の事、ファラに借りたカネを返してもまだ余っている。
「もちろん。カインのチームのオッズは中々に大穴だったからウハウハだ」
「ワタシもです。ありがとうございますマスター」
二人も懐が潤ったらしい。
資金稼ぎは順調だな。
「さてどうするか?さっさとこの街を出ていくか?」
「もう一回くらい稼いできたらどうだ?カネはいくらあっても困らんぞ」
「…確かにな。今の内に稼いで後々に備えるか」
「とりあえずマスターの勝利を祝って酒場で乾杯しましょう」
「……そうだね」
嬉々として提案するルシスに、また飲むのかと呆れたが拒否はしない。
何で?
決まっておろうが!美人の誘いを断るなど男の風上にもおけぬわ!!
「今日はどこ行く?」
「昨日の店もいいが、今日はもっと大きい店に行くか?」
「いいね!色んな店を渡り歩く?」
「そういえば以前よく行った酒場は?」
「あれから百年は経ってるけど残ってるの?」
「あの店主の子孫が継いだのは確認してある」
「じゃあ今日は三軒くらいハシゴする?」
キャッキャッと楽し気に会話している美女二人に癒されるわぁ。
(会話内容には全くついていけんが)
さて明日くらいは一日のんびり過ごすか。
未だ明確な目的なんてないし。
明日の予定をたて、はしゃぐファラ達の後に続く。
何か二人は今日だけで五軒くらい飲み渡るとか豪語している……
やっぱ予備に備えた宿屋に避難するか?
確かまだ部屋は空いてたはず…
「ほら、カイン早く行くよ」
ぎゃあーー捕まった!?
「い、いやまだやるべき用事が残っていたような…」
「そんなものは明日だ」
後回しですかー。ですよねー。
「さぁマスターの祝杯ですから、ドンドン飲みましょう!」
いつも以上にやる気ですね、ルシスさん。
ただ本当に祝うならオレをそっとしておいて。
二人のペースで酒を飲んだらオレ死ぬし。
「昨日のは不完全燃焼だったからな。今日は気が済むまで飲みたいな」
あれでまだ!?
「楽しみだね、ファラ」
…誰か生き残る道をオレに示してくれ。
酒は飲めども呑まれるな~




