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剣と龍と神  作者: カナメ
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二十話

メガネ美人。いいよね~…えっ、ロリっ娘?あんまわからん。

現れたのはメガネをかけた銀髪の女性。

その腰辺りまで伸ばした長い髪をまとめる事なく立つ姿に何故か鳥肌がたった。



一言で表せばメガネ美人。

髪の色と同じシルバーのフレームメガネがよく似合っている。

ファラに勝るとも劣らない美人登場に、ついつい美人同士を比べてしまうのは男の性だな。

ファラが力強い、火をイメージした美人なら、あのメガネ美人は繊細な、氷をイメージさせる美人だ。

そんな対極的な美人二人が対峙する。



……あれ、オレ完全に外野扱いか?



「カイン下がれ」



いつになく真剣なファラが離れろと告げた。

その様子をメガネ美人は意外そうに見ている。



「…私の目的はその男の命なのだが?」



発言自体も危ないものだが、メガネ美人の声は氷点下に達する冷たさを思わせ、背筋がゾッとした。



「知ってる。……カイン!」



「は、はい!」



今までにないファラの切羽詰まった声に思わず返事も固くなった。



「最後の修行課題だ、これからはまばたきせずに戦いを見てろ」



最後の?

ファラそれって、

どういう意味だ……?

聞き返す時間もなくファラが動く!

速い!今までに見た事ないその神速に、これがファラの本気かと驚愕。

あっと言う間にメガネ美人の間合いにもぐりこみ、一閃!

それを難なく避けた相手もまた強い!

追撃に移らんとしたファラを



「ルシスの名の元に命じる、姿を現せ虎狼」



メガネ美人…いやルシスが二体の剣獣を召喚し、牽制けんせいした。

そこに現れたのは、三メートルはあろうかと思われる巨虎と巨狼。

どちらも威嚇いかくなどせず、ルシスを守る様に陣取りファラを睨む。



「召喚剣技」



誰に聞かせるでもなくオレは呟く。

召喚剣技とは、契約した剣獣を、こちらの世界に器を用意し使役する剣技だ。

主に器を用意しやすい水や土属性の剣使がよく使う剣技!

何せオレとファラは火属性だから召喚しようと思えば出来るが…苦手だ。

火は一定の形という概念がない。

召喚するには火を固定化するすさまじい魔素の容量がないと難しいのだ。

容量が少ないと召喚出来ても役に立たない、むしろ固定化されないなどの欠点がある。



それに比べ、水属性は氷にする事で固定化し、土属性は泥や砂利、岩などでもそれが容易に実行できる。

だからこそあの二体の巨虎と巨狼が、氷で出来ていると言う事は、ルシスは水属性の剣使と判断できる。

しかし…確かに水属性の剣使が召喚剣技を容易に使えるとはいえ、あの巨獣達から感じる魔素量はすさまじいの一言につきる。

つまりは剣使としての剣位も分かってしまう。

A級剣使かよ!




ちなみオレ達が普段から魔素を集め剣を具現化させるのは召喚剣技の一部とされている。

まあ剣使なら誰でも出来るからあまりそういう認識はされてないが。



ファラは巨獣達を前にしてもひるむ気配はない。

むしろ巨獣達がファラの威圧いあつ気圧けおされている。

しかしルシスはさほど気にした風でもない。

その理由もすぐに分かってしまった。

別にルシスは戦わせる為に召喚したのではない。

剣を具現化する為に召喚したのだ。

つまりは剣獣が二体ということは必然的に……



巨虎と巨狼がその姿形を剣へと変えていく。

その光景は幻想的で美しい。

それぞれが一振りの片刃…確か別大陸では『刀』と呼称された剣の形をとり…ルシスの手へと納まる。

二刀流がルシスの戦闘スタイルか。

巨獣達が剣へと変形したおかげで、妙に場が広くなった気がした。

そのすっきりしたスペースを…ファラが駆ける!

即応するルシスが双刀で迎える。



火と水。



真逆の属性の剣と剣とがぶつかり合い、火花を散らす!

恐らく剣にしてもファラは聖剣、ルシスは魔剣だろう。

基本的に聖剣は体の中で魔素を消費する剣技、強化系の身体能力を上昇させるのが得意で、効果が高い。逆に外へと放出するのは苦手な為、属性剣技は威力が上がりにくい。

そして魔剣はその逆だ。魔素を外へと放出する属性剣技や召喚剣技が得意ではあるが、強化剣技はイマイチ。

どちらも一長一短ではあるが…現在二人の美女が接近戦を繰り広げている状況は……当然、ファラが有利だ。

それをルシスも体感したのだろう、隙を見て間合いを広げ



「属性剣技、氷光ひょうこう



ルシスの右手に握られた、刀の先端から目にも止まらぬ魔素の塊がファラを襲う!

ファラは自身の属性剣技で迎え撃つには、威力が足りないと瞬時に悟ったのか、強化剣技による身体能力上昇により速さでそれを回避!

ルシスの剣技はファラの背後にあった巨木を貫き、消滅。

だが貫かれた巨木は、その部分から周囲を凍らせていく。

ただ貫くのではなく対象の動きも奪うなんて…かすっただけで不利だぞ!



接近戦はファラだが中距離・遠距離戦は確実にルシスが上だ。

それはファラも身にしみて体験済み。

ならばと距離を縮めんとするが



「属性剣技、氷光乱舞」



ルシスはそれをさせない。

今度は双刀の切っ先をファラに向け、剣技発動!

さっきの技名が似てるという事は上位剣技か?

オレの考えは当たった。

……だがその威力は想像以上だった。

先ほどは一つの魔素の塊が光となって細く、一直線に襲ってきたのだが…今回は切っ先から数十にも及ぶ魔素の塊が展開、ファラに逃げ場などないと宣告し同時にくる!

さすがに避けきれないと即断したファラも



「属性剣技、焔塞えんさい



剣技発動!

ファラの前方に壁というより巨大な城壁ともいえるものが防がんとする!

そしてぶつかり合う膨大ぼうだいな量の魔素と魔素!

焔と氷が衝突したせいで蒸気が発生し、二人の姿が隠され、見えない。

そしてようやくそれがなくなり、オレは状況を把握した。

急所は何とか庇ったファラはしかし、その四肢を貫かれ、手足が凍っている。

もはやルシスとファラの勝敗は誰の目から見ても明らかで、ファラに勝てない相手がオレの手に負えないと分かってはいても、オレは剣を手にルシスへと突っ込んだ。



ファラは殺させん!


男にはどんな困難な状況でも、立ち向かわないと駄目な時があるんだよ!諦めんな!!

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