十九話
樹海に突入~
来ちゃった。
来たよ。
来ましたよ。
「ここが…ヴェルジュ樹海。……デカイな」
「大陸にいくつか森はあれど樹海とつくのはここだけだ。当然といえば当然の広大さだ」
だからこそ恐ろしい、そんな広大な樹海には限られた存在しか入れない事に。そんな地にいる樹海の主が。
周囲を落ち着きなく見渡すオレとは真逆にファラはさほどでもない。
至って冷静……に見えたが視線は忙しなく動いてる。
やっぱり緊張してるのか。
当然といえば当然の反応だが。
むしろ落ち着きはらった態度の方が逆に浮くわ。
「……アベルの姿が見えないな」
「もうすでに樹海内部にいるのかもな」
「……よし」
「覚悟は決まったか?」
ファラの問いに頷き、オレは歩き出す。
ファラもすぐに続く。
……突入前、ファラに確認はとった。
本当にオレと一緒に樹海へと入るのかと。
ファラは手をヒラヒラさせて、見届けてやると言ってくれた。
ファラの為にも、自分自身の為にも負けられない!
気合いは十二分!
そしてオレはヴェルジュ樹海へと足を踏み入れた。
入った瞬間、足元にパキッと乾いた音。
何か踏んだ?
足元に視線を向けると、そこには白い固まりが転がっていた。
「これは……人骨?」
「みたいだな。かつての候補者の成れの果てってとこかな?」
オレの疑問にファラの冗談にならない答えが、高まっていた気分を沈下していく。
「うわ、こんな成れの果てはゴメンだ」
「引き返すか?今なら間に合うぞ?」
これっぽっちも本気じゃないファラの軽口に
「まさか。出る時はオレが剣神になってからだ」
オレも軽口を返す。
「それは楽しみだ」
互いに微笑しながら、奥へ進む。
「む?」
目の前の開いた場所にはベースキャンプがはられていた。
「アベルのか?」
しかし置かれていたテントやら物資やらは劣化が激しい。
規模的に小隊クラスか?
「以前の候補者の持ち込んだものかな?」
候補者は同行者も連れていけるから、さほど不思議ではない。
「特に役立つ物はないな」
ファラがつまらなそうに、誰かが残したベースキャンプを見渡す。
「…先を急ごう」
オレ達は樹海の更に奥へと入っていく。
「しかし暗いな。まだ時刻は日中なのに、あまり光が射し込んでこない」
「確かに。奥に行けば行くほどに光が少なくなっているな。油断するなよカイン」
「ファラもな」
互いに周囲を警戒して進む途中、爆発音!
どこからだ?
「今のは?」
「音と振動で察するに東だな。距離までは分からないが」
ファラが東を睨みながらオレの質問に答えた…直後に突然すごい勢いで真逆の方へと振り返る。
西側に何か感じたのか?
オレも西側を見るが…暗くて奥まで確認出来ない。
だがオレに視認できなくとも、すでにファラは動物的な勘で何かを感じとったのか戦闘態勢に移行している。
ならばオレも遅れず剣をかまえる。
しばらくは何もなかった…が音がする。
これは誰かが歩いている?
そして足音の主が、オレ達の前に立った。
誰だよお前!?作者もわっかんねえ、テヘ。




