十六・五話
今回は事後のファラ視点です。行為中のファラ視点?勘弁してくれ…………要望があれば考えておきます。
時刻は早朝。
あの昨夜の激しい行為の後の光景にあたる今現在、中々にヒドイものだ。
ベッドのシーツはくしゃくしゃ、二人の体は汗やら何やらの液体まみれ(むしろ乾いてるから違和感が)だし、部屋の中には雄と雌の臭いが充満している。
『とりあえず室内の換気から始めよう』
すぐに窓を開けて空気を入れ換える。
ちなみに部屋は宿の二階に位置している。三階だったらさほど気にしなくてもよかったのだが……窓を開けた瞬間、対面の建物にいた相手が驚愕の表情を浮かべた。
手にはジョウロらしき物。
つまりはベランダに置いてある花に水をやっていたと推測できる。
そんな驚愕している相手は四十歳くらいの女性。
突然、対面の建物の宿の窓が開けられたので無意識に音に反応した結果が、絶世の美女とも呼べる女性の裸体だった。
その見た事ない美しさは淫らさを感じさせない、ある意味神々しさを放っていた。
思わず同姓なのに見惚れた女性は、ジョウロの中の水がなくなってもしばし、その場でボーゼンと立ち尽くしていた。
正気に戻ったのは、夫に声を掛けられるまでの数十分にも及んだ。
そんな事も意識すらしていないファラは洗面所へと歩く。
とにかく風呂だ。
昨日の時点で浴槽の水は入れ替えてあるのですぐに剣技を発動、瞬時に水が沸騰。お湯へと変わる。
何度か湯を桶にすくい体を流し、体にまとわりついていた液体やらを洗い流す。その後に早速風呂へ入る。
調整したのは自分自身なので湯加減はバッチリだった。
汚れをとりきったと判断し、風呂からさっさとあがる。
じぶんはあまり長風呂はしない性分なので入浴時間は短めだ。
そして洗面所からタオルだけを手にとり出ようとして、不意に立ち止まる。
『せっかく空気を入れ換えて体を洗っても、臭いの元を断ち切らねば臭いままだな』
おもむろに桶に水を汲み、自身の体を拭く以外のタオルも手にし洗面所を出る。
そして未だ眠っているカインの元へ。
別に甲斐甲斐しく尽くす為ではない。
カインの体調がいつも通りなら蹴り起こして風呂へ行かせるのだが……今は、いや当分はムリだ。
昨夜の潜在能力を引き出す際の行為から数時間から数日をかけて、カインは自分自身の潜在能力の負荷に耐えきらなければならない。
人によって数時間で目覚める者もいるが下手をすれば死を招く場合もある。
こればかりはファラにもどうしようもない事だ。
『後はカイン次第だ』
ファラはカインの体を全身くまなくタオルで拭き…強化剣技を使いカインの体を持ち上げ床へ下ろす。
そして宿屋の主人に前もって準備してもらった新しいベッドシーツにかえて、カインを再びベッドの上へ。
古い方は後で自分で宿の主人やら女将に渡せばいいだろう。
再びベッドの上に移動したカインはしかし寝苦しそうにしている。
体の汚れを拭き取ってさほどの時間は経っていないはずなのにすでに汗をかいている。
呼吸も荒い。
ファラの見立てでは期限に間に合うかどうかの微妙な賭けだ。
もちろん、死ぬ可能性はあるが目覚めても満身創痍の状態のままの所に処刑人が現れては殺される。
最長でも期限の一日前に、できれば二日前には目覚めてほしい。
『全てはカイン次第だが』
そう結論してファラは髪と体を拭き服を着る。ふとカインの方へ視線を向けたが
、看病しようがしまいが目覚める時は勝手に目覚める。
ファラは別段気にもとめず、かえたシーツを持って部屋を後にする。
ある人物に会いに部屋を出ていく。
その足取りに迷いはなかった
いや~優しいのか冷たいのか分からん女だねファラは。書いてる作者もわっかんねぇ!




