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剣と龍と神  作者: カナメ
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十五話

やべえ事態です。

さて、寝る準備でもしておこう。



二人一部屋ではあるがベッドは一つしかない。



ツインじゃなくダブルだったからな。

ここしか空いてなかったのだから仕方ない。

師であるファラは勿論ベッドで寝るだろう。

そうじゃなくとも女性を床で寝させるなど、オレがさせないが。

とりあえず毛布の一枚もあれば床でも安眠だ。

野宿に比べてここは天国だ。

いそいそと寝床の準備をしているとファラが洗面所から出てくる音。



「何をしてる?」



ファラの疑問にオレは振り向く事なく



「寝床の準備だよ」



と返事。



「?……何で床に?」



「ベッドにはファラが寝るだろ?」



「あぁ」



「ならオレは床だろ」



「何で?」



ん?

さっきから微妙に会話が噛み合ってないんだが?



「だからファラがベッドなんだからオレは床だろ?」



「一緒にベッドでいいだろ。一人に寝るには広いし」



……ファラは何を言ってるんだ?

ダブルなんだからベッドがデカイのは当たり前だろ。



「あの…な゛う゛あ゛い゛!!?」



噛み合ってない会話内容を修正すべく、オレはそこで初めてファラの方へと振り向き、瞬間意味不明な言語で叫ぶハメになった。



「ちゃんと人間の言葉で話せカイン。何が言いたいかさっぱり伝わらん」



「な、な、な、」



ファラがタオル一枚で堂々と立っていた。

しかもタオルは髪を拭いてるのに使っているので、本来隠すべきであろう部分が丸見え。

裸と変わらない姿でオレの前にいた。



「何で裸なんだよ!?」



思わず絶叫したオレに、しかしファラは恥ずかしがる事もせず



「やかましい」



オレの顔面に蹴りをおみまいした。

派手に床に転ぶオレを追撃せんと接近してくるファラに身構えるが、まあ無駄だった。

仰向けになったオレの腹部に足をのせ、オレを見下ろすファラ。

そんなファラに声を大にして叫びたい。



羞恥心をもて!!



「何で裸かって聞いたな?風呂に入ったからだ。風呂に服を着たまま入る阿呆がいるか?ん?」



「い、いません」



「そうだろ?」



気が済んだのか、足をどけるファラはタオルで体の水滴を拭いていく。

……なんかここまで男として見られてないと逆に吹っ切れるわー。

もはや遠慮なしにファラの裸体を上から下まで拝見する。

やっぱいい体してるわ。

出てるトコは出てるのに無駄のない筋肉。

足はなげぇし、細すぎず且つ太すぎず……ある意味理想の体型の一つに到達したと絶賛していいくらいだ。



「カイン」



そんな理想の体型に見惚れていたオレは、唐突に名前を呼ばれた為



「ふぁい!?」



本日何度目かの変な返事をしてしまった。

それに対してファラの視線はゴミを見るかの様にオレを見下ろす。

ちょ、やめてその眼差し!

クセになるから!



「返事くらいちゃんとした言葉を喋れ。……それよりさっさとベッドで寝ろ」



「い、いやでも…」



「命令だ」



有無を言わさぬ眼力とはこの事か。

まるでアナコンダに睨まれたアマガエルの心境で、オレはそそくさとベッドに寝転がる。

指示に従ったオレに満足したのかファラが頷きつつ…



「って裸で寝る気か!?」



近づくファラに抗議の声を張り上げる。いやいやそれは駄目だろ!



「気にするな」



尚もファラの足は止まらない。



「いや気にしろ!」



あっという間にファラはベッドまで到着。

さっさと寝転がるかと思いきや、またもオレの予想や想像を絶する行動をとってきた。



ファラがオレの上に覆い被さってきたのだ。

オレとファラの距離は目算十センチ未満。

互いの呼吸音が聞き取れる密接距離。

元々の体臭か、はたまた風呂上がりのせいか、ファラからはいい臭いがした。



「あ、あのファラさん?」



このトンデモ状況はなんですか?



「何だ?」



うおっ、まるでさも大した状況じゃないように平然と返された。

次はオレのターンだ!じゃねぇよ!!



「コ、コノタイセイニハ、ナニカイミガアルンデスカ?」



「特にはないな」



カタコトの喋り方すらスルーされ断言された。

うわーオレからかわれてるのかー。

魔性の女だな。

しかし疑問が生じる。

今まで二ヶ月近く旅をしてきたがこんな露骨に悪戯はして来なかった。

いや、修行中だったと考えれば説明もつくか?

いやいや…オカシイ。



いや一つだけ可能性がある。

まさかこれが…?

数少ない手掛かりを求めてファラの発言を思い返す。

……とりあえず聞くだけ聞いてみるか。じゃないと確信もてないし。



「えーと……まさかもしかしてだけど…………これが短期間で強くなるのに必要な事?」



この拷問な様な一時が。

思い付いた最悪(最高)?の可能性の一歩手前を確認したが…



「そんなわけあるか」



と即座に否定された。

ですよねー。

ならもはや残る可能性は一つしかない。



「アタシを抱けば強くなれるぞ」



正に最悪(最高)?の事態だった。

次話は主人公貞操の危機の巻。

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