十話
誰にだって可愛い時期はあるよね。作者のピークは三歳です。写真を見るたびに誰この可愛い子って叫んでます。……どうしてこうなった!?
過去の出来事。
戻りたいような、戻りたくないようなそんな過去。
そこには二人の幼子。
「ねぇお兄ちゃん」
「ん?どうした?」
「剣龍ってホントにいるのかな?」
「いきなりだな。……いるんじゃないかな?剣神が実在してるみたいだし」
「剣神?」
「ああまだ知らなかったか?って偉そうに言ってるオレも昨日父さんに教えてもらったばかりだけど」
「ねぇねぇ、剣神って何?」
「お?やけにくいつくな。興味津々か?」
「うん、早く教えてお兄ちゃん!」
「分かった分かった。剣神っていうのは剣使の中でもスゴく強い人におくられる称号みたいなやつだって、父さんが言ってたぞ」
「しょうごう?」
「うーん何と言えばいいのか……剣使が目指す最終地点だって父さんが言ってたぞ。とにかく強いって事だ」
「お父さんやお母さんよりも?」
「ああもちろん。父さんも言ってたぞ、自分なんか比べられないくらいに強いって」
「へえー!スゴイね!!」
「うん、スゴい。あの父さんより強いんだからな。それでな、その剣神っていうのになるには剣龍を倒す事が条件らしいぞ」
「剣龍を倒す?」
「うん、そうしないと皆が剣神だって認めてくれないらしい」
「ふーん……じゃあさじゃあさ、ボクとお兄ちゃんで剣龍を倒そうよ!そして二人一緒に剣神になろうよ!」
「二人一緒になれるかな?」
「きっとなれるよ!」
「うーんまぁそうかも?でも剣龍って強いぞ」
「お父さんよりも?」
「父さんよりも」
「大丈夫だよ!ボクらもおっきくなったらお父さんと同じぐらい強くなるし、お兄ちゃんと力を合わせれば剣龍だって倒せるよ!」
「分かった。分かったからそんなに興奮するなよ。そうだな、オレとお前が一緒に戦えば剣龍だって倒せるな」
「うん!絶対に倒せる!」
「でも剣龍ってどこにいるんだ?住処を知らないと倒せもしないぞ」
「だいじょーぶ!ボクに任せて!」
「すごい自信だな。何か知ってるのか?」
「お母さんが言ってたよ。寝る前の本で話してくれた」
「それってただの絵本……」
「それでね!それでね!大きい龍はね、えっとえっと…べるじゅじゅかいってトコに住んでるらしいよ」
「……もしかしてヴェルジュ樹海か?聞いた事だけはあるけど」
「えっとね、となりのとなりのそのとなりの国にあるんだって。すごくすごく広い森らしいよ」
「へぇ。しかしすごく遠いな。となりのとなりのそのとなりって。三つも国の向こうなのか」
「だいじょーぶ!おっきくなったらすぐだよ!ひとっとびだよ!」
「ひとっとびか。なら近いもんだな」
「でしょでしょ!」
「よし、ならオレとお前が大きくなって父さんよりも強くなったら、そのヴェルジュ樹海にひとっとびして、一緒に龍を倒すか!」
「うん!」
「そして二人一緒に剣神になるんだ!父さんや母さんもびっくりするぞ」
「村の皆もびっくりするかな?」
「もちろん!アレクやデュラン、マリーおばさんにトーマスじいちゃんだって皆びっくりするぞ!」
「よーし、がんばるぞぉ!」
「はいはい二人とも。頑張るのはいいけどまずはおかずの好き嫌いをなくしなさい。ニンジンやピーマンを残すとお父さんみたいに強くなれないわよ」
「お母さんよりも?」
「もちろん。剣龍はすご~く強いから、二人共このままだとぜ~ったいに勝てないわね」
「うー!ボクがんばってニンジン食べる!」
「ピーマンもね」
「う、うん」
「いい子ね。……カイン、あなたもよ」
「うげー!?」
…………平和な一時。
あの時はあれがずっと続くと思ってた。
ずっとずっと。
下の幼子の会話は全文ひらがなにしようかと迷いましたがやめました。だって読みにくいんだもん。




