不安
騎士家系に産まれた時から自然と進むものだと思っていた。疑う事なく進んだ騎士団勤務といえ、さすがに入団式は緊張する。ドキドキしながら座っていると隣の席に人が来たと思ったら、涙ぐみながら祈っている。ヤバい人なのかな?
「何で祈っているの?」
好奇心に負けた私は話しかけていた。答えを聞いたが、全く理解出来なかった。理解出来ないが面白そうな子に興味が出る。リディアというらしい。家に関係の無い友達は初めてで、仲良くなりたいなと感じる。
配属先発表で青龍騎士団を告げられた時は、兄が手を回したのだと気づいた。家族は昔から過保護で私に凄く甘い。リディアとご飯を一緒に食べる約束をして後でねと解散し、ため息をつきながら青龍騎士団へと向かう。
過保護だが全く優しくなかった。次から次に仕事を教えられパンクしそうになる。やっと終わり待ち合わせ場所に行くと、同じ顔をしたリディアがいて笑ってしまう。同じなんだと安心する。
どんどん酔っていったリディアは隣の人にからみだした。やめるように言っても知らない人といちゃつくリディアを止めるのは大変だった。今まで面倒を見てもらう側だったので、見る側はこんなに大変なのかと反省をする。何とか連れ出し解散をする。帰れるか心配だったけど大丈夫というので信じた。この時家まで送っていれば…と何度後悔したか。
次の日に会ったリディアに凄く謝られて、怪しかったので突付いたら、まさかの頭を抱えてしまう問題のある話だった。まさかあれなら中に戻っていたなんて…。想像以上に危なっかしい子だ。
翌日も昨日一緒だったと聞き、相手は本気なのかな?とは思ったけど、付き合う訳では無さそう。それに職業討伐はダメだ。意味がわからない。出来れば真っ当な人と恋してほしい。
「ラナのお兄さんって団長なの?!」
バレた。黙っていたのに。新人なのに兄団長は重いから気付かれたくなかった。けどアイリス様からと聞いて軽く安心したし、兄が団長だからってリディアは何も変わらなかった。しかも討伐者とアイリス様が知り合い?って事は高位貴族??アイリス様は私以上に箱入りだから、知り合う先何てほとんど無い。騎士団内でも兄が見守っているから変な人にはからまれないし。
「団長今いいですか?」
こっそり兄に聞きに行く。ノアって人知ってますか?驚いて目を見開いている。珍しい。いつも冷静沈着なのに…あぁ少しはって流され仕事だからと団長室から出される。怪しい。
翌日朝の定例会議で衝撃的な事が告げられた。まさか総団長だったなんて…兄が唯一負けを認め仲良くしている人だ。でもやってる事ストーカーじゃない?大丈夫?朝別れて以来リディアと話が出来なくて詳しく聞けなかった。
「「ハルト…」」
家に帰ってきた兄を捕まえて聞こうとしたら声が重なった。お先にどうぞと譲る。
「ハルトの相手しってるか?!昨日ノアの事聞いてきたよな?知ってる子なのか??」
「入団式で隣になって仲良くなった子だよ。2人が出会った瞬間から見てた。総団長って大丈夫な人?!あの人ストーカーみたいなんだけど。」
「急に結婚するって今日わざわざ青龍騎士団へ言いに来た。ストーカー?あいつが女性に執着なんかしないだろ。」
そんな訳ない。執務室を移動させて毎日会いに来る人は執着心が無いわけがない!どんな認識してるのよ!
「え?結婚?!そんなとこまで話進んでるの?」
だから変な新人に騙されてるのかと思って。とお兄様が言う。いやいやいや。
「今日も兄妹仲良しですね。」
「アイリス様!ちょうど良い所に!総団長って大丈夫な人ですか?リディアが心配で!」
「ラナ!ハルトが絶対騙されてるんだよ!」
そんな訳ない!と怒りながらアイリス様を見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「2人とも落ち着いてください。ハルト様は気持ちが悪いくらいリディア様が好きだし、リディア様も執着心強い人に捕まっただけよ。相思相愛っぽいわ。」
良かった。間近で見ているアイリス様が言うならそうなのだろう。お兄様はまだ納得いかない感じでいる。
「あのハルトが?寄ってくる女性を無視し、結婚なんかしたくないと言っていたのに。」
「リディア様を見てずっとデレデレしていたわ。執務室を移動してまで側にいたいのだから相当よね。」
「は?だから移動したのか?上層部が何故だろうと数時間話し合ったあの移動が?!」
数時間も話し合ったんだ…まさかそれがリディアに会うためだ何て正解を誰もわからないよね。じゃリディアは愛されてるんだ。討伐者でも無いし身分はしっかり保証されている。
「あ、アイリス様今度リディアと3人でご飯に行きましょう?リディアが寂しがってました。」
あら嬉しいと約束をしてくれ、お兄様も行きたいと志願したがすぐ断られていた。この2人も仲良いよね。私も相手欲しくなってきたな。また明日リディアの定例会議を楽しみに今夜は眠る事にしよう。




