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ジョブ「魔王」による魔王ライフ!~クラス転移で異世界に行ったらカーストが逆になったので異世界を満喫します!~  作者: 二十口山椒


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朝餉

「おはようございます、璃央様」


 心地の良い声で名前を呼ばれたことで、俺は目を覚ます。


 目の前にはあまり見覚えのないメイドさんがいて誰だと思ったが、頭が回り始めてようやくそのメイドさんのことを思い出した。


「おはようございます、璃央様」

「おはようございます、イザベラさん」


 綺麗な濡れ羽色の長い髪を後ろで結んでいる美人で綺麗なメイド、イザベラさん。


 この国の女性たちは本当にきわどい服を着ており、それはメイドも同じだ。布面積が少ないからメイドではなくエロメイドと言っても問題ないレベルだ。


 さらにイザベラさんはこの国にいる美人な他のメイドさんよりも美人で、女王様にも劣らないほどの美貌を持ち合わせている。


 おそらくは女王様が意図して俺にイザベラさんを当てたのだろう。


 この城に残ったクラスメイトたちは男子と女子限らず全員に専属のメイドさんがついていて、俺にはその中でとびっきりの美貌の持ち主であるイザベラさんがつけられた。


 自惚れではないが、俺は重要なポジションであるとは自負している。


 ……魔王のジョブを得る前だったらこんなことは思わなかった。むしろ自意識過剰だと思って切り捨てていたが、今は俺のことを客観的に見ることができるからちゃんと評価できている。


「朝食のお時間です。ノヴァ様がお呼びです」

「一緒に朝食を食べるんですか?」


 貴族ってそういう風習がないと思っていたんだが、この世界でそれが適応されるとは限らないか。


「はい。とは言え、御呼ばれしているのは璃央様のみです。他の勇者様方は御呼ばれされていません」

「そうですか。分かりました」


 俺だけの時点で何かあるのは明白だが、悪いことではないだろう。


 そう思いながら俺は寝間着から着替えていくのだが、それをイザベラさんがまるで王様にするかのように着替えさせてくれる。


 正直恥ずかしい気持ちはあるが、イザベラさんがやりたいのなら俺は構わないと思いながらイザベラさんに着替えさせられる。


 俺がこの世界に着てきた高校の制服ではなく、ちゃんとステータスがプラスされる装備だった。


 漆黒の生地で統一されている服で、後衛職が着るような服だ。しかも今は着ないが藍色のマントもある。


「……似合ってないですね」


 鏡でその姿を見るが、完全に似合っていないことは分かる。


「いいえ、璃央様にお似合いです」

「そうですか、ありがとうございます」


 イザベラさんは本当に似合っていると思っている様子だ。


 朝の身支度をキチンと済ませた俺はイザベラさんに続いて部屋を出て女王様が待っているであろう場所に向かう。


 昨日晩御飯を食べた場所かと思ったが、違う場所にたどり着きイザベラさんが部屋をノックする。


「璃央様をお連れしました」

「通せ」


 中から女王様の声が聞こえてきて、イザベラさんが扉を開けてくれた。


 俺だけで中に入れば、昨日のダイニングルームではなく居間のような場所だった。


「よく来たな。座れ」

「では失礼します」


 女王様だけが居間におり、女王様に示された女王様の正面の席に座る。


 俺と女王様の前にあるテーブルには朝食が置かれていた。


「食べるぞ」

「はい、いただきます」


 どうして俺だけを呼んだのか、と聞くのは野暮か。というか最初に聞くのはこの時間に疑問を持っていることになる。


 昨日の夕餉のときもそうだが、食べるものは本当においしい。これならこっちの世界で暮らしていけるくらいにはおいしいと思っている。


 肉料理であるが、ちゃんと調味料も使っていておいしい。


 舌が肥えている現代人がこう思うのだから、こっちの世界で文明を発展させることはなさそうだ。


「美味しいです」

「ふっ、そうか」


 料理の感想を言えば微かに笑う女王様。


 どういう笑いかは分からないが不機嫌ではないからどうでもいいか。


 それに女王様みたいな美人を見ながらだと目でも楽しめるから役得というものだな。


「璃央、今日はどうするつもりだ?」


 すでに昨日の夕餉のときから女王様にはこう言われている。


『これからお前たちは好きにしろ。レベルを上げるもよし。戦いを兵士から学ぶもよし。ダンジョンに行くもよし。装備も欲しいものがあるのなら作ってやろう。ただしダンジョン攻略の際は私に言え。そうすればパーティメンバーを編成してやろう。一人で行けば成果が分からないからな、極力一人で行かないようにしろ』


 こう言われているから俺たちは自由に行動するようになっている。


「レベル上げをするつもりです。何をするにもまずは大切でしょうし、試したいこともありますから」

「ほぉ、試したいことか。なんだ?」


 ……秘密にしようと思っていたが、聞かれたのなら仕方がないか。


「モンスターのステータスも奪えるのか。それを試したいと思っています」

「そうか。期待しているぞ」

「はい」


 かなり女王様から期待されているのは分かる。


 俺の力を使えば、おそらくはこの国における問題も解決できそうだから期待しているのだろうな。


 ダンジョン攻略なのか、それとももっと別のことなのか。


 それをこの時間で聞けそうだな。


 あれから特に会話することなく、俺と女王様は朝食を食べ終えた。


「璃央、お前にしかできないことを頼みたい」

「はい、何でしょうか」


 食べ終え、食後のティータイムの最中に女王様がそう切り出してきた。


 やっぱり個別で呼び出したのはこういうことだったか。


「この国には三つの騎士団がある。ソフィーが騎士団長を務めているイーリオス騎士団。それからマギア騎士団に、コロナ騎士団。この三つによってテリオ王国は成り立っている」

「そんなにあるのですか?」

「三つあることはこの国の成り立ちにかかわってくるが、今はいい。三つの騎士団はそれぞれ違う役割を担っている。イーリオス騎士団は相手を殲滅するための強さ。マギア騎士団は様々な状況における魔法的強さ。コロナ騎士団は国を守るための強さ。これでテリオ王国は支えられている」


 イーリオスは太陽。マギアは魔法。コロナは王冠。


 それらがこの国の根底にあることは分かった。


「これから璃央にやってもらいたいことは簡単だ、この三つの騎士団を強くしろ」


 何となく分かっていたことだが、やっぱりそう言われたか。


「分かりました。お引き受けします」

「なんだ、理由を聞かないのか?」

「この国に何か事情があることは分かっています。ですが、それを知る必要はありますか? 自分は女王様に力をお貸しするだけです」

「ふっ、いいな。私が好きな回答だ。まずは昨日受けていなかった魔力をもらうことにするぞ」


 そうだ、まずはそこを受け取ってもらわないことには気が済まない。


「リリー、入れ」

「はい」


 女王様の言葉で少し前から扉にいた人が部屋に入ってきた。


 白銀の長い髪をなびかせ入ってきたのは高嶺の花というのがよく似合う清楚な女性だった。


 ただ、太ももがハッキリと見えるスカートの短さに、胸元も開いて大きい胸が主張されている服はどうにかならなかったのだろうか。


「初めまして、璃央様。私はマギア騎士団の団長、リリーです」

「昨日勇者として召喚された大万璃央です」


 ソフィーもそうだが、騎士団長だけあって一挙手一投足が綺麗だ。


「リリーに魔力を渡してくれ」

「分かりました」


 俺は席から立ってリリーさんに近づく。


 だがリリーさんはこちらに怯えているのがすぐに分かった。


 何ともないように装っているが、俺には分かる。


 ……ふっ、この世界でもこの特技が役に立つとは思わなかった。俺はトップカーストの連中の被害を抑えるためにトップカーストの連中がどう思うのか、どういう機嫌なのか分かるように観察を続けた。


 だから女王様の機嫌だろうとリリーさんの怯えも、人間観察で分かるようになっていた。


 俺はリリーさんに近づくのをやめ、その場で跪いた。


 そして手を差し出してリリーさんが来るのを待った。


 この国が女性だらけのことと、こうしてリリーさんが怯えていることは無関係ではないだろう。何かこの国で問題があったのだろう。


 だからこそ、女王様は騎士団の強化を俺に命じてきた。


 色々と厄介そうではあるが、あのトップカーストが支配する教室よりかはよっぽどマシだし、あいつらが落ちぶれている姿を見れるのなら全然気にならない。


「……お願いします」


 少し待っていればリリーさんがゆっくりとこちらに来て、俺が差し出した手に少し触れてきた。


 そうすることでリリーさんのステータスを見ることもできるがそれはせずに、二千の魔力をリリーさんに付与した。


「これは……」

「できたようだな」


 リリーさんに魔力を付与したことで俺はリリーさんから離れた。


 魔力を二千付与したリリーさんを見れば、さっきよりもかなり魔力が増えていることがすぐに分かった。


「二千でこれほど変わるんですね」

「当然だ。どれほど素質がよくとも、ひとつレベルが上がってもプラスされるのは100ほどだ。だから二千は二十回のレベルアップの価値がある」


 それなのに1000という魔力値を要求してきたのか。


 俺のステータスを見てからとは言え、随分と強かな女王様だ。ただそこまで不快にはならないし、まだまだステータスはある。


 ん? ていうか二千上がってこれだけ分かりやすいってことは、俺がここに召喚されたときはどうだったんだ?


「自分が召喚されたとき、魔力はどうだったんですか?」

「召喚された瞬間は凄まじい魔力の奔流だったよ。だが、すぐにそれは収まった。おそらく魔王のジョブが制御したのだろう。それで分かった、この国に必要な人材は璃央であることをな」


 この国に必要か。


 女王様はダンジョン攻略ではなく、この国を強固にすることを最優先に考えているようだ。


 ただダンジョン攻略をすれば繁栄を約束されるからダンジョン攻略をやってもらうつもりではいるだろうな。


「その期待に応えれるように死力を尽くします」

「あぁ、期待している。もちろん、タダではないぞ。騎士団を強くすればするほど、褒美を取らせよう」

「一つ質問をよろしいですか?」

「許す」

「三つの騎士団のそれぞれの役割は分かりました。では、どの騎士団を優先的に強くすればよろしいですか?」

「優先的に強くする順位はない。どれも重要だ」

「承知しました」


 この感じは、かなり急いで強くした方がよさそうだ。


 相手がダンジョンだけとは限らないっぽいし、俺もそれなりに強くしていた方がよさそうだな。

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