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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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141/195

第141話:責任の所在

帝都ルメニア・軍管区臨時司令室。


重い扉が閉じられる。


室内には、

軍上層部、学院代表、評定庁の監察官。


そして――

アラン・ルクレディア。


空気は、完全に“裁き”だった。


「状況を整理する」


軍上級将官が、低く告げる。


「管理外ダンジョン内にて、

帝国兵十二名が重傷、三名が戦闘不能」


沈黙。


「敵は撤退。

捕縛なし。

成果は、観測ログのみ」


将官の視線が、アランに向く。


「現場にいたのは、君だな」


「はい」


「事前に敵対意思を確認していたか」


「していました」


室内が、わずかにざわめく。


「ならば、なぜ即時殲滅しなかった?」


「殲滅可能ではなかった」


即答。


「可能でなかった?」


将官の声が、低くなる。


「君は第四層で統率個体を破壊している」


「破壊していません」


アランは、はっきりと言った。


「無力化しただけです」


「言葉遊びだ」


将官が、机を叩く。


「敵は明確に帝国へ敵対している。

それを放置したのは、怠慢だ」


「違います」


静かな否定。


「敵は“帝国”に敵対しています。

俺個人にではない」


空気が、凍る。


「何を言っている」


「軍の斉射がなければ、

被害は出ませんでした」


完全な沈黙。


将官の顔色が変わる。


「つまり、帝国軍が被害を出したと?」


「結果として、そうなっています」


一歩も引かない。


評定庁の監察官が、静かに口を開く。


「現場ログでは、

軍の介入直後に敵の出力が急上昇している」


将官が、睨む。


「軍の判断は正当だ。

未確認の敵性個体が存在した」


「ですが」


監察官は、淡々と続ける。


「事前に“最終判断はアランに委ねる”との合意があった」


将官が、舌打ちする。


「学生一人に戦場を任せるなど、正気ではない」


「では」


アランが、静かに言った。


「軍が出てきた結果は、正気でしたか」


鋭い一言だった。


重い沈黙。


「……君は、命令を拒否したな」


将官の声が、低くなる。


「命令は受けていません」


「軍の斉射に合わせなかった」


「状況を悪化させると判断しました」


「その結果が、この被害だ!」


将官が立ち上がる。


だが。


アランも、立ち上がった。


「違います」


声は、低いが震えていない。


「被害を出したのは、

“管理できるはずだ”と決めつけた側です」


空気が、張り裂けそうになる。


リリアは、黙って見ている。


ここは、口を挟む場所ではない。


「君は、帝国の命令を優先しないと?」


将官が、冷たく問う。


「俺は」


一拍。


「帝国の“正しさ”ではなく、

現場の“最善”を優先します」


その言葉が、部屋を切り裂いた。


将官は、静かに言う。


「ならば君は、危険だ」


「承知しています」


迷いはなかった。


「だが、俺を兵器として扱うなら――

もっと被害が出ます」


監察官が、深く息を吐く。


「……本件は、軍と評定庁の合同審査案件とする」


つまり。


この問題は、

派閥戦争に発展する。


将官は、アランを睨み続ける。


「覚えておけ。

次に被害が出れば、

責任は君が取ることになる」


アランは、視線を逸らさなかった。


「次に被害が出るなら、

止められなかった俺の責任です」


その言葉は、重かった。


室内の誰もが理解する。


これは、単なる戦闘ではない。


帝国は、割れ始めている。


外に出たあと。


リリアが、ようやく息を吐く。


「派手にやったわね」


「……始まったな」


「ええ」


軍 vs 評定庁。

学院 vs 軍。


そして――


光 vs 闇。


戦場は、もうダンジョンだけじゃない。


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