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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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136/195

第136話:想定外の同行者

帝国魔導学院・中央塔、控室。


要請を受けたあと、

アランは一人で待たされていた。


出発準備のため、ではない。

判断待ちだ。


それが、今回の任務の性質を物語っている。


扉が、静かに開いた。


入ってきたのは、評定官――

ではなく。


「やっぱり、ここにいた」


リリアだった。


「……どうして?」


アランが眉をひそめる。


「評定官室の前で、名前が出てた」


軽く肩をすくめて、続ける。


「あなたの」


一瞬、沈黙。


「要請、受けたんでしょ」


否定できなかった。


「……ああ」


「やっぱりね」


リリアは、短く息を吐く。


「で?」


「で、とは?」


「単独で行く気?」


アランは答えない。


それが、答えだった。


「はあ……」


リリアは、額を押さえる。


「帝国らしいわね。

一番大事なところで、

一番孤独な判断をさせる」


「危険だ」


アランは、率直に言った。


「今回は、今までと違う」


「知ってる」


即答だった。


「だからこそよ」


リリアは、真っ直ぐにアランを見る。


「あなたの光は、強い。

でも――」


一拍。


「一人で抱えるには、判断が重すぎる」


その言葉に、アランの視線が揺れた。


そこへ。


扉が、再び開く。


評定官だった。


「……話は聞いた」


視線が、リリアに向く。


「君の同行は、想定していない」


「でしょうね」


リリアは、引かなかった。


「でも、必要です」


「理由を」


評定官の声は、冷静だ。


「彼の光は、制御型。

壊さない、均す、抑える」


リリアは言う。


「それはつまり――

迷う余地が常にある、ってこと」


「……」


「だから、判断を補助する人間が必要」


一瞬の沈黙。


「私なら、引き金を引ける」


アランが、思わず彼女を見る。


「でも」


リリアは、続けた。


「彼が“引かなくていい”と判断したなら、

それも止めない」


評定官は、腕を組んだ。


「感情的すぎる」


「いいえ」


リリアは、きっぱり言った。


「戦場で、最も信頼できる感情です」


空気が、張りつめる。


評定官は、アランを見る。


「……君は?」


一瞬。


アランは、静かに答えた。


「彼女がいなければ、

俺は、帝国の想定通りに動くと思います」


それは、

同行を求める言葉でもあり、

自分への警告でもあった。


評定官は、目を閉じた。


長い沈黙。


「……想定外だ」


そう前置きして。


「だが、否定できない」


視線を上げる。


「条件付きで認める」


リリアが、微かに笑った。


「条件?」


「最終判断は、アランに委ねる」


「異論なし」


即答だった。


「それでいい」


評定官は、二人を見比べる。


「君たちは、

帝国の管理外で動く」


「だからこそ」


「生きて帰れ」


それは、命令ではない。


要請ですらない。


願いだった。


廊下に出たあと。


リリアが、少しだけ歩調を落とす。


「……怒ってる?」


「いや」


アランは首を振る。


「助かった」


リリアは、少し驚いた顔をしてから、

いつもの調子に戻った。


「当然でしょ。

一人で行かせるわけないじゃない」


光導槍が、静かに震えた。


拒まれない。

導かれない。


だが――

二人分の重みを、確かに受け止めている。


次の戦場は、

もう“実習”ではない。


それでも。


光は、一人ではない。


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