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最強だと思った光魔法ですが習得が難しいです! ~魔法至上の国でダンジョンに挑む公爵家の落ちこぼれ~  作者: 空木 輝斗


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第119話:試しの第一層

転移の光が引いた瞬間、

乾いた空気が肺に流れ込んだ。


石造りの回廊。

天井は高く、視界は広い。

壁面に刻まれた文様は風化しており、

作為的な魔法陣の痕跡は見当たらなかった。


「……静かね」


リリアが、周囲を警戒しながら呟く。


「第一層だ。

様子見だろ」


アランは、光導槍を構えたまま前へ出る。


足音が、やけに大きく響く。

罠も、仕掛けもない。

ただ――空間だけが、そこにある。


次の瞬間だった。


前方の回廊で、魔力が揺らいだ。


集まる。

固まる。

形を取る。


「来る!」


アランの声と同時に、

人型の影が三体、回廊に現れた。


装備は槍と短剣。

構えは整っているが、動きがわずかに遅い。


(敵意は薄い……でも、攻撃意思は明確)


《ルーメン》


淡い光が広がり、敵の輪郭を縁取る。


揺らいでいた体躯が、はっきりと“定まった”。


「左、来る!」


アランは半歩踏み込み、

相手の槍を柄で逸らす。


力ではない。

角度と間合い。


空いた懐へ、穂先を突き入れる。


光をまとった一撃が、影の胸部を貫いた。


悲鳴はない。

抵抗もない。


影は、そのまま崩れ落ち、霧散した。


「……手応え、軽いわね」


「体力はあるが、反応が鈍い」


次の一体が、横薙ぎに踏み込んでくる。


アランは後退せず、

槍を縦に回して受け止めた。


金属音が響く。


直後、柄を滑らせ、足元を払う。


体勢を崩したところへ、

短い突き。


これも、終わりだった。


残る一体は、獣型へと形を変える。


四足。

低く唸り、一直線に突進してくる。


「正面!」


《ルーメン》を一点集中。


光が獣の頭部を照らし、

輪郭が過剰なほど鮮明になる。


(……見えすぎる)


突進の軌道が、手に取るように分かる。


アランは、半身になってかわし、

すれ違いざまに槍を振り抜いた。


首元へ、正確な一撃。


獣は数歩進んでから、

音もなく崩れた。


静寂が戻る。


「……終わり?」


リリアが、周囲を見渡す。


だが、アランは槍を下ろさなかった。


次だ。


回廊の奥で、

再び魔力が集まる気配。


今度は、五体。


「数を増やしてきたわね」


「確認だ」


アランは、短く言った。


(強さじゃない。

対応力を見ている)


連戦。


敵は次々に現れるが、

連携は甘く、動きも単調だ。


光で見切り、

槍で崩す。


ただ、それだけ。


律に触れる必要はない。

定義する必要もない。


技量が、そのまま結果になる。


最後の一体を倒した瞬間、

回廊全体の魔力が、すっと引いた。


敵の気配が、消える。


「……止まった」


リリアが息を吐く。


前方の石壁が、低い音を立てて開いた。


扉だ。


祝福も、警告もない。

ただ、次へ進めと言わんばかりに口を開けている。


アランは、光導槍を見下ろす。


槍は、静かなままだ。


導かれない。

拒まれない。


(試された……だけ、か)


ここは、第一層。


このダンジョンは、まだ何も語らない。


だが確かに――

進む資格があるかどうかだけは、測っていた。


アランは、一歩、前へ出た。


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