第二章 庇委籠 ⑤
午前7時、本部からの連絡があった。祝音さんの能力が分かったそうだ。それと、今日でこのキャンプ場もお別れをすることになる。祝音さんも一緒にだ。とりあえず、荷物をまとめるか。荷物をまとめていると祝音さんが起きた。
「すみません、起こしましたか?」
「ううん、大丈夫です」
特に変わった様子はないような気がする。祝音さんが起きたし、朝ごはんでも食べようか。そのあとに準備をしよう。
「祝音さん、朝ごはんを食べましょうか」
「はい」
「何にしますか、今日でこのような食事も終わりなので好きに選んでください。」
「う~ん」
祝音さんは少し考えると何か分かったような仕草をした。何かを察したようだ。結構長い時間悩んでいるようだ。そういえば、なんでもいいとか相手の好きなものでいいよとかはあまり良くないってどこかの本に書いてあったような。何か提示するか。とりあえず、朝にがっつり食べるのは違うか。消化の良いものとすぐに活力になりそうなもので軽くの方がいいかな。それで、祝音さんの年で好きそうなものを見ていこう。ごはん、カップ麺、ハンバーグ、パスタ、スープ系……。とりあえず、ハンバーグは違うな。パスタもゆでるのに手間がかかる。カップ麺でもいいが、朝からカップ麺は食べるものなのか?分からない。スープだけは少ないだろう。ご飯も何か一緒に食べる何かが欲しいな。簡単に出来るものがいいな。そうだな、ご飯にしよう。それでお茶を温めてお茶漬けでも薦めてみるか。
「祝音さん、お」
「これが食べたいです」
提示してきたのは、ハンバーグだ。なるほど、朝からがっつり食べる人もいるんだな。
「分かりました」
早速、ハンバーグの準備を始めた。一日目の夜に食べたものと一緒だ。さすがに、ハンバーグだけは、寂しいのでご飯を用意した。ご飯を美味しく食べ終わるとここから離れることを伝えると祝音さんは一緒に片づける準備をしてくれた。テント以外のものを片付け終えた。
「片づけが終わったので私は本部に祝音さんのご両親のことを託してきますので待っていてください。多分ですが、今日の移動は大規模なものになるかもしれませんのでその打ち合わせがあると思うので時間がかかることもあるので何かあればこのスマホで連絡をください」
「はい、……。すぐに帰ってください」
はいのあとは声が小さくてあまり聞こえなかったがなんとなく言っていたことは分かった。
「分かりました」
一言だけ済ませると本部に向かった。
本部に着いた。ご両親の遺体を本部の人に託すと祝音さんの移動計画の打ち合わせを行った。
「えぇ―。本日決行される移動作戦の概要を説明します。用人を担当されている小彼然士が運転する車での移動で目的施設に送ります。その際に、パトカーを含む車で周囲を包囲して送ることになります。通る道に関しては、今日の朝から夜にかけてメディアを通じて一時的な規制を呼び掛けています。それでも、急なのですべての道を封鎖することができないので道路封鎖は一部、高速までの一般道路と高速降りてからの目的施設までの一般道路に絞りました。封鎖時間は30分程度なので、出来る限り予定に収まるようにお願いします。能力「黒独」の効力範囲、効果持続性を考慮して、気密性の高い車での移動なります。想定される危険性はお手元の資料に書かれていますのでご確認ください。想定時間3時間、決行日時本日23時00分の予定をしています。何か不明な点に関してあれば後ほど私によろしくお願いします」
「了解です」
なぜ急な移動作戦を行ったかのかなど疑問点はあるが今はどうでもいいことだな。それよりも祝音さんの能力詳細が出たのか。少し聞いてみようか。祝音さんは自分のことを知りたいと思うだろうし、知る権利があるだろう。
「すみません。今、祝音さんの能力について聞いてもよろしいですか?」
「大丈夫ですよ。祝音さんの能力名は、「黒独」です。能力の詳細は、周囲の生物を死滅させるウイルスを発生させる能力です。体の外ではあまり活動ができないみたいです。効果範囲は、半径2m。対象は植物以外の生物らしいです。まだ確定ではないそうです」
「教えていただき、ありがとうございます。」
「こちらからいいでしょうか?」
「いいですよ」
どうしたのだろうか。何か先の移動計画で伝え忘れがあったのだろうか。
「こちらを祝音さんに渡してください」
「了解です」
女性から袋にいっぱいに詰められたお菓子を渡された。そういえば、祝音さんの年なら甘いものの方が好きか。それに、女性なら同性の好みの味も何となくわかるのか?何にしてもありがたい。持っていくか。
「ありがとうございます。祝音さんが待っているので早く戻りますね」
「お気をつけて」
今夜の作戦で使う車で祝音さんの元に戻った。




