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紗奈と安心の物語  作者: たい


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雪の夜


第四十六話では、温泉旅館で過ごす冬の夜を描きます。


雪景色と仲間たちとの時間が、特別な思い出になっていきます。


夕食の時間になると、


四人は旅館の食事処へ向かった。


窓の外では雪が静かに降っている。


「すごい……」


莉奈は並べられた料理を見て目を丸くした。


「豪華だね」


紗奈も驚いている。


美咲は嬉しそうだった。


「いただきます!」


その勢いに全員が笑う。


料理はどれも美味しかった。


温かい鍋料理。


焼き魚。


季節の野菜。


外の寒さを忘れてしまうほどだった。


「来てよかったね」


莉奈が言う。


「本当にね」


紗奈も頷く。


食事を終える頃には、


外はすっかり暗くなっていた。


四人は部屋へ戻る。


窓の外には雪景色が広がっていた。


旅館の灯りが雪に反射している。


「綺麗……」


誰かが呟く。


しばらく四人は窓際に集まり、


静かに景色を眺めていた。


言葉は少なかった。


けれど不思議と心地よい。


同じ景色を見ているだけで十分だった。


「せっかくだし、部屋の露天風呂も入らない?」


美咲が言った。


「いいね」


紗奈が笑う。


全員賛成だった。


窓の外の雪を眺めながら、


順番に露天風呂を楽しむことにする。


露天風呂から見える雪景色は、


昼間とはまた違った美しさだった。


静かな夜。


舞い落ちる雪。


温かな湯気。


まるで時間が止まったようだった。


「贅沢だね」


莉奈が小さく呟く。


「本当だね」


紗奈も頷いた。


温泉から戻ると、


四人はテーブルを囲んでお茶を飲む。


旅館で買ったお菓子も並んでいた。


「こういう時間好きだなあ」


美咲が言う。


「分かるかも」


莉奈も笑う。


夜が更けていく。


温かいお茶を飲みながら、


四人は思い出話を始めた。


「紅葉の時も楽しかったよね」


美咲が言う。


「湖も良かったです」


悠斗も頷いた。


その時だった。


コクリ。


莉奈の頭が小さく揺れる。


「ん……」


慌てて姿勢を正した。


しかし数分後。


再び、


コクリ。


「眠い?」


紗奈が笑う。


「だ、大丈夫です」


莉奈は答えた。


けれど説得力はなかった。


美咲が吹き出す。


「全然大丈夫じゃないじゃん」


「そんなこと……」


と言いかけた瞬間、


また小さく頭が揺れた。


全員が笑う。


莉奈も照れながら笑った。


「今日はたくさん移動しましたから」


悠斗が助け舟を出す。


「それに温泉も入ったしね」


紗奈も頷いた。


「確かに……」


莉奈は苦笑する。


それから数分後には、


誰よりも先に布団へ入ることになった。


「おやすみなさい……」


少し眠そうな声だった。


「おやすみ」


「おやすみー」


「ゆっくり休んでください」


三人が返事をする。


莉奈は布団へ入ると、


すぐに目を閉じた。


その頃。


莉奈は静かな夢を見ていた。


真っ白な雪景色の中を歩いている夢だった。


紗奈もいる。


美咲もいる。


悠斗もいる。


四人で笑いながら雪道を歩いていた。


「綺麗ですね」


莉奈は空を見上げる。


雪が静かに降っている。


とても穏やかな夢だった。


どこからか水の流れる音が聞こえる。


小さな川だろうか。


夢の中の莉奈は不思議そうに耳を傾けた。


夢の景色が少し揺れる。


けれど莉奈は目を覚まさない。


ただ安心したように小さく寝返りを打つ。


温かな布団。


静かな雪の夜。


仲間たちもすぐ近くにいる。


不安はなかった。


夢の中の莉奈は、


再び雪景色の中を歩き始める。


笑い声が聞こえる。


今日見た景色。


今日感じた温かさ。


そのすべてが、


優しい夢の中へ溶け込んでいく。


やがて残った三人も布団へ入る。


窓の外では雪が静かに舞っていた。


今日もたくさん笑った。


たくさん思い出が増えた。


その余韻を胸に、


四人はゆっくりと眠りにつく。


冬の旅はまだ続く。


明日はどんな景色が待っているのだろう。


そんな期待を抱きながら、


雪の夜は静かに更けていくのだった。


第四十六話のテーマは「安心して眠れる場所」です。


楽しい一日の終わりに、安心して目を閉じられること。


それもまた、かけがえのない幸せなのでした。

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