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紗奈と安心の物語  作者: たい


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お泊まりの計画


第三十三話では、四人が秋の旅行を計画します。


そして美咲の一言から、初めての四人でのお泊まり旅行が決まります。


夏の終わり。


少し涼しくなった夕方。


四人はいつものカフェに集まっていた。


⸻


「気付けばもうすぐ秋だね」


紗奈が窓の外を見ながら言う。


「本当だね」


美咲が頷いた。


湖へ行った日が、もうずいぶん前のようにも感じる。


⸻


「そろそろ次のお出かけを決めませんか?」


悠斗がスマートフォンを取り出した。


その言葉に美咲の目が輝く。


「待ってました!」


⸻


テーブルの上には候補地の写真が並んだ。


紅葉の名所。


山あいの温泉街。


渓谷の遊歩道。


どれも綺麗だった。


⸻


「紅葉、見てみたいです」


莉奈が言う。


紗奈も頷いた。


「私も」


悠斗も賛成する。


⸻


「じゃあ決まりだね!」


美咲が嬉しそうに言う。


四人の意見はすぐにまとまった。


目的地は山あいの紅葉スポット。


電車とバスを乗り継いで向かう場所だった。


⸻


「楽しみですね」


莉奈が笑う。


以前なら遠出の話を聞くだけで不安になっていた。


今は純粋に楽しみだった。


⸻


しばらく予定を話し合っていると、


突然、美咲が口を開いた。


⸻


「ねえ」


三人が顔を向ける。


美咲はにやりと笑った。


⸻


「せっかくだから泊まらない?」


⸻


一瞬だけ静かになる。


⸻


「泊まる?」


莉奈が聞き返した。


「うん!」


美咲は元気よく頷く。


⸻


「紅葉見て」


「温泉入って」


「美味しいもの食べて」


「夜はみんなでおしゃべり!」


⸻


美咲らしい提案だった。


⸻


紗奈は思わず笑う。


「確かに楽しそう」


悠斗も頷いた。


「一泊なら余裕がありますね」


⸻


莉奈は少し驚いていた。


四人で泊まりの旅行。


考えたこともなかった。


⸻


「どう?」


美咲が聞く。


莉奈は少し考える。


⸻


そして笑った。


「行きたいです」


⸻


その言葉に美咲が両手を上げた。


「決まり!」


⸻


四人は笑う。


店内にも楽しい空気が広がった。


⸻


その後は旅館探しが始まった。


景色の良い宿。


温泉のある宿。


食事がおいしい宿。


候補はたくさんあった。


⸻


「迷いますね」


莉奈が言う。


「旅行の醍醐味だよ」


美咲が笑う。


⸻


悠斗は候補を整理していく。


紗奈は写真を見ながら感想を言う。


莉奈も少しずつ意見を出した。


⸻


気付けば外は夕暮れになっていた。


窓の外がオレンジ色に染まる。


⸻


「楽しみだなあ」


美咲が呟く。


誰も否定しなかった。


みんな同じ気持ちだったからだ。


⸻


帰り際。


莉奈はふと思う。


少し前の自分なら、


泊まりの旅行なんて不安しかなかったかもしれない。


⸻


でも今は違う。


楽しみな気持ちの方が大きい。


それが嬉しかった。


⸻


「また連絡しますね」


悠斗が言う。


「よろしく!」


美咲が手を振る。


紗奈も笑顔だった。


⸻


四人はそれぞれ帰路につく。


けれど心は同じ場所を見ていた。


秋の山。


紅葉。


温泉。


そして旅館で過ごす夜。


⸻


新しい旅行の計画は、


静かに動き始めていた。


第三十三話のテーマは「楽しみを増やすこと」です。


目的地だけでなく、その計画を立てる時間もまた楽しい思い出になります。


四人の新しい旅は、ここから始まるのでした。

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