旅館選び
第三十四話では、四人が旅館選びをします。
目的地が決まると、旅行はさらに現実味を帯びてきます。
お泊まり旅行が決まってから数日後。
四人のグループチャットは、これまで以上に賑やかになっていた。
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美咲
「旅館決めよう!」
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紗奈
「早いね」
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悠斗
「候補をまとめてみました」
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その数分後。
悠斗から一覧表が送られてきた。
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「さすがだね」
紗奈が感心する。
「仕事が早い!」
美咲も嬉しそうだった。
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候補は三つ。
どれも紅葉で有名な温泉地の旅館だった。
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一つ目は景色が自慢の宿。
二つ目は料理が評判の宿。
三つ目は静かな山あいにある小さな旅館。
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「全部良さそう……」
莉奈はスマートフォンを見ながら呟いた。
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週末。
四人はいつものカフェで集まった。
実際に相談するためだった。
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「私は景色かな」
紗奈が言う。
「紅葉をゆっくり見たいし」
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「私は料理!」
美咲が即答する。
予想通りだった。
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悠斗は苦笑する。
「分かりやすいですね」
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「だって大事じゃない?」
美咲は真顔だった。
その様子に全員が笑う。
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「莉奈ちゃんは?」
紗奈が聞く。
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莉奈は少し考えた。
そして三つ目の旅館を指差す。
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「ここが気になります」
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静かな山あいの小さな旅館。
客室数も少ない。
落ち着いた雰囲気だった。
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「いいね」
紗奈が頷く。
「私も好きかも」
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悠斗も同意した。
「景色も良さそうです」
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美咲は写真をじっと見ている。
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「料理も美味しそう」
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その一言で全員が笑った。
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こうして旅館は決まった。
山あいの小さな温泉旅館。
紅葉の名所にも近い。
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予約も無事に完了した。
旅行まであと一か月ほど。
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「楽しみだね」
紗奈が言う。
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「はい!」
莉奈は笑顔で答えた。
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泊まりの旅行。
少し前なら考えられなかった。
けれど今は違う。
不安がないわけではない。
それでも楽しみな気持ちの方が大きかった。
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カフェを出る頃には夕方になっていた。
空は優しい色に染まっている。
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「また来週!」
美咲が手を振る。
「うん」
紗奈が答える。
悠斗も笑顔だった。
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莉奈も手を振る。
その表情は明るい。
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旅館も決まった。
目的地も決まった。
あとはその日を待つだけだった。
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秋の旅行は少しずつ近付いている。
そして四人の楽しみも、少しずつ大きくなっていた。
第三十四話のテーマは「選ぶ楽しさ」です。
どこへ行くか。
どこに泊まるか。
そんな時間も旅の大切な思い出の一部なのでした。




