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紗奈と安心の物語  作者: たい


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四人ではじめての休日


第二十二話では、旅行後初めての四人でのお出かけが描かれます。


特別な旅行ではなく、いつもの休日。


その中で莉奈は少しずつ「安心」の意味を理解し始めます。



旅行から帰って二週間。


土曜日の朝。


紗奈は少し早く目を覚ました。


今日は約束の日だった。


旅行の帰りに決まった、四人でのお出かけの日。


「楽しみだな」


自然と笑顔になる。


第一話の頃なら考えられなかった。


休日のお出かけを楽しみにしている自分がいる。


⸻


待ち合わせ場所は駅前だった。


紗奈が到着すると、美咲がすでに待っていた。


「おはよう!」


元気な声が飛んでくる。


「おはよう」


紗奈も笑う。


しばらくすると悠斗もやって来た。


「お待たせしました」


そして最後に莉奈が走ってくる。


「すみません!」


少し息を切らしていた。


「間に合った!」


その言葉に三人は思わず笑った。


⸻


「今日はどこ行くの?」


莉奈が尋ねる。


美咲が胸を張る。


「水族館!」


「おお!」


莉奈の目が輝く。


悠斗も笑った。


「いいですね」


こうして四人の休日が始まった。


⸻


館内へ入る。


大きな水槽。


ゆっくり泳ぐ魚たち。


青い光。


静かな音楽。


「すごい……」


莉奈は水槽に見入っている。


美咲も楽しそうだ。


紗奈はそんな二人を見て笑う。


悠斗は写真を撮っていた。


穏やかな時間だった。


⸻


昼食は館内のレストラン。


四人でテーブルを囲む。


旅行の話。


学校の話。


仕事の話。


話題は次々と変わる。


その時だった。


莉奈が少し迷いながら口を開く。


「あの……」


三人が顔を向ける。


「皆さんが言っていた安心のことなんですけど」


紗奈は優しく頷いた。


「うん」


莉奈は少し照れながら続ける。


「旅行のあと、ずっと考えてたんです」


⸻


美咲が笑う。


「真面目だね」


「だって気になって」


莉奈は苦笑した。


「皆さん、すごく落ち着いていたから」


悠斗が静かに言う。


「慣れもありますけどね」


紗奈も頷く。


「私も最初からできたわけじゃないよ」


莉奈は真剣に聞いていた。


⸻


「安心って、お守りみたいなものなんだ」


紗奈が言う。


「持っているだけで気持ちが違う」


「何も起きないのが一番だけど」


美咲も続ける。


「もしもの時に備えておけば、楽しむ余裕ができるんだよ」


悠斗も頷いた。


「不安ばかり考えなくて済みますから」


莉奈は小さく頷く。


少しずつ理解できる気がしていた。


⸻


午後。


イルカショーを見たり、


お土産を探したり、


四人は館内を歩き回った。


気が付けば夕方だった。


本当にあっという間だった。


⸻


帰り道。


駅へ向かう途中。


莉奈がぽつりと言う。


「今日、すごく楽しかったです」


三人が振り向く。


「前だったら、色々気にしていたと思うんです」


少し照れたように笑う。


「でも今日は楽しむことに集中できました」


美咲が嬉しそうに笑う。


「それは良かった」


紗奈も頷いた。


悠斗も微笑む。


⸻


莉奈は夕焼け空を見上げた。


旅行の時とは違う。


少しだけ考え方が変わった気がする。


まだ完璧じゃない。


でも前より前向きになれた。


それはきっと、三人と出会えたからだった。


⸻


安心できる場所。


それは特別な場所ではない。


仲間と笑える時間。


また会いたいと思える相手。


そんな日常の中にあるのかもしれない。


夕暮れの駅前。


四人は手を振り合う。


「またね!」


「また会おうね」


「気を付けて」


「ありがとうございました!」


四人はそれぞれ帰路につく。


けれど誰も寂しくなかった。


また会う約束があるから。


四人の物語は、まだまだ続いていくのだった。



第二十二話のテーマは「日常の安心」です。


大きな出来事がなくても、仲間と過ごす時間は特別です。


莉奈もまた、自分なりの一歩を踏み出し始めているのでした。

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