↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/14

レオ・ヴィンセント

 馬車を降りる。

 目の前には、大きな研究施設が建っていた。

 ここは王国でも有数の魔法研究施設。

 父さんが普段から研究している場所の一つだ。


 「アルベルト、先に中へ入っていなさい」


 「父さんは?」


 「少し挨拶をしてくる。すぐに戻るよ」


 「分かった」


 父さんが研究員たちの方へ向かっていく。

 俺は一人で施設の中を見て回る。

 知らない魔道具。

 見たことのない魔法陣。

 壁に貼られた研究資料。

 どれも興味深い。

 そんなことを考えていると――。


 「君」


 後ろから声がした。

 俺は振り返る。

 そこにいたのは、レオ・ヴィンセントだった。


 俺より少し年上で、整った顔立ちに、落ち着いた雰囲気。


 そして――。

 制服の胸元には、王立魔法学園の紋章。


 「……」


 「どうした?」


 レオが首を傾げる。


 「……いえ」


 俺は慌てて視線を逸らした。

 まさか、こんなところで会うとは。

 原作では、レオと俺に接点はない。

 中ボスになってからも、彼とは戦っていなかった。


 「君はヴァレンシュタイン公爵の息子か?」


 「はい」


 「やっぱりそうか」


 レオは俺を見る。


 そして――。

 少しだけ眉を動かした。


 「……君」

 「魔法を使えるのか?」


 「……はい?」


 「ああ、すまない」

 「魔力の流れが、少し気になってな」


 「…なるほど」

 「一応、訓練はしています」


 「そうか」


 レオは俺をじっと見る。


 「魔力の循環がかなり綺麗だ」

 「普通なら、魔法を使うときに多少の魔力の滞りが生まれる。でも君には、それがほとんどない」


 「…………」


 驚いた。

 魔力の循環。

 俺自身はそこまで意識していなかった。


 「君、いくつだ?」


 「十歳です」


 「十歳……?」

 「私より三つ下なのか」


 レオが少し驚いたような表情をする


 「それで、その魔力制御か」


 「そんなに凄いんですか?」


 「ああ」

 「少なくとも、私が十歳の頃よりずっと綺麗だ」


 「……そうですか」


 なんだか少し嬉しい。

 努力してきたことが、しっかりと身についている気がして。


 「君の名前は?」


 「アルベルト・ヴァレンシュタインです」


 「アルベルトか」


 レオは俺に手を差し出した。


 「私はレオ・ヴィンセント」

 「王立魔法学園の二年だ」


 二年生……。

 原作では、レオは生徒会長として登場する。

 でも、今はまだ二年生。

 当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。


 「どうした?」


 「いえ。少し意外だったので」


 「そうか?」


 レオは不思議そうに首を傾げる。


 「ちなみに、王立魔法学園は四年制なんだ」


 「四年制……」


 「そう。だから――」


 レオは俺を見る。


 「君が入学してくる頃には、私は最高学年になってしまうな」


 「……!」


 その言葉に、俺は少しだけ目を見開いた。

 二年後。

 俺が十二歳になった頃。

 レオは四年生。

 原作が始まる頃には、ちょうどゲーム本編のレオと同じ立場になっている。

 そして――。


 「その頃には、私は生徒会の仕事もしているかもしれないな」


 「生徒会?」


 「ああ。今はまだ一生徒だけどな」

 「魔法学園で優秀な成績を出し続けると、生徒会に招待されるんだ」


 「……なるほど」


 俺はレオを見る。

 学園最強の魔法使いであり、生徒会長。

 原作で見た人物が、今は目の前にいる。


 「君が学園にくるのを、楽しみにしている」


 レオは笑った。


 「君なら、きっと凄い魔法使いになれる」


 本来、そんな展開はありえない

 しかし、その言葉を聞いて――。

 俺は少しだけ胸が熱くなった。

 俺はレオの手を握る


 「……ありがとうございます」


 「こちらこそ」


 レオはそう言って、研究施設の奥へ歩いていった。


 ◇◇◇


 その日の午後。

 研究施設の大ホールでは、父さんの研究発表が行われていた。


 「今研究してるのは――」


 壇上に立つ父さん。

 俺は客席からその様子を見つめていた。

 スクリーンに映し出される魔法術式。

 複雑な構造。

 その一部を見ただけでも、かなり高度な研究だと分かる。

 父さんの研究は、魔法そのものを強化するものではない。

 実現すれば、より効率的に、より速く、より少ない魔力で魔法を発動することができる。


 ――術式最適化。


 それがヴァレンシュタイン家の研究だ。


「…………」


 ◇◇◇


 夜。

 俺は用意された部屋に戻る。

 窓の外には、静かな街並みが広がっている。


 俺は目を閉じる。

 敷地外から、複数の気配。


 「…ついに来たか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。