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学園二位

 「……思ったより高いな」


 掲示板に張り出された入試成績表を見ながら、俺は呟いた。

 合格者の名前が、順位順に並んでいる。

 その中で、俺の順位は――。


 「……二位か」


 Aクラスの定員は二十名。

 そして、この学園のクラスは入試順位で決まる。

 なので、一応Aクラスには入れた訳だが…。

 まさかここまで上に来るとは思わなかった。


 「アルベルト…」


 隣にいた父さんが、口を開く。


 「すごいじゃないか!」


 「いや、まあ……」


 俺はもう一度、成績表を見る。


 Aクラス


 一位 ユリウス・アストレア


 王子様。

 原作に登場する攻略対象の一人。

 剣術、魔法、学問。

 その全てにおいて高い能力を持つ、まさに王子様といった人物だ。


 そして――。

 二位 アルベルト・ヴァレンシュタイン


 俺だ。


 「…………」


 そしてその下にも、原作で見覚えのある名前が並んでいる。


 三位 アーサー・グレイヴス


 天才魔術師。


 四位 ウィリアム・エヴァレット


 学者系キャラ。


 五位 クライヴ・レインハルト


 騎士。


 そして――。


 六位 ルリナ・フォレスト


 「…………」


 原作では、アーサーが二位だった。

 しかし俺が二位に入ったので、アーサーが三位になっている。

 原作では存在しなかった俺が、入学試験のキャラの順位を変えてしまった。


 「…まあいいか」


 正直、入学試験の順位が少し違った所で、何も変わらない。

 今はとにかく、無事にAクラスに入れたことを喜ぶべきだ。

 そんなことを考えていると、背後から声が聞こえた。


 「アルベルト様ですか……?」


 振り返ると、数人の受験生がこちらを見ている。


 「ヴァレンシュタイン公爵家のご子息ですよね?」


 「ああ…はい」


 「やっぱり……!」


 その受験生たちは、少し興奮した様子で話し始める。


 「魔法研究で有名なヴァレンシュタイン家の方が、今年の二位なんて……!」


 「王子殿下に次ぐ成績だぞ」


 「筆記でも実技でも、かなり高い評価だったらしい」


 「アーサー様より上だったのか……」


 …なんだか、思った以上に注目されている。

 俺は少しだけ視線を逸らした。


 「……なんか、目立ってるな」


 「何か言いましたか?」


 「いや、何でもない」


 その時――。


 「アルベルト・ヴァレンシュタイン」


 別の方向から、落ち着いた声が聞こえた。

 俺は振り返る。

 そこにいたのは、一人の少年だった。

 周囲の受験生たちが自然と道を空けている。


 「……ユリウス・アストレア」


 原作の王子様だ。

 俺は軽く姿勢を正す。


 「君がアルベルトか?」


 「はい」


 「そうか」


 ユリウスはそう言って、成績表へ視線を向ける。


 「君が二位か」

 「驚いたよ。まさかアーサーよりも高い成績を残すとは」


 「……アーサーって」


 「アーサー・グレイヴス」

 「魔法で有名な、グレイヴス家の長男だ」

 「世間では、天才魔法使いなんて呼ばれている」


 ユリウスは、興味深そうに俺を見る。


 「私はそのアーサーと幼い時から親しくてな」

 「だからこそ、あいつを抜いて二位になった君が気になったんだ」


 「……なるほど」


 そういえば、そんな設定があったな。


 「ああ。だから、入学したらぜひ話を聞かせてくれ」

 「君がどんな人間なのか、少し興味がある」


 「……俺でよければ」


 「楽しみにしている」

 「では、また会おう」


 「はい」

 

 ユリウスはそう言って、ここから立ち去る。

 どうやら、用事はそれだけだったらしい。


 俺は、少しだけ息を吐く。

 王子様に目をつけられた。

 ……いや、正確には。

 アーサーを抜いて二位になった男として、興味を持たれただけか。

 しかしそれでも、原作では存在しなかった俺が、攻略対象の一人と接点を持ったことに変わりはなかった。

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