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シンデレラ・ダイス  作者: 羊宮 玲(旧 羊)


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13/15

軍師キャスのプラン

「何か思いついたのか?」


「まだだけど、パーシバルは、女が来たくなるような街にするって言って、ロックに選ばれたんだろ。それならそれが多分芯になる。で、まずは現地を見ないことには始まらない」


「はあー、凄いな」とガスパールが感心した。


「何か、できそうな気がしてきた。いつ来る? 一緒に来るか?」


 すぐにでも、キャスを連れて行きたそうなガスパールをシリーが止めた。


「待て。準備もあるし、三日後だな。ガスパールは先に戻って、パーシバルに伝えてくれ。それよりデルタウンの事を教えてくれよ」



 それから夜更けまで、デルタウンの情報を聞き取った。


 首都からの入り口部分に広大な森があって、行き来にはそれがネックになる。

 道も悪いし、休憩場所もない。


「それじゃあ女はいかないよ。行くとしたら、何かから逃げたい女くらいじゃないか?」


 ガスパールがグッと喉を詰まらせた。

 思い当たることがありそうだ。


「まずは道路整備だな。それには時間がかかる。だけどやらなくちゃならないことが、一つ分かった。それだけでも凄いよ」


 キャスは感謝の眼差しを向けるガスパールに、微笑み返した。

 ガスパールが顔を赤くして上ずったような表状になる。シリーはニヤニヤしながら、二人を見ている。


「その作業に人を当てれば、仕事になる。収入になれば生活も落ち着くし、組織も出来ていく。報酬を払うことが出来ればだけどね。どう?」


 ガスパールが考え込んだ。


「金になるってのは、何かを売って対価をもらうってことだろ? 売れるものなんかあるかな?」


「まずは血気盛んな男が山ほどいるのだから、傭兵、警備兵、用心棒などの人材派遣はできるな」


「確かに、それだけは豊富にある!」と声を上げて、ガスパールが手を組んだ。


「何かそこでしか取れないものや、売るほどあるような品はないか?」


 しばらく考え込んだガスパールが、ガバっと顔を上げた。


「ある」


 そのままためている。何を思いついたのだろう。キャスは息を詰めて、答えを待った。


「キノコだ」


「犯罪系じゃないだろうね」


「食い物の方だよ。森に山ほど生えてるんだ」


 キャスは考え込んだ。元々のイメージが悪いだけに……


「キノコで、おしゃれっぽい女ウケしそうな物、何かない?」


「キノコが美味いんだよな。俺の得意料理、キノコとホウレンソウのキッシュなんかどうだ。キノコが美味いから最高だよ」


 それはいける。

 女受けする。


「キノコ料理の店か。きのこのグラタンやスープなんかも良さそうだね。ところで洒落た店はあるの?」


「酒場が中心で、女受けするような小綺麗なのはない。全然、無理」


 無ければ、今から作ればいい。


「いけるんじゃないか? 仕事があれば懐に余裕が生まれる。女も来る。だからちょっと格好つける必要も出来てくる。なあ、どうだ?」


「それだったら俺は店をやろうかな。美味いキッシュで評判になるかも」


 シリーが茶化した。


「マシュルームキッシュといえば、デルタウンのガスパールの店ってか?」


 笑っておいて、急に真顔になった。


「問題は軍資金だな」


 眉を寄せるシリーにキャスは笑って言った。


「誓約書に署名するのと引き換えに、金を借りることはできるさ。国からの援助金も出るだろう。人手も借りられるかもしれないね」


 ガスパールはビールを三杯お替わりして、上機嫌で帰っていった。



 次の日キャスはおばちゃんを呼び出した。

 おばちゃんに考えを話すと賛成してくれて、手伝ってくれるという。


「おばちゃんは俺を手伝えないのでしょ」


「国を富ませる手伝いだから大丈夫」


 よくわからない誓約だ。

 金の工面に関しては、王に問い合わせたほうがいいと言われ、キャスは手紙を書いた。


 内容は、「デルタウンを変えるためには、ある程度の資金が必要だ。誓約書にサインをしたら国からの資金援助と、借用金を出してもらえるだろうか」というものだ。


 金のことを確認しないと、向こうで話が決まっても、動くに動けない。

 まずは金だ。


 おばちゃんが「持って行ってあげる」と言って姿を消した。


 それからものの1時間もしないうちに、王の承諾の手紙を手に戻ってきた。


「王は驚いていたわよ。これは見どころがある、頼もしいってさ」 


 褒められた。

 王子に褒められたときと違い、素直に嬉しかった。

 キャスはもしかしたら、これは出世の糸口かもしれないと、本気で思い始めていた。

 上手くこれを片付けたら、晴れて王宮に任官、安泰の人生まっしぐら。

 俄然、やる気が出てきた。


 そして、かわいい彼女を作るんだ。

 何せ今まで、女の子より可愛いと言われて、女の子に敬遠されてきた。

 横に並ぶと、男性の目が皆キャスの方に集まってしまう。そんなリスクを冒したい女はいないと、キンバリーに言われたことがある。

 でも、後少し、後ほんの少ししたら、キャスは男っぽくなり、カッコよくなるのだ。

 そうしたら、今の不都合な色々は全て無くなる。

 

 バラ色の未来を夢見て、キャスは旅行の準備に精を出した。



 




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