表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/56

47話 お人好しと吸血鬼の解明

俺は突然、目の前に現れたストリクスに話しかける。


「ストちゃん……何の用でしょうか?」


ストリクスに睨まれる。


「私をストちゃんと呼ぶのは止めろ。

 次にそう呼んだら、話は終わりだ。」


俺は頭を下げる。


「すみません……つい。

 それで、お話とは一体何でしょうか?」


ストリクスが城の方角に視線を向けた。


「貴様らが姉上から聞き出した吸血鬼の特性。

 その事をもっと深く考えてみるがいい。

 私からのヒントだ。

 気付くことが出来たら──

 改めて交渉のテーブルに着く事もできるでしょう。」


俺は去ろうとするストリクスを呼び止めた。


「すみません、ひとつ教えて頂きたいのですが……

 吸血鬼とは、どのように生まれるのでしょう?」


ストリクスが鼻を鳴らす。


「ふん……まあいい、教えてあげましょう。

 ひとつは、私がお前を噛もうとしたように、

 吸血鬼に噛まれて、かつ血を分けられた時だ。


 噛まれた直後の吸血鬼の階級は、

 噛んだ吸血鬼の階級と、分けられた血の量で決まる。

 大体は下級吸血鬼になることが多い。


 それ以外は……吸血鬼同士、または吸血鬼と人間の交配で

 生まれた子供がそうなる。」


俺は質問を続ける。


「階級はどうやって上がるのでしょう?」


「魔力を吸い集める事で、やがて格が上がる。

 下級から上級、上級から貴族級……といった風に。

 唯一例外はあるが……それを貴様に教えるつもりはない。」


俺はお辞儀をした。


「いえ、十分です。

 ストリクス様、勉強になりました。」


お礼を聞き終わる前に、ストリクスは消えていった。



俺たちは一度、コウロウの宮殿に戻ることにした。

カリンは帰ってそうそう眠りについた。

きっと疲れたのだろう。


俺がベッドで横になり、考えをまとめていると、

ガオトが近くに腰かけた。


「まだ考えているのか?

 それほど酷い状況ではなかったのだろう?」


俺はガオトの手を握る。


「そうだね。血を吸ったら処分、なんて事もないし、

 衣食住は保証されている。

 高齢になったら戻されると言っても……

 それもまだ何十年も先の話だろう。」


ガオトが俺の頭を撫でる。


「同族が牙を折られ、ただ生きる事を良しとした。

 家畜のように扱われる事にやるせない感情を抱くのは、

 理解できるがな。」


俺はガオトを抱きしめる。


「ありがとう。そうだね……。

 ただ、人間たちもそうなんだけど……

 吸血鬼たちも何か問題を抱えていそうなのがね……。」


でなければ、ストリクスがあんな風に

帰る前に呼び止めたりしないはずだ。


「吸血鬼と、食料となっている人間たち。

 その問題を解決するには……

 ストリクスのヒントを解明するしかなさそうだ。」

 

エルシャの発言も、もう一度思い出してみよう。

こういう時は相手の立場になって考える必要がある。


俺が思考に没頭していると、ガオトに指で額を弾かれた。


「自分の女を目の前にして、他所の女の事を考えるとはな……」


俺は狼狽える。


「えぇ なんで!?」


わかったのかと言いそうになると

もう一度額を弾かれた。


「やはりか、この馬鹿が……。

 タケオミ、お前は表情に出し過ぎだ。」


ガオトが俺の胸に体重を預けてくる。


「ところで、吸血鬼領から戻ったら式を挙げるという話だったが……?」


俺は頬を指で掻いた。


「ごめん……問題が解決……

 いや、せめて糸口が見えてからでいいかな?」


ガオトが深く溜息をついた。


「はぁ……そんな事だろうと思っていた。

 まぁ良い、気が済むまでやるがいいだろう。

 ただし、糸口などと半端は許さん。

 己が信条に従い成し遂げてみろ。」


「あぁ……ありがとう。」


俺は未来の自分が解決することを信じて、

ガオトと二人で眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ