表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
96/101

その96・不良の姉

私には、二つ上の姉がいる。


幼いころから私と姉は、笑顔で手を繋いで歩くほど、とても仲が良かった。


小学生の時も、私は気弱で人見知りの激しい子であったが、姉はいつも私の傍にいてくれて、一緒に遊んでくれた。


本当は姉にも友達が欲しかったと思うが、私のためにその時間や気持ちを割いてまで、傍で支えてくれた。


だが、高校に進学したタイミングで、姉は崩れてしまった。


毎日夜遅く帰ってきては、部屋に籠って出てくる素振りもない。


右手にはタトゥーを入れたり、金髪でスカートもかなり丈が短い。


それどころか、怪我をして帰って来る時もある。


噂では、タバコや酒もやっていると耳に入ってしまった。


何故、姉はこんなにも不良になってしまったのか。


私のせいなのかもしれない。


気弱な自分のせいで、姉は友達を作るタイミングも失ってしまった。


毎日、後悔をするばかりだ。


そんなある日。


私はいつも通り、高校から帰宅すると、奥のリビングから母親の怒鳴る声が聞こえた。


テーブル席では姉と母が対面で座っており、姉は聞く耳を傾けておらず、ただ爪をいじっている。


「未成年でタバコなんて、法律で禁止されていると知っているでしょ!」


「うるせぇな。法律とかなんだかと知らねぇよ」


「あんたね。人生棒に振ってもいいの?」


「人生なんて、私が決めることなんだよ。黙っていてよ」


「私はあなたの親なの。言うことは聞きなさい」


姉はため息をしてから


「うるせぇ、耳障りだ」


そう言って立ち上がって、私の横を通り過ぎてから階段に向かって行った。


私は姉を追いかけてから


「お姉ちゃん」


姉は立ち止まって舌打ちをしてから


「あんたもあの人の味方?」


「違う」


「だったら何?」


「私のせい? 確かに私は気弱で人見知りが強い。だからこそお姉ちゃんには迷惑かけたと思っている。でも、あの時のお姉ちゃんは大好きだった。私のためにずっとそばにいてくれたし、笑顔で話も聞いてくれた。今のお姉ちゃんはなんか嫌だ。何があったか分からないけど」


すると、姉は私の方に振り返り


「別にあんたのせいじゃないし、私がこうなったのも、ただ私が弱いだけの話だから」


「だったら、昔のお姉ちゃんに戻ってよ」


「馬鹿なこと言わないで。そしたら、誰があんたを守るのよ」


そう言って階段を上がって行った。


今の姉の一言に、私は驚愕した。


まさか、私を守るために不良になったのか。


強く生きるために不良の道を選んだのか。


すると後ろから母親が来て


「あなたも可哀想に。あんな姉を持って」


私はしばらく黙ってから


「そんなこと言わないで。私にとっては大好きな姉だから」


そう言って私も階段を上り始めた。


どんな姿になろうとも、姉は私のことを想ってくれていたのだ。


姉の印象はかなり変わった。


あの一言で。


~終~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ