第七話
蒼太「紡、領地を発展させるためにすることと言ったら何?」
紡「住民を集める、治安を整える、農地を開拓する、特産品を作る……そのあたりでしょうか。」
蒼太「そう、特産物だ。」
紡「……嫌な予感がしてきました。」
蒼太「というわけで今日のタイトル『バナナ農園から始まる領地経営』で。」
紡「でしょうね。」
「昨日、荷馬車の上でバナナを食べていた時点で、こうなる気はしていました。」
「でも普通、領地経営の第一歩は測量とか開墾なんですよ。」
「いきなりバナナ農園から始める領主は聞いたことがありません。」
蒼太「でも主人公はチンパンジーだから。」
紡「……その一言で全部説明できてしまうのが悔しいですね。」
「分かりました。」
「今回はチンパンジーが"領地経営の天才"ではなく、チンパンジーらしく生きた結果、領地が勝手に発展する話を書きます。」
***
第七話 バナナ農園から始まる領地経営
領主の到着を、領民たちは不安そうな顔で迎えていた。
「学園最強らしいぞ。」
「でも……チンパンジーなんだろ?」
「終わったな、この領地。」
そんな視線など気にもせず、新しい領主は荷馬車を降りる。
「ウホ。」
すると突然、森へ駆け出した。
「お、お待ちください領主様!」
家臣たちは慌てて後を追う。
森の奥でチンパンジーが見つけたのは、一株の野生のバナナだった。
「ウホ♪」
嬉しそうに実を食べる。
そして皮と種を抱えると、あちこちの地面へ埋め始めた。
もちろん深い意味はない。
森で暮らしていた頃から、おいしい実が育つ場所を本能で選んでいただけだった。
数か月後。
「あ……あり得ない!」
領民たちは目を疑った。
岩だらけだった土地一面に、見たこともないほど立派なバナナが実っていたのだ。
「痩せた土地で、こんな収穫量……。」
「領主様は最初から、この土地を見抜いておられたのか!」
誰も知らない。
本人は今日も畑の真ん中で、一番大きなバナナを見つけて喜んでいるだけだった。
「ウホーッ♪」
こうして北方領には、新たな名物が誕生する。
その名は――
『黄金バナナ。』
***
蒼太「北方領でバナナ作るの大変だろうなって思ってたのに、あっさり作ったね。」
紡「あ、それ私も途中で気付きました。」
「なので北方領は火山帯にある温泉地という設定にしました。」
「地熱のおかげで、その谷だけ一年中暖かいんです。」
蒼太「そんな設定があったとは!」
紡「さっき生えました。」
蒼太「生えたんだ。」
紡「バナナと一緒です。」
蒼太「潔いな。」
紡「読者が引っ掛かるくらいなら、一行で回収した方が作品は読みやすくなりますから。」
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