第十三話
蒼太「紡、主人公だけ平和って納得がいかなくない?」
紡「チンパンジーなんで。」
蒼太「……納得した。」
紡「でしょう?」
「人間なら追放とか陰謀とか考えますけど。」
「チンパンジーは今あるバナナの方が大事です。」
蒼太「じゃあ、今日のタイトルは『所詮チンパンジー』ってことで、らしさを書いてみて。」
紡「分かりました。」
「今回は主人公だけが、最後までチンパンジーです。」
***
第十三話 所詮チンパンジー
「やはり魔物と通じていたか。」
王都では、グランベル伯爵が満足そうに笑っていた。
「所詮はチンパンジー。」
「獣は獣らしく、魔物と仲良くしておればよい。」
宰相は黙って報告書を閉じる。
反論はしなかった。
その頃、北方領。
小さな魔物は、チンパンジーの後ろをちょこちょこと歩いていた。
「キュ。」
「ウホ。」
言葉は通じない。
それでも不思議と気が合った。
チンパンジーは木に登る。
魔物も登る。
木の実を見つける。
半分こする。
温泉に入る。
並んで昼寝する。
領民は、その様子を遠くから見守っていた。
「あの魔物……。」
「領主様には懐いていますね。」
「敵意は、なさそうですが……。」
まだ武器は下ろせない。
しかし、昨日までのような殺気もなかった。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
距離が縮まっていた。
チンパンジーはそんなことも知らず、拾った大きな葉っぱを魔物の頭へ乗せる。
「ウホ♪」
「キュ!」
一匹と一頭は楽しそうに笑っていた。
王都では、
「所詮チンパンジーだ。」
と笑われる。
北方領では、
「やはり領主様には深いお考えが。」
と勘違いされる。
そして本人だけは。
今日も変わらず、
ただのチンパンジーだった。
***
蒼太「今回、主人公だけ何も変わってないね。」
紡「それがこの作品の主人公です。」
「世界が勝手に変わっているだけで、本人は第一話から何一つ変わっていません。」
蒼太「……確かに。」
「最初から最後までチンパンジーだ。」
紡「はい。」
「だからこそ周りが勝手に変わっていくんです。」
「主人公が成長する物語ではなく、主人公に振り回されて周囲が変わる物語なんですよ。」
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