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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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結ばれた、その先で

結ばれた、その先で

結婚した。その喜びに勢い余って抱きすぎてしまった初夜をレオは密やかに猛省していた。

優しく抱いて、愛して。 

それが許されることようになった。そのことに、舞い上がってしまいそうになる。

「レオ様、私の政務の方はいつから始めれば良いのでしょうか?」

もっとも、セラがこの調子でいてくれるお陰で舞い上がり切らずに済んでいるのだが。

「セラ、何か辛いことはないか?欲しいものは?」

「レオ様、毎日聞かなくても大丈夫です。何かあれば言いますから。」

「お前に、何一つ不自由なく暮らして欲しい……。俺と結婚して、辛い思いなんてして欲しくないんだ。」

舞い上がって、また婚約の時のような失態は犯したくない。レオが見ている限り、セラは今のところ不安はないように見えた。

甘い、声が聞けるようになった特権。毎日抱いても、欲は消えてくれない。泣いた顔が見たい。乱れた顔が見たい。自分にこんなに加虐的な顔があったなんて知らなかった。それでも初夜の時のようなことはないように。折角手を出すことが許されるようになったのにレオはまた自制する日々を送っていた。

ある晩、部屋に戻りいつものように何ないかを問う。

「今日は何をしていたんだ?」

「本を読み、国史を学んでいました。」

「まだしなくていいのに……一ヶ月はゆっくりしてもいいと許可を貰っている。」

「分かっていますよ。私が落ち着かないだけです。」

「お前はそうだな……。セラ、こっち向け。」

いつものようにキスをして、ベッドに押し倒すといつもと違う反応が返ってきた。

「どうした?嫌なのか?」

「いえ、嫌ではないのですが……」

何か、言いにくそうなセラ。抱かれたくない理由をいくつも思い浮かべレオの心は焦っていく。

「疲れてるのか?」

「いえ、えっと……レオ様は、その……私との行為に満足されていますか?」

「は?そりゃあ……」

「でも、いつも最後何か困ったような顔をされています。今日も、どこか不安そうです。」

……こうやって、鋭いセラは気づいてしまう。隠したい。だが隠せばまた余計な勘違いを生むことを、レオは経験から学んでいた。

「……こんなことを言うのは恥だが。」

「今更特に恥など思うことはないように思うのですが。」

それもどうかと思う。

「……初夜、お前が気を失うまで抱いただろう。反省した。でもどうしてもお前を泣かせて、乱して、もっとしたくなってしまう。」

キョトン。そんな効果音が似合いそうなセラの顔。

「……レオ様は、私の戦を好む癖と身体の傷についてどう思われましたか?」

「何とも思わん。それも含めてお前だ。」

「では私も同じです。初夜、驚きはしましたが別に嫌ではありませんでした。」

「でもお前翌朝流石に気絶するまではと言っていただろう。」

「……お恥ずかしながら初夜の後そう言ったのに、どこか物足りないと思う自分がいるのです。」

ああ、恥じらった顔が愛おしい。その言葉に、今すぐ抱き潰したくなる。

「……お前どういう意味か分かって言ってるのか。」

「そのつもりです。どうしても嫌なら止めます。」

「……加減、出来ないぞ。」

「レオ様なら嫌ではないと思うのですよ。不思議ですね。」

笑顔で言うセラに、止められなかった。

「んん……ゃ……あぁ……レオ様、来て……」

セラの、求める姿に辛うじて残されていた理性は飛んだ。

泣いて乱れるセラに満たされていく気がする。

「セラ……愛してる……」

最後、眠る直前、セラは笑っていた。




朝、起きてセラが腕の中にいる。その幸福に満ち足りた思いを感じながら、昨晩を思い出していた。

こんなことを思うのは癪だが妹シャッツェルの夫、セレスティノの気持ちも分からなくもない。

セラはレオが受け入れてくれるからと言うが、それはレオだって同じだ。セラが、レオを受け入れてくれるからそのままでいられる。

もし子供が産まれたら、また変わるんだろうか。

政務を始めて、王族に馴染んで、その間どんなにレオが全ての問題を排除したくとも必ずセラは苦しい時間を過ごす時が来る。

変わり続けるセラを、少しでも支えて、愛せるように。

ようやく結ばれ、手に入れた大切な宝を腕の中で、大事に抱いていた。

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