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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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206/209

消えない傷、消えない愛

消えない傷と、消えない愛

宴を終え、衛兵に連れられて新居へ向かう。別々の部屋で、婚礼衣装を脱ぎ、宝飾品、髪を解き湯浴みをする。どんなに身を清めたって、この傷は清まってはくれない。

湯を上がり、寝巻きに着替える。結婚した。なのにまだ怖い。ご丁寧に崖から落ちたことで背中にまで傷がついた。

その瞬間に対する後悔はないが、王弟妃として考えれば酷い傷物だ。

「セラ様、大丈夫ですよ。」

アシュレイに励まされ、寝所へ向かう。別室から出て来たレオと共に入れば掛けられる鍵。

「……セラ」

入った途端、抱きしめられ落とされるキス。もう、待てない。まるでそう言っているかのように甘く、深いキスは首筋にも落とされ、指は身体をなぞっていく。

「……セラ?」

「……」

「……どうした?緊張してるのか?」

「……湯に入りました。でも、どうしたって傷は消えてくれないのです……」

「……俺は、気にしないと言っただろう?」

「……これでもですか?」

するすると寝巻きを解いていく。醜い身体。いくら気にしないと言っていたって、見れば気が変わるかもしれない。ずっと、恐れていたこの瞬間。

身体を見たレオは何も言わずに見つめていた。

その無言に、どうしたって怖くなる。今ここで嫌だと言われたら――――

「....今すぐ抱いていいか?」

「え?」

「あまりにも綺麗だ。愛している女の裸体を見て我慢出来る男なんていない。」

「でも傷が....」

「そんなもの、いくらあろうとお前は綺麗だ。なんなら傷はお前が戦ってきた強さの証だ。美しさに花を添えていると言ってもいい。」

セラが戸惑うほど、レオは本当に傷を気にしていないようだった。こんなに醜い身体を気にしないなんて。レオのことが、どうしたってよく分からない。

「なあ。」

戸惑うセラを引く手に押し倒されて、気づけばベッドの上にいる。

「限界だ。もうこれ以上....待てない。」

ずっと、抑えていた熱が溢れだしたかのような目。考えても無駄だと悟った。レオが気にしないならば。ただ与えられる快楽と熱に身を委ね、重なった身体の熱さを感じる夜が更けていく。

やっと、結ばれた。そのことがただ、嬉しかった。




目を、開けたら隣にレオの寝顔があった。

そのことが嬉しくて、つい顔が緩んでしまう。

穏やかな寝顔。光が当たって透けるブロンドの髪に触れてみると、柔らかくて心地いい。

ふと、昨晩を思い出した。1人でに顔が赤くなる。乱れた自分も、貪るように求めるレオの目も、夢だったのかと思う程だったが、重い腰と身体が現実であることを思い出させる。

思い出すには強い刺激にレオの胸に顔を埋めた。そろそろと手を伸ばし、頬に指をなぞらえてみる。

(すっかりこの人に溺れてしまったな...)

別に盲目になったわけじゃない。ただ、彼を見ると安心して、愛が溢れてしまう。

「好き....」

そっと呟いた声は聞こえていないはず――――

だった。

頬に触れていた手を掴まれる。目を開けた彼はかつてなく機嫌がいい。

「レオ様、起きて.....いつから....」

「そうだな。お前が髪に触れ始めたところぐらいか?気持ち良くてやらせてたら好きとまで言ってくれるなんてな。」

「は、早く言ってください....!」

「可愛かったな。俺の胸に顔を埋めて。昨晩を思い出したか?」

「...違います。」

「照れてるのもいいな。あんなことするから朝から誘ってるのかと思ったぞ?」

「誘ってません。」

「本当ならもう一回シたいところだが無理させるわけにはいかないからな。身体はどうだ?」

「少し重いです。」

「今日はよく休んでろ。そしたらまた夜だな。」

「あの、今日は流石に...」

「ん?ああ....気絶するまではやめておく。あれは悪かった。たかが外れた。」

「気絶するまではちょっと....でも....気持ち、よかったです。」

死にたい。こんなこと言うつもりじゃなかったのに。

「....やっぱりもう一回するか?」

「遠慮しておきます...」

「それで煽ってないはないだろ。」

まずい、目が完全に狩人だ。

「レ、レオ様は今からお仕事がお有りでしょう?夜、夜にしましょう。ね?」

「...仕方ないな。夜、覚えておけよ。」

 

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