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神様のおねがい  作者: もやしいため
第十四章:集う三神
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武の極致2

詩織はさっきから「うぅ…やっぱり負けてる…」とか呻いてる。

いやぁ、ここまできたら誤差じゃないの?

思わずくすりと笑ってしまう。


「お前…これ本当か?」

【神使】(しんし)持ちのステータスは確かに自称だけど、嘘書いてどうすんのさ」


「いや、すまん。

 ホントに『二つ名持ちだったんだな』ってな…」


意味深な言葉をネーブルが零した。

んー…どういう意味?

あ、そうかそうか。


「私のステータスって明らかに人外(・・)だからねー。

 ヴェローナでも極秘扱いだし、これ見てすぐに信じられる人は見たことないや」


最近は見せる機会もぐんと減って…最後って確か100未満だったかな。

そう思うと随分と経ってるかもしれないね。


「スキルLvが高すぎるだろうが…。

 1で見習い、5で凡人、10で熟練、15も越えれば達人の領域だぞ?

 それなのに何だよこの20越えのユニーク(・・・・)って…異常値過ぎてそりゃ誰でも数字を疑うわ」

「んー…ユニークってLv上がりにくいの?」


「何だ主人(マスター)、そんなことも知らんのか。

 取得・成長難易度はパッシブ、アクティブ、ユニークの順に難しくなり、その分効果や利便性が上がる」

「パッシブの方が簡単なの?」


「例外もあるが基本的に『習慣』がスキル化するわけだ。

 一番の習慣は『気にもしない効果』であるパッシブで、その次がアクティブってわけだな」


うんうん、無知って怖い。

そういう基礎的なことを知らないとか理熾君らしい。

それでもユニークを四つも取ってるんだよね…やっぱりユニークにある【スキル取得】のお陰かな?


話の上ではSPって特殊ステータスと、スキルに対する一定以上の知識。

前者はステータス開けば簡単にわかるけど、後者は『どの程度までの深さか』がわかんないから、どれでも取れるってわけでもないらしい。

そんな取得条件聞く限り、一概に【スキル取得】が弱いとは思えないけど…結局はLv1がネックだね。

さっきネーブルが『見習い』って説明したように、持つ持たないで大きな差はあっても、Lv1ってスキル持ちの中だと『持ってないのと同じレベル』なんだよね。


だから理熾君が考えたように、常に効果が発揮されるパッシブの恩恵だけは大きいって感じ。

もし間違って微妙なアクティブスキル手に入れてたら最初の緊急依頼で負けてた可能性高いし、よく最初に思いついたよね。


信頼?

いやいや、これは確信ってものさ。

何故かいつもギリギリの成功率を踏み越える理熾君を思って笑みがこぼれる。


「穂波何笑ってるのさ」

「え?

 いやぁ…理熾君って何処でも理熾君だなぁって思ってさ」


「さっきからこの戦神が何言ってるか全然わかんない……誰か翻訳して」

「あっはっは!

 大丈夫、ホントそれだけだからさ!」


ケラケラ笑いながら返す。

それにあのふよふよ浮いてる妖精とか、理熾君がソファ代わりにしてるポルンとかね!

五年も迷い人してる私でも意味がわからないよ!


「まぁ、とりあえず戦神「穂波、ね?」…ホナミ、パッシブから順に教えてくれ」


二つ名で呼んだネーブルを抑えるように口を出す。

肩書とかをあまり頓着しない理熾君ならともかく、縛り付けられる今では私たちにとって余り嬉しくない呼び名だからね。

何と言うか気配りできそうな大人なイメージだったけど、意外とそうでもないのかなぁ?

言い直してくれてるしそこまで気にしないけどさ。


「まずはパッシブからね…【身体支配】は簡単に言うと身体の操作能力。

 これが高い方が自由に身体を動かせるから、理熾君の【体術】みたいなものだと思うよ。

 【装備拡大】は使える装備を増やしていける。

 今のところ大剣、短剣、戦棍(メイス)、槍の四種類ってところで、メインは大剣だね。

 【武術指南】と【戦術指導】は似たような『教える系』のパッシブ。

 これでも講師(せんせい)役もしてたから気付いたら持ってたって感じ。

 【効能過大】は装備特性とか補助効果をさらに引き上げるけど、マイナス補正も同じだから良し悪しだね」


この時点で詩織以外がかなり引いていた。

まだパッシブなんだけどなぁ…。

まぁ、ステータス見せたり説明したら毎回あることだからそこまで凹みはしないけどさ。

これでも十七の乙女なんだから、引かないで欲しいなぁ…とか、むしろ詩織のときは頑張って耐えてあげてね、とか思いながら続ける。


「アクティブの【神気】は…気が付いたらあったからわかんない。

 【神威】は【威圧】みたいな側面と『気合で何とかなる』みたいな根性論が合わさった感じ。

 地味に防御力上がったり、攻撃範囲が伸びたりすることもあるからね。

 【神眼】が危険度の高い攻撃なんかが、赤い線とか面で見える鑑定系の特殊スキル。

 常に使えるわけじゃないけど、危ないときには自然と目を凝らして使っちゃうね。

 あんまり使いたくない【臨界突破】は【限界突破】の上位互換ってところかなー?」


ここまでは物・魔の差はあっても詩織と似たような感じ。

特にアクティブなんて一緒なんじゃないかなぁ。

顎に手を当ててステータスが書かれた紙をジッと睨みつける理熾君。


ふふ…それでは聞いて驚け。

『戦神』の不名誉(・・・)な二つ名は次のユニークから来てるのだ!


「ユニークの【神使】は今更言わなくてもわかるよね。

 んじゃメインの【戦神】の話だね。

 【戦場の絶対者】はカリスマ的なやつで、一緒に戦線に出ると目立つ、みたいな?

 【激戦の支配者】は個人差があるけど、部隊員から経験値を税金みたいにちょっとずつ貰う。

 気心知れてないと発動しないのか、新人からは貰えなかったりするかな?


 【纏災激化】は【闘気】の…比べたことないけど多分最上位ランクじゃないかな?

 【覇軍狂歌】は所属部隊ごと【狂化】させるけど、意識残ってるからただの強化って感じ。

 【戦術理論】は最前線に立ちながら指示出す時に便利な並列思考ができるスキル。

 この五つを同時使用可能なのが【戦神】のユニーク…改めて説明するとやっぱり人やめてるよねー」


といっても【覇軍狂歌】の反動って結構きついから撤退時に使ったりするんだよね。

交代(ローテ)しながらなら有効だけど、そうなると私が前線に立てなくなっちゃうし、戦況によるとしか言えない。

そんなことを考えていると、気付けば机に突っ伏していたまま、聞いているかどうかも怪しかった理熾君が声を上げた。


「あぁ、なるほど。

 個人差とか気心って、多分【戦場の絶対者】と【激戦の支配者】がリンクしてるんだよ。

 『教化』って状態異常…って言えば良いのかわかんないけど、それ付いてる人から…しかも強度によって経験値貰ってるんじゃないかな?」

「おぉ、疑問があっさり解決した…理熾君すごいねぇ」


「前にコボルトキングと戦った時に『リンクするスキルがある』って知ったからね。

 この感じだと詩織の<魔の極致>でも同じようなリンクスキルがありそうだね」


ふーむ…理熾君はギリギリに追い詰められてたからか、しっかりスキル考察してるけど、私は余りしてないからなぁ…。

多分詩織も目の前のことで手一杯だっただろうし、もう少し掘り下げれば新しい発見もあるかもしれないね。

んー全部が全部ステータス表記されるわけじゃないけど、『状態異常』の表記が無いから、理熾君のSPみたいな隠れたものなのかな?

思考の糸をたぐっていると、理熾君から追加で質問が飛んできた。


「ちなみに【戦神の祝福】(タクティカルマルス)ってどんな加護なの?」

「能力の底上げとか、【戦神】が上がり易いとか、死ににくいとかかな。

 加護のわりに何だか現実的というか物理的というか、もっと摩訶不思議なありがたいご利益あるわけじゃないんだよね」


「…いや、そっちの方が多分使い勝手良いよ?」


態勢も変えずに苦笑い気味に答えるのは何なんだろう?

ま、これから暫くは理熾君たちと居るわけだし、今訊かなくても良いか。


そんなことを思いながらぐでーっとしている理熾君に枝垂れ(のり)かかる。

私のすぐ下で理熾君は「また穂波は…」って呟くだけで呆れるばかり…ってのはちょっと傷つくよ?


詩織は後ろから「こ、こら!」とか「ずるいっ!」とか聞こえてくるけど無視無視。

理熾君が濃厚な一年近くを経験したのは今さっき聞いたけど、私だってかなーり濃い五年を経験してきたんだしね。

抱きつくくらい役得ってやつでしょ?


詩織が本気で怒る前に身体を離して「じゃぁ次は詩織の番ね?」と声を掛けると、慌てた詩織は「え、番って…良いの?」って返してきた。

ははぁん…これは期待してるなぁ?


意地悪な私は「え? 私は今終わったしさ」と答えるだけ。

「そ、それじゃぁ」と理熾君ににじりよる詩織の背後から、にひひと笑いながら「次は詩織の情報でしょ?」と投げ掛ける。

ピシリと一瞬固まり、ギリギリとこちらへ視線を向ける詩織。


顔を真っ赤にさせて……って、これガチのやつかもしれない。

ありゃ、やりすぎたかも…?


「穂波ぃ!!」

「あっははは!

 まぁ、落ち着きなよ詩織。

 後でご褒美くれるかもしれないしさ!」


笑いながらさっと距離を取れるのは<武の極致>の恩恵。

逆に<魔の極致>って対極のクラスの癖にすっと近付いて来れる詩織が怖い。


幼馴染たちとの会話は心地よくて、ずっといつまでも話していたい。

こんな時間がずっと続けば良いんだけどね。

お読みくださりありがとうございます。


個人よりも集団戦で効果を発揮する【戦神】は地味ですが非常に強力です。

ほぼ単一部隊で魔境を抑えるだけの力を持つのは伊達ではありません。


今回は新規で読み込んだものではなく、以前から知っていた作品です。

心配おかけしてますが、優先順位はきちんと更新作業です(笑

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