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神様のおねがい  作者: もやしいため
第十章:アルス領お家騒動
200/537

【幕間:日本】退屈な日常

記念というのはおかしな感じもしますが、200話ということで一話完結の完全な番外編です。

それでは理熾の日本における日常をご覧ください。

昨日までの積み重ねを使う今日。

そして今日までの積み重ねを使う明日。

『新しいこと』は前日までの差分で、当日が過去の経験で対処出来るのなら、結果的に一日を無駄にする。

逆に言うと『毎日が同じ』と感じるのは、差がほとんど無いと言うこと。

大体が過去の出来事に当てはめれば何とかなる程度に理解してしまうと、日々はとてもつまらないものに成り果てる。


知恵や発想を必要とせず、ただ過去の経験によって解決される日常は何処までも機械的。

むしろその解決策(いつも)を外れた場合にこそ、嫌がらせのようなツッコミが入る。

例えそれが改善策であったとしても、一度でも怒られてしまえばやる気も起きない。

悪循環とまでは言わないものの、これでは過ごす日々から色が無くなる。

ただただ『同じ』を過ごすだけで、色褪せて見えてしまう。


『出る杭は打たれる』と言う。

確かに量産型(おなじもの)の生産に力を注いでいる現状を考えるとそういうこともあるかな、と納得してしまう。

だから『能ある鷹は爪を隠す』という訳なのかもしれない。

でも鷹がいくら爪を隠したところで鷹は鷹で、爪を隠すことに特に意味は無くて、単に『鷹だ』と思われて結局撃ち落される。


対処法としては『折れた爪』でも晒せば良いのかもしれない。

それなら誰からも恐れられないので撃たれることは無くなる。

けれど折れた爪では餌を獲れずに結果的に野垂れ死ぬことになる。

だったら『能無し』の何が悪いのだろう?


だから僕は一体何のために生きているのか分からない。

求められているのは全部機械でも代わりに出来ることで、僕である必要が無い。

けれど今の下らないルールを外れて何かをする気にもなれない。

無気力ってこういうことを言うんだな、と自覚もする。


出る杭は平気で叩き折る癖にその正反対の『誰にも負けないモノ(オンリーワン)を作れ』とか言うのだから意味が分からない。

矛盾って言葉があるけれど、由来を思えばそれよりもかなり酷い。

だって矛盾ならお客の質問に店主が答えられなかっただけで『まだ矛も盾も壊れていない』し。

でも現実には結果が出るまで『オンリーワン』を唱えられ、誇れるほどの『オンリーワン』を手にしたら叩き折られる。

逆に「これは無理かな」と違う方向へと向かうと『諦めるのか』と責められるのだから本当にやってられない。


やっぱり色々とおかしい。

『頑張れば頑張るだけ結果が出る』はずも無いのに、頑張りを強要する。

しかもそこに求める頑張りは『諦めなければいつかは』っていう甘い言葉までくっつく。

無理なものは無理だし、出来る人は出来るし、やる。


鳥が空を飛ぶ理由は色々あると思うけれど、結局のところ『鳥だから』が一番の理由だ。

鳥のように空を飛ぶなんてことは絶対に無理だ。

むしろ鳥にしても『空を飛ぶから凄いだろう』ということはなくて、単に『飛べるから』だと思う。

一杯出来ないことを抱えて空を飛んでいるし、彼等が本当に『空を飛びたいか』とかは誰にも分からない。

人で言うなら『足があるから走って歩ける』ってだけ。

そこには出来るからやっているだけで、単なる移動手段にしかならない。


こんなことを言うと進化論を持ち出すのもいるけれど、だったら「進化するだけの時間を寄越せ」と言いたい。

絶対に一代で成し遂げられる偉業ではない。

もし出来るのならばそいつはそもそも『鳥になれる何か』でしかない。


結局言う側は誰かの精神さえ削れればそれで良いってことなんだろう。

そんなことなら生きることだけで十分。

平凡であり、中庸であることの何がいけないのだろう?



「理熾ー?

 また変なこと考えてる?」


机に突っ伏してぼんやりと窓の外を眺めていたところに声が掛かる。

僕はそのぼんやりとした視線を声の主へと向けて相手を確認する。

確認しなくても分るけど、この動きはいる。

見向きもしなければ何をされるか分からないし。


「図星だね!」

「…何か用?」


「うっわ、冷たい!

 せっかくこのあたしが数学のプリントを持って来てあげたのに!」

「うん、ありがと」


そう言って少し身体を起こしてプリントを受け取って、改めて机に突っ伏す。

今は5時限目で数学の自習時間。

なんでも小林先生の子供が『今まさに産まれる!!』とかで学校を飛び出して行ったらしい。

それだけ言って慌てて出て行ったみたいで、次の授業があるなんて誰も知らなかったんだって。

結果20分くらいぼけーっと待ってから、日直が先生を呼びに行ってようやく発覚。

分からなくも無いけどちゃんと引継ぎぐらいすれば良いのにね。

どれだけ慌ててたんだろう?


「でさー、ここ分かんないんだけど!」

「何でだよ…。

 僕より成績良いんだから考えろよ…」


「いやぁ、理熾って説明上手いからさー。

 先生とかすれば良いのに」

「平均点しか取れない先生とか僕は嫌だよ」


「でも数学は得意でしょ?」

「…まぁ、ノート取ってれば分かるけどさ」


「ほらね!」


何が「ほら」なのかはさっぱり分からない。

とりあえず頼りにされていることだけは分かった。

僕もプリントはやらないといけないからざっと目を通す。

見たこと無いのが混じってるなぁ…。

僕は「教科書貸して」とお願いしてパラパラ捲って確認した。

教科書を貸した側は僕の横でにこにこと笑顔で答え待ちをしている。

もう少し自分で考えようよ。

…なるほど、そういう意味ね。


「…答え書いてあるよ?」

「え、どこ?」


と僕に顔を寄せて覗き込む。

近いなぁと思いながらプリントを指を差す。


「ほら、ここに『答えが3になるように証明せよ』って」

「それは問題だよ!!」


うん、それは知ってるよ。

『問題文』って書いてあるし。

でも問題文なんだから答えがあるし、『ちゃんと読めば分かるように書いてある』って事だよ?


「違うよ。

 知ってる計算式当てて『3』になるようにすれば良いんだよ」

「その解き方絶対違う!」


「ぇー…何でさ。

 まず問題の中の気になる数字とか意味ありげな文字を書き出すでしょ?

 後はその組み合わせが3になるやつを探せば良いんだよ。

 最後にそれらしい言葉を足せば出来上がり」


僕の適当な説明に、「そんな解き方だめだよ!」と相変わらずギャーギャーと五月蝿い。

でも解き方ちゃんと分からないんだし、答えが合ってればそれで良いじゃないかと僕は思う。

ま、合ってるかもわかんないけどさ。


そんなことを思いながらプリントと教科書を見比べながら「何だか変な問題だなぁ?」と思いながら解いていく。

横で僕の書き込む数式を感心しつつもうんうん言いながら覗き込んでくる。

いや、だから近いってば。

相手の額に手を当てて押しのけていると


「相変わらず仲良いなぁ。

 ていうか詩織のアピール無視しちゃだめよ?」

「んー?」

「アピール違う!!」


「はいはい、お熱いことで」

「穂波!!」

「できた。

 はい、穂波。

 どうせ写しに来たんでしょ?」


そう言って10分ほどで終わらせたプリントを穂波に突き出す。

満面の笑みで受け取りつつ


「さっすがー理熾ちゃん。

 私のこと分かってくれてるね!

 愛してるよー!」

「穂波!?」

「はいはい、心にも無いこと言わない」


僕は適当に流しながら借りていた教科書を返した。

その時何だか背中が重くなった。


「理熾ったらこんなに可愛い子が近くに居るのに素っ気無いなー。

 ねー、詩織ー?」


と穂波は僕に枝垂れ(のり)掛かってきていた。

確かに詩織と穂波は二人して可愛い。

学校を超えて地域とか地区とかで考えても1、2を争うくらい。

いや、正直そこら辺のアイドルなんて目じゃないと断言できる程度には。

今のところ僕は聞いたことは無いけど、ファンクラブなんてものもあるんじゃないかな?

幼馴染っていう僕から見てもそうなんだから、見知らぬ誰かからは美少女二人組みと思われるだろうね。

この二人ってすっごく気が強いんだけどね。


それが今は僕に覆いかぶさって頭にほっぺをくっつけてすりすりしている。

状況を知らない人が見れば「リア充爆発しろ!」と睨み付けたかもしれない。

というより今まさに殺意の目が殺到している真っ最中だからやめて欲しい。


それに今は中一の夏。

そう、夏なんだよ。

空調設備(エアコン)が入るって話にはなっているけど、今はまだ無い。

確かこれから数年以内らしい。

僕達が卒業する前であってほしいね。

だから


「穂波暑苦しい、鬱陶しい」


と僕は出来る限り冷たく振りほどく。

重いし、暑いし、何より視線が痛い。

もう少し自分の見た目を考えて欲しいよ。


「早く離れて!」

「はいはーい」


詩織の言葉に面白そうに穂波が答えて身体を離した。

僕は背中の重みと暑さが遠のくのを感じて「ふぅ」と息を吐く。

穂波が離れて少しは熱気と視線が収まってほっとする。

それでもまだ茹だるような暑さにぼんやりしてしまう。

午後一発目の授業が自習(自由)時間…眠い。


「理熾、穂波の言うこと真に受けちゃダメだからね?」

「当たり前でしょ。

 穂波彼氏居るのに」

「そうなの?!」


「何で穂波が驚くの?」

「彼氏なんて居ないんだけど…」

「びっくりしたぁ…」


「アレー?

 何かちょっと前に腕組んでにやけてる姿の目撃情報が…」


確かあったはず。

でもほんとにあったっけ?

と僕は茹だる頭を回す。

ぐるぐるしていると穂波が僕を指差して


「その相手はお前だぁ!」

「アレ、そだっけ?」


と返答するとグーで背中をドンと殴られてしまった。

身に覚えがございません。

痛くは無いけど、衝撃を受けて少し詰まる。

おかしいなぁ…?


「一緒に本買いに行ったでしょ!」

「ぁー…アレかぁ。

 何故かあの暑い日に…というか穂波って暑さに強いよね」


そうか、ようやく思い出した。

あの日は確かに暑かったとシミジミ感情を乗せる。

何か僕の感想が全部『暑い』ばっかりじゃないかな?

アレ、もっと色々考えてなかったっけ、僕。


そんな事を考えてたら横で詩織が「ずるい!」と騒ぎ出す。

そんなこと言われても僕にはどうしようもない。

本屋に行ったのも僕の用事だし、穂波とはたまたま会っただけ。

示し合わせて行ったわけでもない…ということを説明したけど二人とも収まらない。


アレ、二人?

何で穂波も騒いでんの?

真面目に僕は「何この状況?」と思っていた。

改めて言うけどこれは授業中。

自習時間でも騒げば隣の教室から先生が襲来するじゃんか。


「とりあえず二人とも落ち着こう。

 ほら、周りを見て…って、何で全員目を逸らしてる!?」


教室の皆は薄情だった。


美少女二人が騒ぐ姿は目立つ。

その二人に挟まれている僕も当然目立つことになるけど、気が付けば日常になっていた。

中学に入ったばかりの時は、二人が皆の視線を集めてた。

嫉妬とか、憧れってああいう目をするんだよね。

小学校でも学んだし。

で、当たり前だけどこの二人に近付くためにあの手この手を使ってた。

けど残念という当然と言うか。

全てが本当に意味が無かった。


綾瀬(あやせ) 詩織(しおり)五十鈴(いすず) 穂波(ほなみ)の二人は完璧だ。

見た目は…うん、見た目通り。

二人とも勉強も運動も出来て、言葉で表すなら『優秀』の二文字。

しかもお互いをライバル扱いしてるから、余計に凄くなっていく。

その二人にあの手この手を使ったところでその圧倒的な性能(スペック)でねじ伏せられていた。

いやぁ、多分『圧巻』って言葉はあの二人に使う言葉なんだよ。


二人と並ぶことは誰も出来ず、友達と言うよりは…なんだろ?

先生?親?

…教祖?

うん、なんか宗教みたいな感じ?

皆の中心ってことかな。


そんな二人が何故か僕に付きまとう。

嫌いじゃないし、むしろ好きだから良いんだけどね。

で、僕はと言えば見た目が子供。

12歳なんだから当たり前なんだけどさ。

成績は平均、運動もそこそこ。

二人に見劣る部分しかない。

劣等感(コンプレックス)を感じることは余り無いけど、「二人が僕の傍に居るのは何で?」とは思う。

頼られるのが嫌だと思わないけど、「もっと適任者(できる人)が居るよ」って僕や周りが言っても聞いてくれない。

まぁ、無理なら断るから良いんだけどさ。


そういえばちょっと前まで色々とあったなぁ。

と僕は思い出す。



例えばあるとき僕は悪口を言われたことがあった。

余り気にせずに「そっかー」と適当に流した。

癖みたいなものかな?

確かに残念な気持ちになるけど、『そういう意見もあるんだな』と納得してしまうからね。


でも次の日には何処からか聞いて詩織と穂波が知っていて。

悪口を言った人が吊るし上げられていた。

僕が気にしてないのに、何で二人が問い詰めてるんだよ?

そこに何故か僕が止めに入るっていう良く分からない状況に…。


ようやく収まったと思ったら、吊るし上げに遭ってた人が「二人が居なきゃ何も出来ないのか!」とか言っちゃった。

今まさに起きたことを考えると「そうかも?」としか僕としては返せないよね。

いや、煽ってるとかじゃなくてね?

それを聞いた二人がまた「理熾に何てことを言うの!」とか吊るし上げそうになって、また僕が止めることに…。

お願いだから静かにしようよ。


そういえば他にも脅されたことがあったっけ。

確か二年生の人が僕に直接手紙を持ってきた。

「なんだろう?」って思っていたら、「体育館裏に来い!」って怒鳴って帰っていった。

あぁ、これはアレだ。

殴られるやつだ。

念のために手紙を読むと、言われたことと同じ言葉が書かれていた。


行っても良いんだけど、痛いのは嫌だし。

それに殴られたら殴られたで二人が五月蝿そうな気がする。

そのままゴミ箱に捨てて「今日も平和だなぁ」って現実逃避。

残りの授業をこなしてその日はそのまま帰った。

『日付』も『時間』も無いし、場所しか言われて無いからいつでも良いっぽいしね。

そういえば何だか周りから注目されてたなぁ…やっぱり上級生が来ると目立つよね。

まったく巻き込まないで欲しいもんだよ。

どうせ本命は二人のどっちかなんだからさ。


翌日その人が教室に走りこんできた。

「何か急ぎの用でもあったのかな?」と思ってたら僕の席に仁王立ちして「何故来なかった!?」って怒鳴ってきた。

流石にあの時はちょっと怖かったかな。

でもまぁ、僕には昨日用事があったんだよ。

それに僕は「行く」なんて一言も言ってないし。


何だか怒ってるみたいだし丁寧に答えないといけない。

用事があったことを言ってから、「行く日を決めたら改めてお手紙(お返事)しますね」って答えたんだよ。

僕にも予定があるし、相手のお願いばっかり聞いてられないからね。

まずは予定を合わせないと。


そうするといきなり制服の胸の辺りを掴まれて引っ張られて立たされた。

そのまま机とか椅子を掻き分けながら出口へ連れて行かれた。

一瞬ドキっとしたけど、『危ない時のために持っておきなさい』って言われたものがある。

だから僕は小学生御用達の防犯用の携帯警報機(ブザー)をすぐに使った。

もう中学生だけど、いつ危ない目に遭うかもわからないからまだ持たされてたんだよね。

うん、少しだけ「使う場面違うかも?」とは思ったんだけど、今は多分『危ない時』なはずだし。


センパイが来てたのは、まだ1時限目どころか朝の会が始まる前。

まだ皆が「おはよー」って言ってる時だったから、教室を出た辺りで注目の的に…。

警報機ってやっぱり凄い音するんだよね。

あの時は皆がこっちを見てて少し恥ずかしかったなぁ。


そのせいで騒ぎになったんだけど、センパイが僕の制服を握ったままですっごい焦ってたのはちょっと面白かったかな?

気が付けば先生が何人か来て、色々と聞かれたけどとりあえず「ちょっと引っ掛けて音が鳴っちゃいました」って答えといた。

本当の事言っても色々めんどくさいことになりそうだったし、念のためにも「ごめんなさい」って言ったら「そうか」って納得してくれた。

あ、そうそう。

そのセンパイとは仲良くなったよ?

何がキッカケで仲良くなるか分からないね。


他にも教科書やノートが破られてたこともあったっけ?

でもそんなの無くても困らないから良いんだけどさ。

先生が黒板に書いてないことは教科書に載っててもテストに出ないから別に要らない。

ノートは読み返すこともほとんど無いから良いんだけど、「ノート提出な」って先生に言われた時はちょっと困った。

その時は絶対に出さないといけないわけでもなかったし、「忘れました」って言って流したんだけどさ。

そのままノート代わりにメモ帳使ってたんだけど、すぐに詩織と穂波にバレちゃった。

犯人探しってことで暴れそうだったから解決策を考えたんだよね。


教科書はページがバラバラ破られていた訳じゃなくて、たまたま綴じ部分を裂かれていた。

ルーズリーフの閉じるファイルが無い感じといえば分かるかな?

というか教科書を縦に破るって「どんな怪力だよ」って感じだしね。

破りやすいように引っ張ったんだろうね。

でもまぁ、バラバラにされているから、そのままじゃ使えなかった。

持って行って見付かったら面倒だしさ。


たまたまお父さんが『自炊する』とかで便利なスキャナーとか、本を切る道具を買い込んでたのを思い出してさ。

あぁ…でもお母さんに「またそんなゴミ買ってきて!」とか怒られてたなぁ。

確かに本の背表紙落としちゃうと売れなくて捨てるだけになっちゃう。

部屋は少しだけ広くなるかもしれないけど、勿体無いからね。

…ま、お父さん結局全部やらずに飽きちゃったみたいなんだけどね。


でも大丈夫。

「僕が変わりに使うからさ!」って思いながら、バラバラの教科書をもっとバラバラにして取り込み完了。

というか無事だった教科書も同じようにして、綴じられる紙に全部印刷。

あ、それでも綺麗に破れていない(って変な日本語だけど)ところは二人からちょっと借りてコピーしたりね。

ちょっと荒いけど、使う場所だけ持って行くようにしてから荷物が減って楽になったんだよね。

二人は「これじゃ貸せない…」とか言ってたけど、同じクラスだから最初から借りれないよ?


そんな感じで入学してから1ヶ月くらいは色々あったけど、最近は無くなったなぁ。

小学校が同じだった友達は「絶対嫌だ」って一緒にやらなかったみたい。

同じ学校だった人にそんなことされたらいくら僕でも凹むから良かった。

気が付くと詩織と穂波に僕も含めて『不可侵』って事に…逆に『結構掛かったな』くらいの感想しかなかったみたい。

いや、そんなこと思ってる場合じゃないよ。

お願いだから止めようよ。

というか僕は普通なんだからもっと友達しようよ?



そんな平和なはずの今、周りは完全に敵地(アウェー)

ちょっと『現実逃避』をしてみたけど変わらなかった。

くそぉ…誰か助けてくれても良いじゃないか。

そんな皆して『お前何とかしろよ』って目で訴えるのやめてよ!

「あーあ」と思いつつ僕は手を打つ。


「で、詩織は何処に行きたいの?」

「え…?」

「いいなー!」


穂波が羨ましがるけど、穂波(お前)の相手をしたから詩織が駄々っ子なんだよ!

まったくもう!

とりあえず今は無視に限る。


「行きたい場所あるんでしょ?」

「うん!

 今日あたしの家に遊びに来て!」


「んー?

 別に良いけど今更じゃ…」


何回も行ってるし。

というか、そんなことで良いの?

思わず首を傾げてしまう。


「良いの!

 ゲームしよう、ゲーム!」

「あ、私も行くー」


無視したのに精神力(メンタル)強いな穂波…。

しかもこっそり入ってきてるし。

まぁ、二人とも仲良いしじゃれても喧嘩はしないから良いけどね。

今回も同じようにあっさりと仲良くなって二人できゃっきゃとはしゃいでる。

「プリントもう良いのかなぁ?」と思いながら眺めていると今までと違う視線を感じた。


「とりあえず二人とも静かにしようか。

 あそこで清水先生が無言で睨んでるからさ」


僕が視線を送ると二人もつられてそちらを見る。

すると国語教師がまさに教室の扉に手を掛けて進撃を開始しようとしているところであった。

二人とも万能な上に素行も良いのでほとんど怒られることが無い。

でも、今回は逃れられない。

現行犯だしね。


「綾瀬さん、五十鈴さん!

 隣まで声が聞こえてますよ!

 課題は終わったんですか?

 ほら、他の子もちゃんと静かに自習しなさい!

 自分の席に戻りなさい!」


僕は「あーあー」と思いながら机に突っ伏す。

小林先生の課題(プリント)はもう終わっているし、僕は席から動いてない。

清水先生が言った注文は既に終わってるし、気にすることも無い。


「うぅ…理熾ぉ…」

「もっと早く教えてよぉ…」

「いや、僕も気付いたのついさっきだし。

 それより早くしないと時間なくなっちゃうよ?」


と話す僕の言葉に我に返り、食い入るように僕のプリントを写していく。

二人とも僕よりも圧倒的に成績が良いくせにさ。

何だかんだで残り時間も短い。

授業だと長く感じる50分も、自習(自由)時間となれば短く感じる。

時間って平等じゃないよね。

それにしても「もしかしてまたテスト前に教える羽目になるんじゃ?」とか思いながら5時限目の終了のチャイムを聞いた。


あ、そうそう。

どうでも良いんだけど、小林先生のプリントは二年生の『一年生で習った復習用』だったみたい。

だから一年生の一学期も終わってない僕等には1つも答えられないはずなんだって。

おかしいと思ったんだよね。

詩織から借りた教科書の後ろの方に載ってる問題もあったし。


そんな説明をして先生が謝った。

ちなみに。

まともに答えられたのは僕と詩織と穂波だけで、しかも答えは合ってた。

うん、成績とか考えたらそう思うだろうけどさ。


でもさ。

先生は教壇から何故か僕に視線を合わせて


「こんなことがあっても人のを写すのはダメですよ」


って言われたのだけが納得いかない。

くそぉ…二人が僕のを写したのにぃ…。

お読み下さりありがとうございます。


番外編いかがだったでしょうか。

はっちゃけ具合は確実にスフィアの方が激しいですが、どこでも理熾は理熾というものに仕上がっていれば幸いです。

そういえばこの話で初めて同年代の相手と共演です。

これまで登場した全ての相手は大人ばかり。

そんな大人の中に放り込まれている理熾のストレスを考えると、筆者にはとても真似出来ません(。。;

今更ながら適応能力の高さに驚きです。


ともかく。

PVが二日続けて一日50万超えてます…。

前回の更新で300万PV超えましたと伝えたばかりなのに、もう400万PVを超えています。

読んでいただけて大変ありがたいことですが、余りにも増加の勢いが凄すぎてテンパってばかりです(、、;

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