第三話。
家族と温もり。
※ちょっとシリアス?
**ロシィ**
「ふぅ…」
今日、奏汰に友達ができたみたい。
まぁ、友達っていっても精霊だし、一緒に住むことになったから兄弟みたいなもんなんだけど。
にしても…あの精霊がつくってことは、奏汰の魔力はアタシと同じくらいかそれ以上…
「早いところ学校に通わせる必要があるよね…ん、ここら辺で一番近いファーストに知り合いいたっけ?」
…あっ!
「たまには顔出せって言われたし…里帰りでもするか!そうと決まれば早速!」
**side out**
「それにしても、よくボクを受け入れてくれたよね…」
(慣れてるからじゃない?僕が倒れてるのを見た人は結構いたけど、助けてくれたのはロシィ姉さんだけだったし。故郷には倒れてるのを助けて家族になった義妹がいるみたいだし。僕と同い年みたいだよ?)
奏汰は早くも会話という行動に慣れたらしく、嬉しそうに会話している。
もっとも、端から見るとスピカが独り言を言っているようにしか見えないのだが。
「へぇ…じゃあロシィ姉は血が繋がってない弟と妹がいるようなものかぁ、家族がいっぱいだ!いいなぁ…」
(確かに。今日1人増えたしね!)
奏汰の言った(考えた)言葉に何故か目を丸くしているスピカ。
(…スピカどうしたの?)
「あ、いや、何でもない。それより、ロシィ姉はいつまで通話してるんだ?」
今度は少し目を曇らせるスピカ。
ちなみに、スピカのいう「通話」とは、相手と糸のようなイメージで魔力を繋ぎ、会話をする魔法である。
最近は魔法を使えない人用に「通話」の魔法道具も普通に売られているが。
ここで、魔力の説明をしよう。
魔力とは、文字通り魔法を使ったり魔法道具を使うのに必要な力で、その保有量は先天的な保有量と「器」の大きさと努力の量、質で決まる。
「器」の大きさとは、練習を重ねて保有できるようになる限界の魔力量である。
だから、幼いときはずば抜けていて、その後も周りと同じ努力をしても、気がついたら周りに劣っていたということもありえる。
(スピカってば、聞いてる?)
「ッあぁ、ごめんねっ!考え事してた!」
(…大丈夫?)
「…あー、ちょっと一人で考えさせてっ。そんな大したことないからすぐ戻ってくるよ!」
そう言うと、スピカは部屋からでていってしまう。
(…どうしたんだろう。気に入らないことがあったのかな?もしかして、僕たちと家族になるのが嫌なのかな?)
部屋には泣きそうな顔をした奏汰が残された。
**スピカ**
…家族、かぁ。
ボクは精霊だから、恐らく死ぬことはない。
だから、今までとても長い時間一人だった。それに、ボクは生まれて間もないから人間に付いたのは奏汰で2人目なんだけど、前に付いた人間は誓約したとたんボクを金儲けの道具にした。
あ、「付く」っていうのは精霊界っていうボクらが住んでいる場所にいる精霊が人間の魂に引き寄せられて、人間界に具現化して、引き寄せた人間と意識が繋がること。
「誓約」っていうのは魂を結びつけて、人間が死ぬまで運命を共にするってこと。これはしてもしなくてもいい。
で、金儲けの道具は当然、睡眠も食事もしたことがない。
精霊は不死身だけど、誓約すれば空腹や痛みを感じる。つまり、変身できる人間になるみたいな感じ。
空腹や痛みがあり、尚且つ睡眠を取れなかったボクは、使い物にならなくなった。
だから、捨てられた。
まぁ、その人間はすぐに死んだらしく、精霊界に帰れたから良かったけど。
思えば、なんで誓約をしたんだっけ?
…あぁそうか、他の精霊がいっていた人間の「家族」ってやつが羨ましかったんだ。
で、帰ってきた精霊界にもボクの居場所は無くなった。
みんなが人間に愛情を持つ理由が分からなかった。人間に付く気もなかった。
だから人間を殺そうとしたこともあった。そして、気付いたら独りだった…
独りで過ごす毎日。ある日、ボクは暖かい光を見つけた。思わずその光に触れてしまい、浮遊感を覚えたところで気付いた。
その光は、人間の魂だと。
うっかり付いてしまった人間は、ボクが人間になった姿より少し小さい身長の男の子だった。でもその目の奥を見て、「似てる」と思い、逃げることもできたはずなのに、思わず声をかけていた
しかし、肉声での返事は返ってこない。どうやら喋れないようだ。
不意に、胸がチクリと痛む。そして、この感情が「同情」に似たものだと気付き、愕然とする。
あんなに嫌いな人間に同情したのだ。
そして、行動を起こした。
人間になって話すと、男の子はすごく喜んでいた。ボクも嬉しかった。
しかし、名前を聞かれて困った。
人間としての名前は持っていないから。
でも、この男の子なら、名前をつけてもらいたいと思ったので頼んでみた。
すると満面の笑みで、噛み締めるように「スピカ」と言った。
ボクは、その時から「スピカ」になった。
いい名前だと思う。
その後、何故かボクも人間の学校に通うっていう話になる。
不安だけど、奏汰と一緒ならきっと大丈夫だ。
ボクたちは奏汰の部屋で他愛もない話をしていた。
その話で、ボクのことを「家族」だと奏汰が言った。
ボクのことを「家族」と思ってくれることが嬉しかった。
けど、違うんじゃないかと思った。
…奏汰は、ボクをペットとして「家族」と言ったんじゃないか?
そう思い、落胆した。
一瞬、「家族」になれたら誓約を結ぼうとしたボクがバカらしく思えた。
そうだ、ボクはただの道g「あら?スピカじゃん。何してるの?」…?
あぁ、ロシィ姉…いや、ロシィさんか。
「ちょっと考え事を…」とボクが言うと、
「ん?悩みならきくよ?」と言われる。
「いや、悩みではないんでs「だから、聞くっていってるじゃん」いやだから、何でもないですって。」
引き下がってくれない。よし、逃げるか。
「本当に何でもない!じゃあ、散歩にいってきm「じゃあ、なんでそんな泣きそうなの?とっとと吐いちゃいなさいよー。」………」
言葉を失った。
…この人にはかなわないな。
ボクは、観念して過去の出来事とさっきの会話を掻い摘まんで話した。
………………
「奏汰が言う家族っていうのは、ボクをただのペットとして扱うって意味でしょ?じゃなければ道具であるボクを家族だなんて呼んでくれるわけがない。」
とボクは言った。
胸がチクリと痛んだ。これが本心のはずなのに、なんで?
すると、
フワリ…
気付けばボクは、ロシィさんに抱き締められていた。
ボクが驚いていると、
「それは辛かったね…これからは、アタシが姉で、奏汰は…弟、かな?うん、まぁどっちちしろアタシ達は家族だから。一緒にご飯だって食べられる。ぐっすり寝ることだってできる。だから、安心して甘えていいんだよ?」
もう、ダメだった。
「うッ、ひっく…う、わぁぁぁぁぁん!」
ボクは、初めて泣いた。
そう、ボクはずっと1人だったんだ。
精霊界にも、友達はいなかった。
暖かいものなんてどこにもなかった。
それなのに。人間は温かかった。
(スピカ!?どうしたの!)
と、ボクの兄弟の声が聴こえた。
と思ったら、目の前に現れてボクを不安げに見つめ、手を握っている。
…アハッ!これじゃぁボクが弟だねっ!
「あ、明日からアタシの故郷に行くから、買い物いくよー。昼ご飯まだだし。」
あ、そういえばお腹空いたなー
初めてのご飯だ!
(えっ!?ロシィ姉さんの故郷にいくなんて聞いてないよ!どうせさっき思い付いたばっかだ!いつもそうなんだから…ハァ。)
「ロシィ姉…奏汰は今聞いたみたいだけど?」
「今話したもん。ほら、はやくでかけるよー!」
ハァ、これからどうなるやら。
…よしっ、決めた!
何があってもボクは家族を守るよ!
(そう言えばスピカって髪長いから女の子みたいだけど、服どうするの?)
『あがっ…』
そこは突っ込まないでくれ、兄弟よ…




