↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドの調査員  作者: 承塊
事件file No.1 『立ち止まっているだけでよかったのに』
PR
7/9

容疑者候補たちとご対面

死体を上司に任せる前に、聞いておかなければ。


「新星の旅路はどこに待たせてます?」

「いつもの部屋だ。」

「了解です。彼らの様子はどうですか?」

「少なくとも良くはないな。何かは言われるかもしれん。覚悟はしておけよ。」


いつもの部屋なら、応接室か。応接室は、あくまで商談の取引や、打ち合わせ、面談や相談を行う部屋だ。できればこんな理由で使いたくない。


だが、仕方がないのだ。今から調査員のための新しい部屋を作るのも難しい。なぜなら、調査員専用の部屋は基本的に使わないからだ。普段使わない部屋を何個も作れるほど、余裕があるわけではない。


ちなみにだが、この冒険者ギルドには尋問室もある。ならそちらを使えば良いだろうという話もあるが、まだ、犯人だと確定できていなければ、使えないのだ。こっちの部屋の方が使わないのに。


にしても、よくはない、か。言われることには慣れているが、できれば嫌な思いはしたくない。しかし、調査員として働く以上避けられないことだ。


これからのことを考え、気を重くしながら霊安室を出て、カナンと共に向かっていると


「先輩…。」

「ん?どうした?」

「先輩は今回の件は、事故と事件のどちらで考えてます?」

「俺は事件だと思ってる。少なくとも、偶然の事故とは思えない。疑問点が多すぎる。」

「ってなると、俺の力が必要ってことすか!?」

「まぁ、そうなるな。お前は耳がいいからな。尋問は任せる。期待してるぞ。」

「任せてください!」


やる気を出してくれるのは嬉しいことだ。ただ、俺の考えならば新星の旅路の中に、直接的か間接的に殺した奴がいるはずだ。


今回の事件は疑問点が多い。少なくとも嘘をつかれることはありうる。そうなれば、カナンの力が必要だ。

………ほんと、調査員に向いてるよ。


カナンの張り切った顔を横目に見ながら、気合を入れる。ここからは、心を強く持たなければな。


話しながら歩いていれば、応接室のドアが見えてきた。扉の前に立ち、深呼吸をしてから、ノックをし、部屋に入る。


部屋の中には、澱んだ空気が漂っている。応接室にいた4人の人物をざっと見る。男が2人、女が2人。男は1人は童顔で、もう1人は、痩せている男だ。女は、1人はきつそうな顔をしている。もう片方は、小柄で小動物のような印象を受ける。全員が沈痛な表情をして、こちらを胡乱げな目で見ている。


そりゃそうだ。人が、パーティーメンバーが、自分たちを守ってくれた人が、死んでいるのだから。


部屋の雰囲気に流されないようにいつもより少し声を張って話す。


「初めまして。調査員のレナン・ハースです。」

「同じく、調査員のカナン•ウェディンです。」

「この度は、誠に残念でございます。心からお悔やみ申し上げます。皆さんも未だ辛いこととは思いますが、事件の真相を解決するために、一度お話を聞きたいと思います。」


そういうと、童顔の男が立ち上がった。


「前に話したとおりだ!それ以上のことは何もない!早く保険金を渡してくれよ!あのことを蒸し返すなよ!俺らの気持ちも少しは考えろよ!」


そうか、俺らの気持ち………か。男の物言いもわかる。パーティーメンバーが死んで、その状況を思い出して、赤の他人に話してくださいって言われて、少なくとも良い気持ちになるやつはいない。


でも、それでもだ。俺たちは、感情的になってはいけない。

俺たちだけは感情的になってはいけない。


「私たちは、保険金を渡せるかどうか判断するために、あなたたちの話を聞く必要があると考えています。あなたたちがこれに応じなければ、保険金を渡すことはできません。」

「ですから、どうか協力していただきたい。」


そう言って俺は頭を下げる。


男も落ち着いたのだろう。それを見て、頭を上げて話し始める。


「今から奥の部屋で1人ずつお話を聞いていきます。呼ばれた人から部屋に入ってきてください。」


そう言って奥の部屋に入る。応接室の奥の部屋は、防音の結界が張ってある。そのため、外に声が漏れ出ることはない。今のうちだろう。カナンと話しておくか。


「とりあえず、説明はできたな。まずは、ソル・レターを呼んで話を聞くか。」

「了解です!でもなんか久しぶりっすね、この拒絶される感じ。気持ちはわかるっすけど、やっぱりちょっと辛いっすね。」


カナンは、優しいやつだ。他の人よりも共感性が高い。他人の感情や状況を自分ごとのように捉え、寄り添えるやつだ。


調査員に向いている力はある。ただ精神構造があまり適してはいないのだろう。だからこそ、矢面に立つのは俺だけでいい。


こいつは、このままでいいのだ。カナンのこの気持ちは、穢してはいけない、素晴らしいものなのだから。


「大丈夫だ。辛くなったら俺が前に立つ。だから気にするな。それに、あいつらも今は少し情緒が不安定なだけだ。」


そう言いながら、背中を優しく叩く。


「………大丈夫っす。俺ももう大人ですから。」

「こういう時は、素直に先輩の優しさを受け取っておくもんだよ。」

「じゃあいつもの言って欲しいです。」

「あぁ。カナン、期待してるぞ。」

「了解です!」


これでカナンは大丈夫だろう。


さて


早速尋問を開始しよう。


次回こそ尋問です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。