死体確認
もしかしたらもう一話投稿するかもしれません。
最後を少し書き直しました。
昼食を食べ、時刻は12時半頃。
俺とカナンは、霊安室に向かっていく。
「ご飯食べた後に死体確認すか………。なんか気分悪くなるっすね。」
「すまんな。ご飯食べる前とかにできればよかったが…。」
「まぁ、しょうがないっすよ!それに死体にはある程度慣れてますから!」
強いな。元冒険者といっても、全員が死体に見慣れているわけではない。死体に慣れることなく冒険者を辞めていくこともある。なんなら見たことがないって人もいないとは限らないからな。
とは言っても、調査員として働けば働くほど慣れてはいく。
………俺も昔はこうだったな。いつの間にか、可愛く無くなってしまったのだろう。
もう少し愛想とかよくした方がいいか?
「まぁあれだ。これから働いていけば慣れていくだろう。これからだよ、これから。」
「そうっすね!頑張るっすよ!」
「その意気だ!よしじゃあ俺も頑張っちゃおっかな〜!」
「えっ………。」
「………なんだよ。」
「なんか……あれっすね……無理して頑張ろうとする先輩ってなんかちょっときもいっすね!」
泣いちゃう。
後輩の言葉のナイフに心を痛めながら階段を下っていく。
どの冒険者ギルドでもそうだが、霊安室は地下にある。霊安室の中に死体保管室がある。基本的にほとんど使われることはないため、若い職員にも知らない人は多い。
ちなみにみなさん、死体保管室に行くときは何が必要だと思う?
幽霊が出た時のために除霊のお札?
死体がゾンビになった時用の、火炎放射器?
チッチッチッ、正解は………
「やっぱここは寒いっすね〜!防寒具を持ってきといて正解でしたね!」
「だな。」
防寒具である。死体の腐敗を防ぐために死体保管室はかなり寒くなっている。霊安室は最悪防寒着はいらないが、死体保管室に入れば、防寒着なしでは耐えられないだろう。
霊安室に入る許可ももらってきた。防寒具を着て、霊安室の奥にある死体保管室の鍵を開ける。
さぁ一体どんな死体が待っているかな?
死体保管室には、真ん中に大きな長机があり、扉のない壁には奥に伸びる死体保管庫が壁一面に取り付けられている。この中に、数えきれないほどの死体があるのだ。
………とは言っても、ここは基本的に死体を一時保存するためだけにあると言っても過言ではない。
冒険者が持ってきた遺体をギルドの霊安室で身元を確認し、身近な人に最終確認。葬式をあげたい、死体を持ち帰りたい、なんて言われればそのまま死体を渡す。そちらで処理してくれと言われれば、その死体を焼いて埋める。
基本的には、この霊安室に死体が数えきれないほどあることは極稀である。それこそ大規模な事件や事故が起きない限りは、だが。
死体保管庫に書いてある名前を一個ずつ見ていくとすぐ見つけた。ダマン•リードル。今回の死亡者だ。
死体保管庫を開け、カナンと一緒に死体を真ん中の長机に仰向けにしておく。
まず目につくのは、おでこにある刺された跡である。
「おでこに剣で刺された跡………か。」
「最初はそこに目が行くっすよね〜。」
かなり深くまで刺さっているな。ほぼ即死だっただろう。
次に全体を見ていく。
「にしてもかなり体格はでかいっすね。身長は大体180cm、体重は………95キロぐらいっすかね。筋肉もあるっすけど、贅肉もあるっす。」
「結構ちゃんといいもん食ってるんだろうな。」
「あとは、上から下まで土や、草で汚れていますね。」
「ってことは、うつ伏せに倒れていたんだろうな。」
「そうなるっすね………。他に気になるところはあるっすか?」
「ん〜………。」
他に気になるところか………。先輩として後輩が気づいていないところに気が付きたいな。
このレナンという男、少々見栄っ張りなところがある。それゆえに後悔することも多いが、生まれつきの性格であり、もう治らないだろう。
いいところを見せたいがために、今まで以上によく見る。舐め回すように、じっくりと。
するとあることに気がつく。
「手のひらだな。」
「手のひら?」
「うつ伏せになるってことは大体は転んだ時、倒れてしまった時だ。基本的に人間は、転んだり倒れたりした時は、手が出るはずだ。そうしたら手のひらもかなり汚れるはずだが………。」
「少ししか汚れてないっすね!ってことはどういうことっすか?」
「手に何かつけていたか、倒れた時に意識がない、もしくは、倒れた時に何かに支えられていた、とかが考えられるな。」
「ん〜………。でも意識がないとかってありえます?支えられていたってことも。」
「そうなんだよなー。戦っている最中に意識を失うって基本ありえない。そんな病気でも持っていれば、冒険者になろうなんて思わないはずだ。」
「ってなると手に何かつけていたってことすか?」
「まぁそうなるな。これが一番ありえるだろう。
そうなるとおかしい点が出てくるな。
「そうしたら問題点は、なぜ今手に何もつけていないのかだ。この死体保管庫に入れる際は、身につけたものは外さないように決まっている。」
「そうなると考えられるのは、メンバーの誰かが外したとかっすね。」
「あぁ。だが、そうなると死体を見つけて、手袋を取り外して死体を運んだってことになる。」
「おかしいっすね………。ソードゴブリンがいた森にまた入ってしまうぐらいだから、動揺していると思ってたんすけど………。」
「………なおさら当事者たちに話を聞かないとな。」
大体見終わったか。そうしたら次はうつ伏せだな。
死体をうつ伏せにしてまた観察する。
しかし、
「特段気になるとこはないっすね〜。」
「そうだな。」
そうなるとあれの出番だな。
疲れるからあまりやりたくないが、調査員として任されるってことはこれに頼らざるをえないってことだ。
そう思いながら死体をよく"見る"。
目に力を込めて
本来見えないものを見ようとする。
周りが見えなくなる。
死体だけを見る。
みえてくる。
なにかが
目を閉じて少ししてから目を開ける。
そうすれば心配そうにこちらを見ているカナンの姿が写る。
「大丈夫っすか?」
「ん。問題ない。これ以上見てても何にもならないだろう。それに………。」
ガチャっと扉が開く。
「ここにいたか。新星の旅路のメンバーが来たぞ。すぐにでも話を聞けるだろう。」
上司が来た。そろそろ時間だと思っていた。
「ありがとうございます。片付けたらすぐに行きます。」
「いや、俺が片付けておく。だから早く話を聞きにいけ。」
「分かりました。」
そう言ってくれるなら早く行こう。
この事件は必ず解決しなければならない。
俺はもう気づいている。
少なくともこれは、事故なんかじゃない。
犯人がいる。
ダマン•リードルは殺されたのだ
次回、メンバーとご対面。




