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冒険者ギルドの調査員  作者: 承塊
事件file No.1 『立ち止まっているだけでよかったのに』
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2/7

いつも通りの日常

冒険者ギルドは、私が住んでいる家から徒歩15分ほどにある。冒険者の街、ベラルにあるため、全ての冒険者ギルドの中で、もっとも大きい。大きさでいうと、あれである仙◯駅ぐらいでかい。(でかすぎて多少持て余してる)


大きさだけが特徴ではない。他の冒険者ギルドにはない部署があったり、依頼の受注や、お宝の鑑定なども早い。最近行われた「利用したい冒険者ギルドランキング」では堂々の一位を獲得している。


しかしその弊害も出ている。多くの冒険者が利用するため、冒険者ギルドが空いている時間は、8時00分〜20時00分までとかなり長い。こう言った職種では最長ではないだろうか。それが理由で私たち職員が働く時間も長くなるのである。また、いつでも冒険者が利用できるようにと毎日開けているため、我々の休みもあまりない。去年はあまりの休みのなさにストライキを起こしてやろうかと思ったほどである。


少なくとも現代日本だったら労働基準法違反で、労働基準監督署から業務改善命令が出てもおかしくない。というか改善してくれ。ランキングで一位を取るためには犠牲にしなければならないものが多い。それを痛感した。


なおこんな素晴らしいほどブラック会社ではあるが、ここは本部ではない。本部は王都シャーメルンにある。シャーメルンの冒険者ギルドは、ここと違って、9時00分に開き、17時00分に閉まる。しかも土日は休みなのだ!とてつもなくホワイトである。しかし給料はほぼ変わらない。あれ、目から液体が止まらないよ。


まぁこんなにこき下ろしてはいるが、それなりにいい場所なのだ。給料は悪くないし、やることが基本あるため飽きない(多すぎて業務時間内に終わらない)、暇を持て余していないか上司も気にかけてくれる(気にかけすぎて仕事をくれる)、コミュニケーション豊富でアットホームな職場(仕事の話しかしたことない)など見方を変えればいいこともあるのだ。あるはずなのだ。


そんなことを考えながら歩いていれば職場に着く。今日もまた仕事に溢れた1日が始まるのだ。




私の職場は、ギルド2階の総務課である。冒険者ギルドが円滑に運営するために幅広い仕事をしている。裏口から入り、階段を上がっていく。上がって少し歩けばもう職場である。周りの人に挨拶しながら机に向かう。


さぁ今日の仕事は…いつも通りか。いつも通りならば今日はいつもの時間に帰れそうだ。そんなことを考えながら仕事のスケジュールを立てていると


「おざーっす!」

と言いながら隣に座ってきた。


「おはよう。今日もギリギリだな。」

「いやーちょっと寝過ぎちゃって…てか先輩顔色悪くないすか?ちゃんと寝てます?飯食ってきました?」

「寝れてはいるけど、朝飯は抜いてきたな。ちょっとぼーっとしすぎてね。」

「先輩はよく朝飯抜いてきますからねー。ちゃんと食わないとダメっすよ!」

「分かってるよ。」


相変わらずの心配性だな、と思う。私を先輩と呼んでくれるのは、数少ない仲の良い仕事仲間で自分を慕ってくれる後輩であるカタル•ウェディンである。年齢は22歳。性別は男で身長は170後半、青い短髪でガタイのいい体格をしている。勤務年数としては3年ほどだ。側から見たらヤンキーみたいなやつだが、結構いいやつである。こんな私を先輩と慕ってくれるし、様々な部署に友人もいる。そしてカタルもまた、


「今日もこっちの仕事はない感じっすか?」

「なさそうだな。まぁいいことだよ。私たちに仕事がないということは平和の証だ。」

「いや〜それでも暇っすよ〜。調査員として仕事したのどんぐらい前か覚えてます?」


カタルに聞かれて、思い出す。どんぐらい前だっけな…あれ?まじでいつだ?


「あ〜…いつだっけな…半年ぐらいとか?」

「10ヶ月前っすよ!しかも俺ほとんど仕事してないし!そっからずーっと雑務っすよ!流石に飽きてきてるんすよ〜。」


まぁ気持ちはわからなくはない。毎日似たような仕事をするのは、思っているよりもきついのだ。それにカタルは元々…


「冒険者の時の方が毎日がスリリングで楽しかったな〜戻ろっかな〜。」


チラッとこっちを見ながらそんなことを言う。カタルも私と同じく元冒険者だ。彼が冒険者を辞めた理由は、家族を養うために安定した収入が必要だからという、私とは違った素晴らしい理由がある。そのためこんなことを言っているが辞めるつもりはないだろう。だが、こいつは多分こう言ってもらいたいだけなのだ。


「お前は、俺にとって必要だよ。それにお前がいなくなったらただでさえ少ない俺の仲良い同僚がいなくなるしな。」

「先輩にそう言われたら辞めないで、頑張りますか!」


はぁ、全く可愛い後輩である。心の中で呆れながらそう思う。


「でも、なんか起きませんかね〜。」

「結局戻るのか。飽きてきたのは分かったが、早く仕事始めないと帰れないぞ。」

「うげっ!それは勘弁っすよ!早く帰らないと妹の出来立て手料理が食べれなくなるっすよ!」

「そう思うなら早く仕事しろ!お前の仕事おわんなかったら俺も連帯残業になるんだから!」

「もういっそ事件が起きてくれたらなー!」


仕事したくないだけじゃないか!まぁ俺もしたくはないけど!やらないと終わらないし、なんなら溜まっていくだけなのだから。

「と言うか、事件が起きないかな〜なんて言うんじゃないよ。平和が一番なんだから。」

「まぁそうっすよね〜。どうせ今日もなんも起きないっすからね〜。」


そんなことを言っていると、上司がこっちにやってくる。やべ、聞かれてたか?なんて考えていると

「仕事だ。」

「なんの仕事ですか?」




「調査してほしい事件が起きた。今すぐ準備しろ。」




毎日平和なんてことはありえない。ここは日本ではない。ファンタジーな世界なのだ。後輩のキラキラとした目を見ながら、心の中でため息をついた。


今日は帰れそうにないな。


多分次も説明になるかも…。

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