第81話 愛想の残り
「ちょっと!
何なんですか!?
警察を呼びますよ!
ヤマシタさんの怒鳴り声が聞こえる。
こたつで団らんとしていた皆で顔を見合わせ、
女性陣と子どもたちは裏口の方へ退避。
男性陣は俺を先頭に前庭に向かう。
廊下を歩いていると、
お婆様もさすまたを持って現れた。
俺はお婆様に声をかける。
「お婆様、それ借りていいですか?」
「マコトは、素手で戦えっどが?」
俺は苦い顔をして振り返ると、
他の男性陣は一様に肩をすくめた。
仕方がない。
お婆様も一緒に行こう。
「警察もいる!?
何なんですか!
逮捕するなら、逮捕状出しなさい!」
インターホンの受話器越しに怒鳴るヤマシタさん。
お婆様はそれに話しかけた。
「どちら様じゃっどか?」
「あ、奥様!
警察と変な人たちが、
『ヒロセ マコトを出せ!』って」
俺?
俺はため息混じりに。
「直接聞きますよ。
前庭、荒らさないように頑張りますね」
他の男性陣にお婆様とヤマシタさんを任せて、
俺一人で前庭へ出た。
「相棒、レーダーの反応は特に異常無し。
お客さんは皆、この世界の人間だね」
「とにかく、話を聞いてからかな」
ゼータにお礼を言って、
俺は玄関に向かって前庭を行く。
玄関越しに客の顔が見えて来た。
そこには警察と見知った顔がちらほらいる。
俺は怪訝な顔で玄関へ近寄った。
「来た!
ヒロセ!
頼む! 今すぐ来てくれ!」
「サワダ?
どうしたんだ、こんなところに」
基地は関東。
ここは九州の鹿児島。
あまりにも遠すぎる。
「……シマザキ?
お前、シマザキか?
痩せたなぁ」
「そう言うの言ってる場合じゃないんだ!
色々かっ飛ばして土下座させてくれ!」
そう言って、
サワダとシマザキが地面に膝をつき、
土下座の構えをとった。
「なんでだよ!
俺、お前らに怒ってたりしないぞ?」
「違う!
今からお前、怒るから!
先に土下座させてくれ!
本当にすまん!」
サワダはそう言って、
玄関越しに土下座をした。
「本当に申し訳ない!
頼む!」
シマザキもそう言って土下座する。
訳がわからなすぎて混乱している俺に、
見知らぬ女性が話しかけた。
「失礼します」
彼女はシマザキたちと同じ特捜隊員の制服を着ている。
「まず、自己紹介を。
防衛軍本部所属、オオゾノと申します」
服装は特捜隊員だが、
本部所属と名乗る彼女は冷や汗を流していた。
「本当に申し訳ございません。
ヒロセ マコトさん。
我々を助けてください」
どうにも、ここで話せる話じゃなさそうな雰囲気だ。
俺は仕方なく玄関の戸を開いた。




