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昭和のヒーローは、誰にも知られず引退する  作者: 桃野産毛
終章 愛

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第80話 愛嬌者

 俺はお婆様の家に一番乗りだったが、

次の日には叔父さん一家が来た。

その翌日に従兄弟の家族が。

 一族全部が一同に顔を合わせるのは、

十年前俺が防衛軍に入隊するので集合写真を撮影した時以来らしい。

郊外のホテルに泊まる人もいるが、

皆基本的に皆お婆様の家に泊まる。


「大家族みたいだね」


 ゼータは笑いながらそう言った。

父さんは四人兄弟。

従兄弟が七人。

甥、姪らは七人。

 ちなみに、

未婚は俺と兄さんと、

俺と同い年の従姉妹一人。

こういう集まりで未婚は肩身の狭いので、

三人で固まることが多い。


「父さんと兄さんの到着は大晦日になるって話だ。

他の人も忙しいらしいし。

多分、前乗りは後二、三人かな」

「ヒロセ君。

マジで君の呼び方変えた方がいい?」

「だから、相棒でいいよ」


 今日は十二月二十二日。

明後日がクリスマスイブ。


「マコト、

友達の娘がお前と食事行きたいって、

言ってるんだけど」

「マコトー。

友達がお前と飲みたいって」

「マコトぉ、

お前クリスマス空いてる?

合コン行こう、合コン」


 皆こんな感じで、

俺に誰か紹介しようとする。

もう男女関係なく、

俺に会いたいと皆言う。

 大きな掘りごたつ越しに、

叔父さんが俺に話しかけた。


「あ、マコト。

なんか変な人もお前に会いたがってたから、

炙ってみたら防衛軍の回し者だったわ」

「叔父さん、

炙ったらって」

「拷問とかはしてないよ?

女の子なんだけど、

なんか違和感があったから調べたのよ。

そしたらビックリ、

防衛軍と繋がっててね」


 叔父さんはおちゃらけて両手を振る。

俺はさすがに聞き捨てならなかったので。


「いやいや。

俺、防衛軍をクビにされたんだよ?」

「調べたら、

特捜隊廃止の後に再編される新設部隊にお前を入れたいらしいぞ?」


 そこに従兄弟が口を挟んだ。


「じゃあ、なんでマコトをクビにしたの?」

「そんなん、俺は知らねぇよ。

俺もちゃんとは調べなかったし」


 叔父さんは有名な運送会社を経営している。

陸路、海路、空路どれでも対応可能で、

テレビCMも有名な大企業だ。

従兄弟はその叔父さんの会社を継ぐ予定で、

今修行中だ。

従兄弟が唸りながら叔父さんに話す。


「俺、マコトがいたから防衛軍はすごかったって。

それなのに、

防衛軍はマコトをクビにして追い出したって聞いた」

「なんだよ、それ。

矛盾もいいとこだろ。

深い理由でもあるのか?」


 本当に俺もそう思う。

異動で良かったんじゃないかと思う。


「それが、調べても出てこなくて。

父さんはなにか知ってる?」

「俺もそこまでだ。

そもそも防衛軍は特捜隊を廃止したがってた、

って聞いてるけど。

亡くなったキャップとマコトが凄すぎて、

廃止できなくて困ってたって」


 俺も本部が特捜隊を廃止したがってたのは知っていた。

だから、望み通り俺をクビにして、

特捜隊を廃止したはずだ。

それなのに、

本部が俺を戻したがってる理由がわからない。


「女の子を使ってでもマコトを防衛軍に戻したい、

ってのはかなりの熱量だぞ?

誰が見ても悪手だけど」

「いや、ガードしてくれて本当に助かる。

叔父さん、ソウタ兄さん、ありがとう」


 二人は似た顔で笑う。


「いいよ。

マコトはそう言うの得意じゃねぇしな」

「そうそう。

適材適所だよ。

女の子関係は、父さんに任せて」

「お前のストーカーの時も、

俺がなんとかしたしな」

「その話、マジで止めて!

今思い出してもゾッとする!」


 悲鳴のように拒絶する従兄弟を見て、

皆で笑う。

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