第8話 今起きている異変 ~七~
ミズノは一班を先頭に、
警察の機動隊を引き連れて廃棄された倉庫に突入した。
「ここの地下です。
どこかに入り口があるはず」
ハマダが無線でそう言った。
「地図を見つけました。
西側奥に地下に降りる階段があるようです。
キャップ、
周辺下水道の図面を市のデータベースから取り出します。
許可は後からでいいですか?」
「市役所や各所には、
既に閲覧許可を得てます。
二班は思い切りやってください。
リーダー。
現場も思い切りどうぞ」
キャップはハゲ頭をなでながら、笑顔で言う。
ハマダが二班に周囲を情報をかき集めるよう指示をする。
ミズノは機動隊に周囲を包囲するよう指示を出し、
一班のメンバーに突入を指示した。
「行きます。
シマザキ、バックアップを頼む」
「任せろ!」
シマザキを連れて、
サワダが地下への階段を降りていった。
ミズノたちもそれに続く。
「真っ暗だ。
全員、ライトを点灯」
シマザキの声に返事をしながら、
一班は腰のベルトからライトを取り外して点ける。
「機動隊に大型のライトとロープライトを用意して貰おう。
セキグチ、手配を頼む」
ミズノの指示通り、
セキグチは無線で機動隊に連絡をする。
機動隊はすぐさまライトをもって降りてきて、
一班の通った後の道へそれらを設置した。
「……いたぞ。
ヤツらもか」
シマザキが銃を構えた。
他のメンバーも銃を取り出し構える。
少し先にある曲がり角を曲がった先から、
声がする。
「いやはや、本当に優秀なんですね。
防衛軍の特捜隊と言うのは」
シマザキがポケットから出した手鏡で曲がり角の先を覗く。
そこにはピエロに羽交い締めにされている行方不明者三名と、
床に転がされたす巻きのヒロセがいた。
「こちらには人質がいます。
武器を捨てて出てきてください」
ピエロがジャグリング用のナイフを人質に向けて言う。
「……リーダー」
「俺が行く」
シマザキを下げて、
武器を持ったままミズノがゆっくり角を曲がった。
「……おや、特捜隊日本支部、
実行部隊一班の班長さんですね。
大物が直接来てくださるとは」
「そこまで知ってるなら、
話は速い。
おとなしく人質を解放し、
投降せよ」
ピエロたちが笑う。
「人質を殺しますよ?」
「やってみろ」
次の瞬間、
部屋の角からなにかがピエロたちに飛びかかった。
「何!?」
ピエロたちにまとわりついて離れないそれは、
狼や蛇などの動物型をした小さなロボットだ。
ロボットたちのお掛けで、
人質たちが床に倒れてピエロから離れた。
「今だ、ヒロセ!」
す巻きのヒロセはその腹筋と背筋だけで起き上がる。
ボクッ、と言う音がして、
ロープがヒロセから外れて床に落ちた。
身体の関節をいくつかはずして、
縄脱けをしたようだ。
そして、ヒロセは関節を戻しピエロから人質を奪って、
ミズノの方へ連れていった。
「甘いんだよ。
ヒロセは縄脱け、鍵空け、脱出もする。
『不死身の男』の名前は伊達じゃない!」
ミズノはロボットたちを使って、
人質を連れて下がるヒロセを援護する。
人質三人を機動隊員に引き渡して、
ヒロセが叫ぶ。
「よし! いいぞ!
やれ! リーダー!」
「よし、来い!」
ピエロたちを襲っていた五体のロボットが、
ミズノの元へ戻った。
そして、ミズノの身体に張り付いて変形する。
「着装!」
狼、蛇、狐、猿、カラスの五体のロボットが、
ミズノの身体を覆ってスーツに合体した。
日本の甲冑の様なデザインのそれは、
ミズノの顔まで鬼のような仮面で覆う。
「声帯認証コード、
ディメンション・エックス!」
対異次元武装、ディメンション・エックス。
特捜隊員の中でも、
優れた能力を持つものにのみ渡される。
地球防衛の兵器。
「……っ!
こしゃくなっ。
こうなれば、
一つでも特捜隊員の死体を手に入れて帰るぞ!
かかれ!」
ピエロの号令をきっかけに、
五人のピエロたちがミズノに襲いかかる。
「セキグチは機動隊と一緒に人質を遠くへ退避!
ヒロセ、援護を頼む!
サワダ、シマザキ!
二人は退路を確保だ!」
一班のメンバーたちが、了解と叫ぶ。
ミズノがスーツを着て、
ピエロたちを相手にとった。
ピエロはジャグリング用のナイフを振り回すが、
ミズノはそれらを華麗にかわしていく。
ヒロセはシマザキから受け取った銃を手に、
ミズノに駆け寄り戦闘に加わった。
「退路確保!
援護します!」
ライトに照らされた道を守るように、
大きな盾を持ったシマザキが立ちふさがる。
その後ろから大きな銃を構えたサワダが、
ピエロ相手に立ち回る二人へ掩護射撃を開始した。
ミズノたちが優勢に見える。
「……!
リーダー、ピエロが一人足りない!」
それに気付いたシマザキが叫ぶ。
ミズノとヒロセを取り囲むピエロの数は五人だった。
「危ない!」
ヒロセはミズノを突飛ばす。
ヒロセはミズノをかばって、
暗闇から飛んできた大きな何かに撥ね飛ばされた。
飛んできたのは玉乗りの大きな玉だった。
だが、普通の玉ではなかったようで、
ヒロセは叩きつけられた壁を突き破って隣の部屋に消える。
「ヒロセー!」
「よそ見とは、余裕ですね」
六人に増えたピエロが攻勢を強める。
「くそっ!
ヒロセの救護に機動隊を呼べ!
この程度で死ぬ男じゃないが、
気を失ったまま止めを刺されたら一溜りもない!
速く起こさなければ!」
ミズノの指示通り、
シマザキが無線を操作する。
「させませんよ!」
ピエロたちはシマザキとサワダにも襲いかかる。




