第39話 紅白
読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋。
秋は何かを始めるのに良い。
俺は観光を全力で楽しむことで、行楽の秋とすることにした。
「相変わらずジムには毎日通ってるけどね」
「前みたいに突然戦闘になることもありえるだろ?」
ゼータは肩をすくめる。
夕食を終えてホテルの部屋に戻った俺は、
ソファに腰かけた。
「尾道も熱海と違って良いよね。
特にご飯。
魚は美味しい。
ラーメンも美味しい。
ヒロセ君の味覚を共有させてもらってる身分で言うのは良くないかもだけど、
ラーメンは美味しいよ。
アレは栄養素的なことは置いて、
すごい美味しい」
防衛軍にいた頃、
特に帰りが遅くなったときはラーメンを食べていた。
ゼータは始めこそ、
ラーメンなんて身体に良くない、と注意していたが。
何回かすると、
ゼータの方がラーメンを楽しみにしていた。
「私がもし、自分の身体で活動できたら、
自分の口でラーメンを食べたいくらいだ」
と、言うくらいだ。
尾道ラーメンは有名だったから食べてみたが、
確かに美味しかった。
「各地のラーメンを巡るのも良いね。
あぁ!
そう言えば、熱海のラーメン食べ損ねてる!」
俺は思わず笑ってしまう。
「ちょっと戻って和歌山ラーメン。
九州の豚骨も食べたいなぁ。
あぁ、あんまりラーメンばっかりは、
さすがにヒロセ君の身体に良くないね」
「俺としては、
ラーメンも良いけど瀬戸内レモン系のお菓子がいいかな」
「君は本当に甘党だね」
そう、好物はくりきんとん。
アイスはクリーム系のもの。
卵焼きも甘いのが好き。
俺は自他ともに認める甘党だ。
「確かにスイーツも美味しいけど、
君はすごくたくさん食べるよね」
「くりきんとんなら、
どんぶりに山ほどあっても足りないね。
明日はジム終わりに甘いものを食べに行こうかな。
尾道駅の近くにプリンが有名なところがあるらしいし」
「あの辺りにもラーメン屋があったよ!
ぜひ食べてみようよ!」
ゼータのラーメンも食べる約束をして、
今日は早いが休むことにした。
俺はシャワーを浴びるため服を脱ぎながら風呂へ向かう。
「あ!
レーダーに反応だ」
ゼータがそう言ったが、
俺はすでに全裸だ。
「間が良くないぞ、これは」
「急がなくても大丈夫みたい。
どうやら、このホテルのお客さんの誰かだね。
エレベーターに乗ってるようだ」
「一応、服着るわ」
俺はいそいそと服を拾って着直す。
「ありがとう。
シンクロ率は七十一パーセント。
ホテルのお客さんだから、
たぶん地元の人じゃない。
シンクロ率もそこまで高くないし、
これはスルーでもいいかもね。
接点を持つのも難しそうだし」
「いや、この半年で二人目だぞ。
貴重な人材だ。
明日にでも顔を確認しとこう」
俺はそう言ってゼータにもっと詳しく探すように頼む。




