↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昭和のヒーローは、誰にも知られず引退する  作者: 桃野産毛
終章 愛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/116

第86話 愛、変わらず

 俺は皆と一緒にアルファ総司令官の方を向いた。


「アルファ総司令官殿。

そのお話、謹んでお受けします」

「……本当にありがとう。

我々ができるバックアップは全て行うつもりだ!

波長が合わないせいで全力が出せないが、

エゼキエルによる遠距離射撃で我々も戦闘に参加する!

 とにかく急いで現場へ!

『ビジョン』の戦艦は一隻ではない。

すぐに応援を呼ぶはずだ」


 アルファ総司令官は、

小さく白い右手を上げた。

すると、彼の周囲に漂っていた光の玉が飛び出して、

俺の右手の甲に入っていく。

 見回すとマサヤ、ウチムラ、ミアさん、ムラマツさんの右手の甲に光を宿している。

光が収まると、

皆の手の甲には『Σ』のような『Z』のような、

不思議なマークが浮かび上がっていた。


「ゼータ・ディアスタシの装着方法は以前と同じだ!

初任務を言い渡そう!

 ヒロセ君、仲間と共に『ビジョン』を止めて、

この世界を救ってくれ!

ゼータ君にはこの世界での任務において、

指揮権を与える!

ヒロセ君と共に、

この世界の『何かの欠片』を死守せよ!」

「了解しました!」


 俺はこの世界式の敬礼をして応える。

ゼータも俺と同じ方法で敬礼をして応えた。

ゼータは皆を見回して確認した。


「皆、変身方法は覚えてる?」

「いつでも行けるぜ!」


 食い気味にマサヤが応えた。


「俺、数千回はやったから、

完全に暗記してる」

「私は百回くらいかな」


 ウチムラとミアさんは顔を見合わせて苦笑いした。


「仕事柄、

一回でもやったら覚えてるなぁ」


 ムラマツさんも頭をかきつつそう言った。

ハヤタさんはその隙にオオゾノさんに詰め寄っている。


「防衛軍の人!

ディメンション・エックスを貸してください!」

「いやいや!

ハヤタぁ、

そんなん急に言ってもダメだろ?

お前はお留守番」

「じゃぁ、あのお姉さんは?」

「ん? アタシ?

アタシは、こう!」


 ハヤタさんに指差されたジナコさんは、

両手を腰の辺りに構えた。

そして、ぼっ、と言う音を立てて変身する。

あの時とは少し事なり、

大きさは人間サイズのままエメラルドグリーンのエネルギー体に変身した。


「嘘ぉ!?

ずーるーいー!

皆、ずーるーいぃー!」

「子供かよ!

ヒロセさんの仲間な時点で、

皆すごい人なのは当たり前だからな」


 ムラマツさんがハヤタさんをなだめようとするが、

幼い子供のように天をあおいで泣き出すハヤタさん。


「あの、お貸ししますよ。

ディメンション・エックス」


 オオゾノさんはハヤタにおずおずと言う。

ムラマツさんもハヤタさんも、

目を丸くしてオオゾノさんに向き直った。


「防衛軍は私の出せる権限、

全てをもってあなた方をサポートします。

むしろ、よろしくお願いできますか?」

「はい!

任せて欲しいッス!」

「嘘ぉ……。

お前、無茶すんなよ?」


 ムラマツさんはハヤタさんの肩を叩いてそう言った。

ハヤタさんは笑顔で。


「その言葉、

そっくりそのまま返すッス!」

「どっから来るんだ?

その自信」


 ムラマツさんは呆れながら笑う。


「さぁ、皆!

変身だ!」


 ゼータの号令を浮けて、

俺たちは変身の構えを取った。


「剛力招来、超力招来!

変身っ!」


 俺たちは両手を腰にあて、

身体を捻って両手を大きく円に振る。

そして、腕を胸の前でクロスした。


「ゼーット!」


 皆でそう叫ぶ。

ゼータが笑ってそれに応える。


「承認完了!

チェンジ、ゼータフォーム!」


 俺の身体が光に包まれる。

皆の身体も光出した。


「……あれ?

皆、いつも通りだね」


 光が消えて現れた俺たちを見て、

ゼータはそう言った。

確かに、全員俺の変身と同じ、

ヨーロッパで見られる甲冑のような。

プロテクターのような生物的な鎧だ。


「報告書は読んでいる。

一応、以前のものと構成は同じだが、

素材などをより良いもので一から作成しているので、

君たちの報告にあった特殊変異はしないはず……」

「OK!

行こうぜ!」


 アルファ総司令官を無視して、

マサヤが叫んだ。

マサヤはおもむろに自分の腰を両手で軽く叩く。


「な?!」


 アルファ総司令官が驚き怯む。

俺とゼータは、あぁ、そうだったと頷いた。

 ゼータ・ディアスタシの腰を叩くと、

武器を取り出せる。

俺がよく使うのはゼータランス。

しかし、今マサヤの目の前にあるのは、

登録されていないはずの飾りつきエレキギターだ。

あのギターには見覚えがある。


「ロックンロール!」


 マサヤはそう叫んでギターを手にした。

途端に爆発したようにマサヤが発光する。

光が収まると、

現れたのはさっきとは全くことなるマサヤの姿だ。

 頭部はヘットギアのようなタイプで、

マサヤの顔がすっかり見える。

身体の鎧もプロテクターのように薄手に変わり。

彼の周りにスピーカーを積んだドローンが飛び交っている。


「なるほど、そうやるのか」


 それを見てウチムラが、

そう呟きながら自分の腰を叩く。

すると、その両手が黒い炎に包まれ。

その炎は全身に燃え広がる。

炎がかき消え中から現れたのは、

黒いねじれた角を持つ鬼のような鎧姿のウチムラだ。

両手には黒い炎がまとわりついている。


「よーし!

私も!」


 ミアさんが自分の腰を叩く。

すると、彼女の腰から茨の蔦が延びて、

その全身をおおった。

そして、茨が花のつぼみのように開いて、

中から女性のシルエットの銀の甲冑が姿を表した。

甲冑には茨の模様が刻まれている。

あの異世界の花を取り込んだ時のミアさんの変身姿だ。


「じゃぁ、俺も」


 ムラマツさんも自分の腰を叩く。

すると、現れたのはガンバマンの『テナサス』だ。

ムラマツさんはそれを握って、

今度はガンバマンの変身ポーズをとって。


「変身」


 ガラスが割れるように、

ゼータ・ディアスタシの装備が割れてムラマツさんが露出する。

しかし、次の瞬間には、

逆再生映像のように破片がムラマツさんの身体に集まって、

ガンバマンの姿になった。

 この場にいる男性陣、

土下座して泣いていたサワダとシマザキすら、

大喜びして声を上げる。

 それを見たアルファ総司令官が、

驚き絶句している。

俺はそれを見ていられず、話しかけた。


「あ、アルファ総司令官殿。

やっぱり、ああなりますよ」


 俺がそう言うと、

アルファ総司令官は首をかしげて周りのぬいぐるみと話し出す。


「ほ、報告書通りになってしまったぞ?」

「我々は技術部ではないので、

詳しくは……」

「技術部に問い合わせますか?」

「時間もない、

この方が彼らの力を十二分に発揮できそうだ。

このまま行こう」

「……なんか、ごめんなさい」


 俺とゼータは何となく申し訳なくなって、

声をあわせて謝った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。