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昭和のヒーローは、誰にも知られず引退する  作者: 桃野産毛
序章

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第10話 今起きている異変 ~玖~

 ミズノは気を失っているヒロセを見つけて、

抱えてサワダたちの元へ急ぐ。


「ゼータ、すまない!

後は任せる!」

「おぉ、任されよう!」

「怪我人を保護したら、

戻ってくる!

それまで、頼んだ!」


 ミズノは悔しげにサワダたちと地上へ向かった。


「おのれ、おのれ、おのれ!

邪魔をするな!

 こうなれば……!

来い!」


 ピエロのリーダーらしき個体が、

他のピエロを集める。

すると、ピエロ同士が合体して一人のピエロになった。

 そのピエロの姿は、

泣き笑いの絵が描かれた金属のマスク。

道化の衣装のようなデザインの鎧を着込んだ巨体に変わる。


「分裂していた私を元の一つへ戻した!

ここからは、手加減なしだ!

本気で行くぞ!」

「来い!」


 ピエロが大きな剣を振り回す。


「ゼータランス!」


 ゼータは腰のベルトを叩いて、

現れた槍を手にした。

ゼータはピエロの剣を槍で受け流し、

苛烈な連撃をお見舞いする。


「ぐあぁあ!」

「どうした?

手数が減って、弱くなったぞ?」

「黙れ! これならどうだ!?」


 ピエロはどこからともなく爆弾をたくさん取り出して、

お手玉のようにジャグリングする。


「避けてみせろ、ゼータ!

地下の建物が崩れて、

上の特捜隊や機動隊が瓦礫の下敷きになるぞ!?」


 ピエロはそう言いながら、

爆弾を周囲に撒き散らし始めた。

 ゼータは槍で爆弾を打ち落とすが、

数が多すぎていくつか取りこぼした。

取りこぼされた爆弾は派手に爆発して、

建物が大きく揺れる。

天井が一部崩れて、夜空が見えた。


「くそっ!」


 ピエロは笑って爆弾を投げ続ける。

ゼータは槍で落としきれなかった爆弾を身体で受け止めた。


「ぐあぁっ!」


 ゼータが受け止めた爆弾が爆発し、

ゼータの身体から火花が散る。


「そら!

まだまだ爆弾はあるぞ!」


 ゼータはふらつきながらも撒き散らされる爆弾を槍で打ち落とす。

だが、一つ打ち漏らした。


「しまった!」


 だが、その爆弾は床に落ちる前に撃ち抜かれて消える。


「待たせた!」


 ゼータが天井に空いた穴をみあげると、

そこにはディメンション・エックスを着て専用の銃を装備したミズノがいた。

 ミズノは穴から飛び降りて、

ゼータの援護を始める。


「助かった!

ありがとう!」

「建物を包囲していた全員を退避させた!

思い切り暴れてくれ、ゼータ!」


 ゼータは、

ミズノに応えて攻勢に打って出る。

 一転劣勢になるピエロ。

ゼータとミズノの連携を食らい、

身体から火花を散らして苦しむ。


「ぎやぁ!」


 ピエロは傷だらけで肩で息をする。


「畜生!

こうなれば!

元の次元へ逃げるぞ!」


 ピエロは懐から何か装置を取り出した。

装置のボタンを押したが、

何も反応しない。


「なっ!? バカな!?

次元転移装置が動作しない!」

「ふふふっ!

既に防衛軍がこの地区を『防壁』で囲ってある!

 次元の『穴』を囲っているモノの簡易版だが、

効果はご覧の通りだ!

逃がさんぞ?」


 ミズノは笑ってピエロを煽る。

ピエロは地団駄を踏む。


「貴様ら!

もうこうなれば、奥の手だ!」


 ピエロは懐から不気味な色の果物を取り出して食べた。

すると、ピエロの身体がどんどん巨大化し始める。


「マズい!

地上へ退避しよう!」


 ゼータと共にミズノが天井に空いた穴から地上へ逃げた。

すると、

ピエロは地面をぶち抜いて、

ビルより巨大な怪人と化し二人を見下ろした。

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