46話 Mr.安請け合い
「よう、おはよう。端的に答えろ。お前はマニャの人格を沈めて大将を引き摺り出すことはできるか?」
「……可能性はあります」
「そうか、今やれるか」
「はい」
「やれ」
手の拘束を解かれた『敬意』がマニャの頭に触れる。だが動かない。
降谷は腕を組んで足先をトントンと鳴らす。
「やれることはやりました」
敬意が手を離すと降谷が椅子を蹴り飛ばした。
「そうか。説明」
「私のドゥルミスで魔王の潜在記憶に働きかけ……」
別の椅子が弾き飛ばした降谷が『敬意』の頭を掴む。
「端的に」
「……魔王の辛い記憶を脳に流し込んでショック療法を図りました。ですが起きるかどうかは彼次第です」
——
————精神世界
「いてっ……」
「大丈夫?」
頭を抑える安堂にマニャが駆け寄る。
「呼ばれてるっぽいな。どうする?マニャも行くか?」
マニャは問いかけにかぶりを振ると腰を下ろした。
「ボクはまだいいかな。少し疲れちゃった……というか君のせいでもあるんだからね?」
「確かに。でも、よくそんな奴と仲良く話せたな」
「あははっ、たしかにね!でも復讐はキミが曲がりなりにも成しちゃったからね。もうやりたいことがなくなったんだ。だからいいかなって」
どこからか取り出した紙飛行機をヒョイと放る。
「そお?そんなもんかね」
「そんなもんさ。だって君、人生唯一にして最大の目標が妄想だったんだろう?」
紙飛行機は2秒と持たず墜落した。
マニャはそんなのには目もくれず、なかなか口を開かない安堂を見つめる。
1秒……2秒……会話のテンポが完全に崩れたところで安堂はにぃっと笑う。
「あぁ……確かに!確かにそうだ!何でこんなことに気が付かなかったんだろう!ありがとう!マニャ!」
安堂は狂ったように地面を叩く。
「うん、マオちゃんは死んだ。車に轢かれて死んだ。超能力は獲得時より前に影響を及ぼせない。転生体は前世の記憶を失っている。確かに絶望的だ。……だから?僕は必ず目標を達成する!そのために、また君の体を借りるよ。でも友達が精神世界に引きこもってるのは気がかりでね。」
安堂は立ち上がり、伸びを一つしたあとにマニャに手を差し伸べた。
「——そのうちでいい。帰ってこい」
マニャはその手をぽかんと眺めたあと、軽く握った。
「まぁ、うん、わかった。英雄が帰ってくる頃に」
「え、どゆこと?」
返答を待たずして安堂は現実に引き戻された。




