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28話 途中の邪魔?

一週間が過ぎる頃、神宮寺は生き物を殺すことに慣れた。きっかけは単純なもので神宮寺はナメられるのが極端に嫌だったからだ。


1度、サルのような魔物を殺し損ねた時に反撃され、神宮寺が頬に傷を負った。ギリギリで避けたが直撃していれば確実に死んでいた攻撃だった。

神宮寺は激怒した。「逃げる」でなく「反撃」を選んだサルの思考回路が気に食わなかった。

結局猿を殴り殺し、この瞬間より神宮寺の中で殺しのハードルが一段下がった。


これを見ていたガルフは準備が整ったことを確信。即時出航の準備を整えて神宮寺を連れフルゴへと向う。

国際問題になることを恐れて同行者は国籍を剥奪された罪人2名と世界的犯罪組織『教会』としてのガルフのみである。


船の中で神宮寺は罪人のうちの一人、レーバティンという男と意気投合した。

炎を操る男は影絵ならぬ炎絵で退屈な船旅を神宮寺とともに凌ぎ、レーバティンのマッチと神宮寺のポケットに入ってたフリスクを交換するまでに親交を深めた。

だがもう一人は体育座りで俯いたままコミュニケーションを取ろうとしない。神宮寺も無理に関わることはせず、心の中で「隅っこくん!」と名付けたが、2日目には忘れていた。


フルゴに着くとガルフは一人一人の頭に触れて「魔王」の容姿を送り込む。神宮寺とは違い、痛みに耐えきれず「隅っこくん!」が廃人になった。仰向けに倒れ泡を吹いている。なんとも哀れな姿だと神宮寺は思った。

そしてレーバティンは数十分ほどでなんとか立ち上がり、ガルフの指示で街へと消えて行く。


「では、私たちも探しに行きましょう」

神宮寺は糸目女に手を引かれるままフルゴの街へと歩き出す。

数分歩くと屋台が立ち並んでいた。海が近いためか海産物が多い。だが保存技術が未熟なために全体的に少し生臭い。


うんざりしながら歩いていると肩に軽い衝撃。

目線をやると小汚い布を被った男と女。神宮寺は軽く会釈をしたが2人は目もくれず去って行った。

「おい!ぶつかったら……」

布に手を伸ばそうとするとガルフに止められた。

「私達は不法入国者。こんなことで騒ぎを起こせば13人も妹も報われません。堪えてください」

神宮寺は煮えたぎる腑を押さえつけて魔王探しに戻る。


――


――――

「やぁ神宮寺、魔王を見つけたぞ!なぁ、ガルフ!神宮寺が負けたら俺が戦っていいんだよな?な?なぁ?!」

レーバティンが駆け寄ってくる。

興奮のためか若干炎が漏れている。なぜそんなに戦いたいのだろうかと神宮寺は不思議に思った。


「お手柄です」

ガルフは一言口にすると案内を促す。


――


――――

「途中で邪魔が入ったが情報も手に入った!」

浮き足立ちながらレーバティンの案内に従うと畑が3畝とポツリと一軒家。一軒家というより居酒屋に近い。

木造で入り口横には縦長の看板、扉には赤いペンキでロゴがあしらわれており営業時間も記載してある。何というか……鳥貴族のようだ!


「ここに魔王がいるのか!」

神宮寺はかつてない高揚感に身を包まれた。

地球を滅茶苦茶にした張本人。天災と並べられ誰一人抗おうとしなかった化け物。こいつを倒した時に世界はどんな表情を見せるだろうか。

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