ランベール・ギーズ第二形態VSジェシー・ウエスト Ver.1 ならば決闘だ!
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★アイラに結婚を迫るジェシー・ウエスト。そこにラスボスと化したランベール・ギーズが……。
★ラスボス・ランベールを描けないのが残念です。ジェシーは今のところ道徳の戦士(笑)です。道徳の戦士がクズ薄幸令嬢を守るとか、何の冗談なのかと思いますが、これはお馬鹿なクズ連中の話なので……。
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ザリッザリッ……。
後ろから落ち葉と土を踏む音がした。
「来ると思いましたよ、伯爵様」
「ギーズ卿!」
「アイラ、そんな嘘つきで不埒な男など、捨ててしまいなさい。花やドレスやアクセサリーなら、義父である僕が好きなだけプレゼントしますよ」
「お義父様?」
二つの杖を持ったランベールお義父様が大股でやって来た。次の演奏旅行の話し合いをするため、朝からブナハウスに来ていたのだ。
「どうしてここに? 陰でこそこそするとは卑怯ではありませんか?」
「卑怯も何も、伯爵様の行動など(ウエスト邸に送ったセントレの影で)手を取るように分かりますのでねぇ……それに、義娘を愛人同等にまで貶めた男に言われたくはありません。僕は義父ですよ」
「私はただ、彼女にプロポーズを……」
「アイラを伯爵夫人になど愚の骨頂、籠の鳥にでもする気ですか?」
「そんなつもりでは……! ギーズ卿こそ、義娘になどして、ご自分に縛り付けているではないですか」
「何と! 僕たちの絆をそんな言葉で汚すとは!」
持っていた杖をダンッと地面に叩きつけ、ランベールお義父様が大声を出した。
「わが家のお姫様はご機嫌斜めのようです。今日のところはお帰り下さい」
「いいえ、帰るつもりはありません。以前も言いましたが、私はギーズ卿にアイラとの結婚を承諾していただきたいのです」
「今は小説家として大事な時期なのでね。どうしてもと言うのでしたら、これをどうぞ」
ランベールお義父様が、二つ持っていた杖のうちひとつをジェシー・ウエストに放り投げた。
「お義父様、何をしようとしているの?」
「アイラはそこで見ていなさい」
「これは?」
「ご存じでしょう、仕込み杖ですよ。意味はお分かりでしょう?」
「まさか……決闘などということを言うのではないでしょうね」
「僕の祖国では違法ではないのでね」
「この国では違法です、何と野蛮な!」
「フッ、野蛮? 何年か前、そんなスキャンダルがありましたねぇ」
「……あなたが……あなたが、父のことを面白おかしく騒ぎ立てたから、スキャンダルでウエスト家をグチャグチャにして……許せない!」
決闘? スキャンダル?
「おや、我々は事実を記事にしただけですよ? それに伯爵家があんなことで揺らぎますか? 堂々としていればよろしいでしょう?」
「あんた、どれだけウエスト家を侮辱するつもりなんだ、謝罪を要求する!」
「謝罪などしません。裁判でカタをつければよろしいでしょう」
「許せない!」
わたしは唖然とした。
この二人はあの決闘事件で遺恨を残していた、元々仲が悪かった……?
「ジェシー様、冷静になって下さい!」
ナットさんが止めようとしても、二人の言い合いは終わりそうにない。
「では、ここで決闘でもしましょうか」
「はぁ? あなたの頭はどうなっているんですか?」
「これはあくまでも個人同士のお遊びです。誰も知らない、誰も見ていない。噂が上がったとしても我々が潰します」
「卑怯ではありませんか!」
「卑怯? 権力は何のためにあるとお思いで? 使うためでしょう? 僕はねぇ、庇護している者たちのためならいくらでも使いますよ」
「なっ……!」
「フッ、情けない! 何のための伯爵家当主なんでしょう。僕の祖父母は王家のために尽力したら処刑されましたよ。権力は自分のために使う物だ」
「そんな横暴な……」
「覚悟がないなら潔く負けることですね」
「それなら、私が勝ったらアイラとの結婚を承諾していただけますか。スキャンダルでウエスト家を貶めた謝罪も!」
「よろしいでしょう」
「ジェシー様、冷静に!」
「お義父様、そんなことやめて! ジェシー様も!」
「もう二度と逃げない。お前たち、手を出すな!」
ジェシー・ウエストが周りに宣言した。
「アイラ、何年も前のことで動揺するような情けない男など、捨ててしまいなさい!」
「で、でもっ!」
「これは私とギーズ卿とのケジメだ、アイラは口出しするな!」
「セレーナ、二人を止めて!」
「わたしはアイラお嬢様だけをお守りするよう言いつけられております。それがギーズ卿からの指示です」
二人は杖から細身の剣を抜いた。
「ジェシー様、挑発に乗ってはいけません!」
キィーン!
剣と剣がぶつかり合う。
今日に限ってウォルティーさんはいない。このままでは二人とも怪我どころでは済まない。止めることはできないの?
※
速い!
ランベールお義父様の剣さばきが速すぎる!
ジェシー・ウエストは防御で手一杯だ!
「あの娘はねぇ、普通ではないんですよ」
「それは……薄々気付いて……」
「幼稚さと天性の能力が混在した特別な娘でねぇ、僕が見守らないと何をしでかすか分からないんですよ」
「……」
「彼女には特殊な才能がある。伯爵様にそれを邪魔してほしくはない」
「それなら私が守る!」
お義父様の剣がジェシー・ウエストの胸を狙った。
「ヤメてヤメてヤメてヤメて!」
何なの、あり得ない!
マトモじゃないわよ、ランベール・ギーズ!
「オリエンス侯爵令嬢の尻拭いをしてやったのは誰だと思っている? 逃げてばかりの若造が!!」
「……まさか、あなたが!?」
「アイラはすぐにでもここを引き払わせる! これ以上我々を引っ掻き回さないでいただきたい!」
「お義父様、やめて! ジェシー様を傷つけないで!」
「お嬢様、中に入ってはいけません!」
セレーナを振り払って飛び出したわたしは、ジェシー・ウエストを庇ってランベール・ギーズに背を向けた。
「ア……アイラ……こんな情けない男を……」
ランベールお義父様の手から剣が落ちた。
~第六部に続く~
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☞これで【第五部】は終わりです。次回から【第六部/最終章】『クズな人たちの、クズな人たちによる、ドクズな契約』がはじまります。クズ王は誰。
☞ランベール・ギーズはジェシーよりも過酷な過去を背負っています。祖国からの亡命者を保護し、それなりの地位も築いています。保護者に対する責任感が強い、アイラにとってはまさしく赤城大明神様でした。
☞ランベールの剣さばきがすごいことは、【第二部】『ギーズ卿のクズっぷりをウォルティーが暴露するぜ、みんな覚悟しろ』を参照してください。
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