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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第8章 史上最強のニート(自称)、徳名英樹の悪行! 編
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第93話

 公園から少し離れた場所にその男は腰を抜かしていた。

「た、た、助けてくれぇ……」

 その男は恐怖で顔が引きつっていたが。

それよりもこの男、なんだか見たことがある顔だった。

「お、お前はあの時の!」

 俺の顔を指さしてきた男を見て、一瞬で思い出すことができた。

 こいつは「舞炎隊」と名乗る三人組の不良グループの一人であり、名前はたしか……

「誰だっけ?」

志葉達臣しばたつおみだよ! 覚えておけよ!」

「んなこと言われてもよー、お前と会うのって久々だし覚えていることと言えば……あぁ! お前たしかオセロが得意とか言ってたな!」

「なんでそんなことだけピンポイントで覚えてるんだよ! そこまで覚えてんなら名前も覚えておけよ!」

「んなこたぁどーでもいいんだよ。さっきの悲鳴はお前か?」

 俺がそう尋ねると何かを思い出したかのように、志葉の表情が暗くなる。

「そ、そうだ! あいつだ! あいつがいきなり俺を襲ってきやがったんだ!」

 志葉が指をさす先には、一人の男が立っていた。

 丸々と太っていて今にもズボンがはじけそうで、着ているシャツもボタンとボタンの間から肌が見えていてなんだかきつそうだ。

 そしてその男の顔は夏祭りで売られているプラスチックでできた特撮ヒーローのお面で覆われている。

「へへっ。現れやがったな……ん?」

 さらに注目するべきは、その男の背後には一体のビーストがすでに召喚されていた。

「なるほど。あれがあいつのビーストか……」

 体全身は鎧のような甲殻で覆われている。足が複数生えていて、長い尻尾の先端には紫色の液体がポタポタと地面に落ちていた。

 その見た目はまさにさそり

(蠍のビーストか……見た感じ、あの尻尾の先端がヤバそうだな)

 俺がじっくりと相手のビーストを観察していると、「デュフフフ」と気持ちの悪い声が聞こえた。

「お主もどうやらビーストのことを知っているようでつね、デュフフ」

 どうもあの気持ち悪い声の主は目の前にいるお祭り仮面野郎のようだ。

「だったらなんなんだよ」

「デュフフ! すんばらすぃ提案があるでつ! 僕と組んで共に幸せになるでつ!」

「あ?」

 あいつが何を言っているのか理解できなかった。

 あと「でつ」って何? 独特なしゃべり方に少しイラッときている。

「ビーストは素晴らしいでつ! ビーストの力を利用すれば働かなくて済むでつ! 素晴らしいニート生活が僕たちを待っているでつ!」

「待て待てなんだよ僕たち・・・って。勝手に俺をメンバーに入れてんじゃねぇよ。俺はまだお前の言っている提案ってやつを飲んだ覚えはないんだぞ!」

「デュフフ! これは失礼しまつた。だけどあなたも同じビースト使いなら考えたことはないでつか? ビーストの力で自分の思いのままに生きる。ビーストはそのためにこの世に舞い降りたチートアイテムなんでつよ?」

「チートアイテム……ねぇ」

 生憎俺はそのチートアイテムとやらで好き勝手に生きている連中を嫌というほど見た。

 なかにはビーストの力を正義のために使っている輩もいるが、自分の欲を満たすためにビーストを振るう奴らがほとんどだ。

 人間の醜い部分を散々見せつけられたんだ。

 そんな連中と一緒になれってか? 冗談じゃねぇ。

「答えはNOだ。俺はビーストを自分のために使わねぇ。俺は、ビーストを自分のために使いまくっているクソをぶっ潰すために、ビーストを使うんだ!」

「そーゆーこった!」

「気持ちは永一と同じだよ!」

 俺の横に陽介と聖来が並ぶ。

 その時目の前のお面野郎は一瞬俺たちから視線を逸らした。

 いや、正確には聖来の方を見ていないようにしているようにも見えるが……

「まぁそーゆーわけだからよぉ。ここでお前を、とっちめる!」

 俺はビーストカードを出現させて、フェンリルを召喚した。

 それに続いて陽介と聖来も自身のビーストを召喚する。

「フェェェェン!」

「ミノォォォォ!」

「ガルドォォォ!」

 同時に召喚される狼と牛と蛇のビースト。

 三体のビーストの召喚に度肝を抜かれたのか、志葉は「ひぃぃぃぃ!」と叫びながら俺たちから姿を消した。

 だがそれでいい。他の人間を巻き込みたくないからな。どっか行ってもらった方が気楽だ。

「デュフフフ! どれだけ数を揃えても、僕のビーストの敵ではないのでつ!」

「随分と自身があるじゃねぇか」

「デュフフ! 当たり前でつ! 僕のビーストはその力を使い続けることによって最初の時よりも強さを増しているのでつ!」

「!!」

 それじゃあまるで遠藤のサラマンダーと同じじゃないか。

 こいつも自身の欲望のためにビーストを使いまくっているうちに、ビースト自身が強くなっちまったっていうのか!?

「もしかしたらめっちゃ強いかもしれないぜ、お前ら気をつけろ!」

「おう!」

「ああ!」

 思わぬ所で強敵ビーストと相まみえることになってしまった。

 目の前にいる蠍のビーストが俺たちを睨んできて、向こうもバトルの準備が整ったみたいだ。

「デュフフ! 僕の幸せニートライフを邪魔するなら容赦はしないでつ! 行け! 蠍のビースト・パピルサグ!」

「サァァァァグ!」

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