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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第8章 史上最強のニート(自称)、徳名英樹の悪行! 編
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第94話

 彼の名は徳名英樹。

 南高を卒業してから定職についていないニートである。

 夢も目標もない彼は部屋に籠ってゲームばかりをしていた。

 彼は主に夜間を中心に活動をしている。

 両親が寝静まった時にパソコンを起動して、オンラインゲームを楽しむ。

 ガンシューティングゲームやMMORPGをとっかえひっかえでプレイし、カーテンの隙間から日差しが入ってきたらパソコンの電源を落として、ようやくに布団に入る。

 真っ当な人々が活動をしている時間に彼はようやく眠りにつくという所謂昼夜逆転生活が定着しているのだ。

 昼過ぎになってから目が覚める。

 そのころには部屋の前には食事が用意されている。

 朝食なのか昼食なのかどちらかはわからないが、母親が作ってくれるその食事を、感謝の言葉一つもなしにたいらげる。

 それから今度はスマホのソーシャルゲームを楽しむ。

 ゲームを一通り楽しんだら暇つぶしにネット記事を読んだりしている。

 そんなダラダラした生活を続けてはや10年。

 そんな彼の生活にも限界がきてしまった。

「お前のような息子は知らん! 出て行け!」

 父親に追い出されてしまったのだ。

 顔を殴られ、強引に外に放り出されてしまい、ドアを何度も叩いても開けてくれる様子はない。

 母親は何度も説得してくれたみたいだが、結局ダメだったらしい。

 こうして彼は、ホームレスになった。

 自分の唯一の楽しみであるゲームも奪われ、毎日自動的に運び出される食事も与えられることなく、ただただ自分の居場所を求めて歩き彷徨う毎日。

 その時季節は冬で、暖をとらないと凍え死んでしまうのは明白だった。

 もうすぐ死ぬのか……傲慢な父親に追い出されたせいで、自分はこんなにもあっけなく死んでしまうのかと恐怖を感じていた。

自分がなぜこうなってしまったのかを父親の所為にしながら道端に落ちていたダンボールをくるんでなんとか寒さを凌いでいた。

 そんな時、彼にさらなる不幸が舞い降りる。

「こんなところで何してんだよオッサン!」

 複数の不良に囲まれてしまったのだ。

 彼らは不良たちの集まりで有名な北高の生徒たちだと一目でわかった。

 冬の寒さとは別の悪寒が彼の全身を包んだ。

 まずいと思い、その場を離れようとした時には遅かった。

 不良の一人が、腹部を思い切り蹴ってきたのだ。

「おらぁ!」

 思い切り蹴られ、一瞬息が苦しくなる。

 それでも不良たちの暴行は収まることはなかった。

 殴られ蹴られを繰り返され、身も心もボロボロだった。

 だが、これはこれでいいのかもしれない。

 寒さに耐えながら何もないところでみじめに死ぬぐらいなら、このまま彼らに殺されるのも悪くないだろう。

 このまま自分が死ねば彼らは殺人罪で少年院行だ、ざまぁみろ。と、そんなことを考えながら痛みに耐えていた。

 しかし、ダメだった。

 まだ心の奥底では生きたいという感情が残っていたのだ。

 人間としての生存本能なのかどうかはわからないが、死に対する恐怖が彼自身を生かそうとしていたのだ。

 死んでしまおうという思いと、死にたくないという思いがぶつかり合っていた時、一枚のカードは出現した。

 朦朧しかけていた視界の中に出現したそのカードを掴み取ると、その化け物は光とともに召喚された。

「サァァァァグ!」

 何もない所から突然と召喚されたのは、蠍。名前はパピルサグと言うらしい。

 カードを手にした瞬間、内容が一気に頭の中に入ってきて、すべてを理解することができた。

「な、なんだこいつはぁぁぁ!?」

「に、逃げろぉぉぉぉぉ!」

 突如として出現したビーストの存在に逃亡を図ろうとする不良たち。

 その時にはもう、死んでしまおうとかまだ生きてみたいという感情は、徳名の中にはなかった。

 自分をいたぶった彼らを懲らしめる。それしかなかったのだ。

「や、やっちまえぇ! パピルサグぅ!」

 自分の指示一つでパピルサグは不良たちを一網打尽にした。

 その光景をただ見ていた徳名だったが、自然と口角が吊り上がっていた。

「でゅ、デュフフフフ! これだ! こいつの力さえあれば僕はなんだってできる!」

 倒れている不良たちを見ていると、彼らのズボンから財布が落ちているのを見ていた。

「ていうかもう働かなくてもいいじゃん」

 何食わぬ顔で不良の財布を拾い、中身の金だけを抜き取って空になった財布を不良の顔面へと叩きつけた。

「デュフフ! 僕の最高のニートライフはここからでつ!」

 これが、徳名英樹がビーストカードを手に入れたきっかけである。

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