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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第8章 史上最強のニート(自称)、徳名英樹の悪行! 編
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第92話

 中林から借りた腕時計を付けて、俺はとにかく歩き続けた。

 商店街を歩き、河川敷を歩き、薄暗い路地裏を歩いた。

 全てはビーストの力で悪事を働いている奴を懲らしめるためだ。

 俺の後ろには常に陽介と聖来がついているから、いつ奴が現れても一斉に襲いかかれるようになっているのだが……

「なかなか来ねぇな……」

 オトリ作戦を始めて数時間が経った。

 しかし噂の犯人はいつまで経っても現れない。

 公園のベンチに座り込み、ため息をつく。

「現れる気配はないな」

 俺を見張っていた聖来が声をかけてきた。

「あれ? 陽介は?」

「便所だよ」

 陽介がいなくなる時は必ずと言ってトイレが関わってくる。どうせまた大の方だろう。

「つーか女子も『便所』とか言うんだな。俺の知っている限りでは『お花を摘みに……』とか言うのがセオリーだと思っていたぜ」

「どこのお嬢様だよ……」

 俺の隣に聖来が座り込む。

「早く現れねーかなー」

 思わずそんな言葉が漏れてしまった。

「なんだよ。お前って随分とせっかちなんだな」

「え? ああ……いやほら、さっさと倒さねぇと他にも被害がでるだろ? だから出てきてくんねーかなーって思っていて…………わりぃ嘘だ」

 俺は正直に自分の気持ちを伝えることにした。

「俺は強くなりてぇんだよ。正確には俺のビーストであるフェンリルを」

「たしか、ビーストも戦闘を繰り返せばビースト自身も強くなるとかってチェックが言ってたよな」

「ああ。遠藤の野郎に勝つにはフェンリルを強くするしかない。そのためにはもっとビーストと戦ってフェンリルを強くしなくちゃならないんだ」

「だから今噂のビースト使いを踏み台に強くなってやろうって考えているのか」

「ああ。そいつが悪いことをしているのが許せねぇってこともあるけど、なんかこう……焦っちまってよ。だってそうだろ? 遠藤はお前の兄貴を――」

「…………」

 俺がそのことを口にした瞬間、シュンとした顔をしながら聖来は黙り込んでしまった。

「あー……わりぃ」

 今の俺はKYすぎんだろ……

「いや、いいよ」

 聖来は足を組みなおしながら話を続けた。

「そんな焦ることはねぇよ」

「え?」

「確かに私は遠藤が許せねぇ。一秒でも早くとっちめてやりてぇ気分だ。でもよ、焦って返り討ちになって、私やお前が死んだらさ……それはそれでへこむだろ?」

「へこむのか?」

「あたりめーだ! お前は私の仲間なんだからな!」

 勢いよく立ちながら聖来は叫んだ。

 真剣な眼差しが俺の視界に映った。

「仲間、か。まるで熱血漫画の主人公みたいなセリフだな」

「んだよそれ……なんか急に恥ずかしくなってきたじゃねぇかよバカ!」

 そう言いながら頭を叩かれてしまう。

「って~。いきなり暴力振るうなよな!」

「うっせバーカ!」

 俺たちがそんなやりとりをしているうちに、陽介のやつが戻ってきた。

「なんだお前ら、夫婦喧嘩か?」

「「だれが夫婦だゴルァ!」」

 便所から戻ってきた陽介がいきなりそんなことをいうものだから、俺と聖来はピッタリの息で陽介の腹部を同時にキックした。

「ぐべぇ……出した後だからいいけどいきなりはやめろよな! 俺の腹筋じゃなかったら死んでいたぜ!」

 腹蹴っただけで死ぬ奴なんていねーよ、多分。

つーかやっぱり大の方だったのか。

「それよりも作戦を再開しようぜ」と俺が歩き始めようとしたその時、「うわぁぁぁぁぁ!」と男の悲鳴が耳に響いた。

「なんだ!?」

 俺は反射的に走り出し、それに続いて陽介と聖来も走った。

 もしかしたら奴が現れたのかもしれない。

「急ぐぞ!」

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