第75話
「ここか」
怪しげな施設を叩き潰すことを高らかに宣言した高渕。
まずは偵察として高渕が単身で噂になっている施設の近くまで足を踏み入れていた。
そこは学校から少し離れた人気の少ない路地裏にあったのだ。
そして今回、高渕はもう一つ今回の事件で決めていることがあった。
それは不良たちの手を借りないことだった。
以前高渕は子供たちをさらっているというシスターのいる教会に潜入した時、偶然にも南高の不良生徒と対面したのだ。
彼の名は、矢崎永一。
流れ的に彼と共闘してシスターのビーストを倒すことができたが、不良である彼とタッグを組んだのは、正直癪だった。
高渕にとって不良という存在は他者に迷惑をかける愚かな存在という認識だった。
不良と言えば喧嘩、カツアゲ、性的な嫌がらせなどが頭に浮かぶ。
それに対して高渕は清廉潔白を貫き通している。
そんな相対する存在が二人一組になってビーストと戦ったことが、不快でならなかった。
だからもし今回の事件で偶然彼と遭遇しても、共に戦うという選択肢を選ばないようにしているのだ。
もっとも、そんなにも偶然が重なるとは思えないが。
「げげっ! クソ眼鏡インベーダー!」
まさかこんなにも都合よく偶然が発生するとは高渕も思わなかった。
「…………はぁ」
高渕はため息を吐くしかなかった。
◆
今まで出会ったビースト使いの中でもダントツの力を持つビースト使い、遠藤真久。
あいつの使用するビースト、サラマンダーはチェックのビーストであるネメアのバリアも簡単に貫通させてしまうほどに強力だ。
そんな桁外れの力を持っているサラマンダーを相手に俺たちは強くならなければならない。
そうしないと尾坂のような犠牲者がこれからも増える一方だ。
ビーストに関連する事件は警察には任せられない。
ビースト使いの問題は、同じビースト使いで解決しないといけないのだ。
しかし今の俺たちは非常に弱い。
再び遠藤と相まみえることになったとしても返り討ちにされるのがオチだ。
だから今から強くならないといけないのだが、チェックがすぐにビーストを強くできる術を知っているらしい。
アドバンスカード。
そのアイテムを使えばビーストを進化させ、今まで以上の力を振るうことができるらしいのだ。
しかしチェックはそのアドバンスカードという代物がどこにあるかはわからないらしい。
存在があることは確かなのだが、それがどこにあるかは不明ときた。
これじゃあ意味がない。
そんなある日、チェックが新たなるビースト使いの情報をゲットしたのだ。
アドバンスカードのことは気になるが、遠藤以外のビースト使いの存在も野放しにはできない。
そのビースト使いは怪しい施設を仕切っているらしく、さっそくその場所に向かったわけなのだが……
嫌な相手と遭遇してしまったわけで……
「なぜ君がここにいるんだ」
「それはこっちのセリフだコノヤロー!」
偶然か必然か、俺は東高の生徒会長である高渕清と遭遇してしまった。
「ならば話は早い。早急にここから去りたまえ。ここは君の来るような場所じゃない」
「それはこっちのセリフだぜ優等生くんよ? 頭の賢いお前がこんな治安の悪そうなところにいていいのかよ?」
「問題ない。いざとなったらガルーダにすぐに逃げるさ」
「そーかい。ま、怪我しないように気を付けな」
そう言いながら俺は先に施設に近づこうとした。
「ちっ。結局この男と共に行動することになるとはな……」
高渕が小声でなにか言っているようだが俺は無視した。
今は目の前にある施設を仕切っているビースト使いをとっちめることが先だ。




