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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第5章 美しきシスター、薬島博美の正義! 編
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第56話

「須藤くん。君は子供たちを保護してやってくれ。ここは僕と彼で食い止める」

「わかりました。会長、どうかご無事で」

 そう言って須藤は教会の方へと走っていった。

「さて、不本意だが君と組んで戦うことになったのだが、精々足を引っ張るんじゃないぞ」

「お前には協調性ってやつがないのかよ! これから組む相手に対して上から目線で話してくる奴があるか! お前あれだろ! 体育の時間でストレッチする時誰とも組んでくれないからボッチになるタイプだろ!」

「いいから目の前の彼女に集中しろ! くるぞ!」

 セベクの口の中からまた複数の岩が連続で発射される。

 高渕はガルーダに乗って空中を舞って回避するが、空を飛ぶことができない俺はフェンリルを召喚した。

「フェェェェン!」と吠えるフェンリルの背中に跨ってそのまま駆け回る。

 走り続けていれば石のマシンガンに当たることはないだろう。

「……ふん! 大人しくやられていればいいのに!」

 セベクの攻撃が止まった。

 おそらく口の中に入れていた石が底を切らしたのだろう。

 反撃のチャンスだ!

「いくぜフェンリル!」

 俺がフェンリルの背中に跨ったままセベクに向かって突っ込むと上空から「待て!」と高渕の声が聞こえた。

「迂闊に近づくのはナンセンスだ! 相手はまだ何かを隠している可能性が――!」

「だったらそれを出される前にとっちめてやるまでさ!」

 相手が何かを仕掛けてくる前にフェンリルの爪で一気にカタをつける!

「くらえ! 爪交斬!」

 両手でバツ印を書くように斜めに振り下ろされた両手の爪をセベクに向かって振るった。

 完全に「当たった!」と思った瞬間、セベクの口から何かが飛び出してきた。

 それはさっきと同じ石のマシンガンではなく、巨大な鉄の板だった。

「なに!?」

 鉄の板の出現によってフェンリルの爪攻撃が防がれてしまう。

 鉄をも切断する自慢の爪だが、セベク本体に届くことはできなかった。

「こんなこともあろうかと盾代わりとしてセベクに飲み込ませていたのよ?」

「ちぃ!」

 まさか自分よりも大きなものさえも体内に吸収することができるとは思わなかった。

 例えるならセベクの口の中は四次元に繋がる便利なポケットのようなものだ。

 大小関係なく収納できる無限の空間には、石や鉄の板だけではなく、他にも様々なものが入っていて、あらゆる戦闘に対処できるようにしているに違いない。

 次にどんな手段を使ってくるかわからない敵に、俺は少しだけ後ずさりした。

「だから迂闊に近づくなと言ったんだこの劣等生!」

「テメーは上から文句を言ってないで加勢しろ! ズリーんだよお前だけ空中に逃げやがってさ! そのまま逃げたらぶん殴るぞゴラァ!」

「そんな行動をとるわけがないだろう!」

 大空を羽ばたいているガルーダはその大きな翼を上下に素早く動かし始めた。

 空を飛ぶためではなく、その翼は強い風を発生させるためにバサバサと羽ばたいているのだ。

 ガルーダの力によって生み出された強風は周りの草花を吹き飛ばし、俺の足も軽く浮いてしまっている。

 油断したら自分自身の体も空の彼方へ飛んでしまうかもしれないほどの強風だ。

「この風であいつをひっくり返してやる」

 なるほどな。

 俺のフェンリルと違って博美さんのビーストは四足歩行で移動している。

 四足歩行の生物の体がひっくり返って腹が上に向いている状態にしてしまえば再び同じ体制に戻すには時間がかかるはずだ。

 そこにスキが生まれるわけだな。

「甘いわね」

 セベクの口が大きく開かれた。

 もしかしてまた何かを吐き出してくるのかと思ったら何も出てこなかった。

「いや、これは!」

 セベクの「放出」とは違うもう一つの別の能力。

 これは「吸収」だ。

「やめろ高渕! あいつはこの風さえも飲み込もうとしている!」

「何っ!?」

 こればかりは計算外だったらしく、高渕はすぐさま風を起こすのを止めた。

 物質以外さえも吸収してしまうなんて思わなかったのだろう。

「もう遅いわ!」

 セベクがガルーダの風をすべて吸い込んだあと、すぐさま吸い込んだばかりの風を俺たちに向かって吐き出した。

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 例えるならこれはミニ台風。

 足の力でふんばることすらできない俺の体は余裕で後方に吹き飛ばされてしまった。

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