4話「記憶喪失の少女とギルドマスターと」
マナとミクは、ステラシア公国の街のひとつ、ステラスラの冒険者組合で冒険者カードを手に入れるために来たが、なにやらやらかしたようで……
「なんか、オーラを感じる……」
二人は冒険者組合の奥へと案内された。その扉からは、威圧のようなオーラを感じる。
「す、すごいオーラですね」
「大丈夫ですよ、うちのギルドマスターは優しい方ですので」
コンコンと受付嬢が扉を叩く。
「ギルドマスター、お連れしました。」
「はいれ」
中から男性の声が聞こえた。
「どうぞ」
「は、はい、行きましょう、師匠!」
「うん、わかった」
中に入ると、とても豪華な椅子と机、装飾がほどこされていた。中央の席に、髭を生やした全身ムキムキの男がいた。この人がギルドマスター?
「座るといい」
「は、はいなのです」
「……」
マナも静かに座る。
男、ギルドマスターが口を開ける。
「『賢者』か……長い間ギルドマスターをやっているが、これは確かに報告ものだな」
「なにか問題でも?」
「そうだな、あるといえばある。おまえさんを悪用しようとする者が出るだろうな」
「やっぱり、」
ミクもそう感じとっていたようだ。
「アウラウネの嬢ちゃんも感じていたか」
「はい」
「?」
「マナ、だったか? なにもわかっていないようだな。まぁ、世の中には黒いやつがいるのさ。そういうやつは犯罪を平気でするやつだ。それに、おまえさんが犯罪に手を染めるかもしれん」
「それはない」
「なぜ、そう思う?」
「わからない、でも、ダメなことはしないし、気を付ける。それに、他の人に迷惑だから。それに、私はそこまですごくないし、できないと思う」
なぜそう言いきれるのかはわからないが、心がそう思うのだ。
「ハッハッハッ! そうかそうか、これは面白い!」
「?」
「いや、すまん。おまえさんがどんなやつか見定めていたが、他人も尊重し、自分を大きく見せない。いい冒険者になるな」
「そうなの?」
「あぁ! 近頃は、自分はすごいと言う阿呆がいるからな。それにしても、賢者か。おまえさんは何者だ?」
「わからない、」
「なに?」
「私は目が覚めたら森にいた。そこでミクと出会った。それ以外の記憶はない」
「そうか……それに、報告に魔導書を持っていたと聞いたぞ?」
「あ、そ、それは」
ミクが黙る。
「いや、別に奪おうなんて考えじゃない。言いたくなければそれでいい」
「これも、目が覚めたら近くにあった。名前を言えば、そのものの名前と説明が出てくる」
「師匠!?」
「なんと……ふむ、もしやお主は転移者か?」
「転移者? ……あ、」
説明「転移者とは異世界から迷い込んでくる存在のこと」
「はい、ですが、滅多に見ませんね」
「そうなんだ、」
「しかし、記憶喪失か。よし、こちらで、おまえさんの出自を調べよう」
「え?」
「いや、これは単に私が気になるだけだ。気にするな。これからどうするんだ?」
「記憶?を探したい、」
「でしたら、私と旅をしましょう!」
「旅?」
また知らない言葉。
「はい! 仲間と一緒に、時には一人で歩き回ることです」
「なるほど……うん、そうする」
「決まりのようだな。それと、おまえさんのことは国には秘密だ」
「どうしてなのです?」
「自由に旅をしたいのなら、国の管理下では狭いだろうからな。これは私からの配慮だ」
「…………ありがとうございます」
「いや、礼はいらぬよ。そうだ、旅をするなら地図がいるだろう。これを持っていけ」
マナは、ひもで繋がれた紙を渡された。
「地図だ、」
「世界の地理のってある紙ですよ! すごいです、高いのに、いいのですか?」
「あぁ! 持っていけ、私のお下がりだ」
「「ありがとうございます!」」
二人で礼を言う。ギルドマスターはにこにこしていた。
二人は冒険者組合を出て広場に出た。
「師匠! まずは武器と野宿用の道具を揃えましょう」
「?……わかった」
「それでは出発です!」
こうして、二人の旅の第一歩がスタートした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




