30話「記憶喪失の少女とキラライフ族の集落の案内」
マナとミクとホシノは国境を越え、レグナード王国にやってきた。そこで近くの集落で亜人部族のことを聞き、向かうことにした。その家々は近くで見ると、星の上半分が屋根になっているような形をしていた。
それはキラライフ族の集落だと知ると、ひとりの少女が飛び出してきた。
「私はランプだよ!おねぇさんたちは?」
少女ランプが首をかしげる。
「私はマナ、記憶を探して旅してるの」
「アウラウネ族のミクです」
「スターリー族のホシノだよ!」
「部族をつれた旅人!すごいです!初めて見ました」
ランプは目を輝かせながら三人を見上げた。黄色い魔法服はよく手入れされていて、金色の棒状の杖もぴかぴかと光っている。明るく元気な声からは、人を警戒する気配がまったくなかった。
「えへへ、私たちも、こんなふうに集団で旅をするのは少し珍しいかも」
マナがそう言うと、ランプはますます興味深そうに身を乗り出した。
「やっぱり! でも、楽しそうです! それで、おねぇさんたちはどこから来たの?」
「ステラシア公国の方から」
ミクが答える。
「へぇー! そんな遠くから! すごいです!」
ランプは感心したようにうなずいた。すると、集落の奥から別のキラライフ族たちがちらりと顔を出し、三人を見ては安心したように引っ込んでいく。どうやら、この集落では来訪者に対して強い警戒を向けるというより、まず話を聞くのが自然らしかった。
「マナ、でいいの?」
ランプが小さく尋ねる。
「うん」
「記憶を探してるってことは、いろんなところに行くんだよね?」
「そう。いろんな亜人の部族に会いたいの」
「わぁ……かっこいいです!」
ランプは両手をぎゅっと握った。
「だったら、もっと見ていってください! キラライフ族のこと、私が案内します!」
「いいの?」
ホシノが目を輝かせる。
「もちろんです! せっかく来てくれたんだもん。案内しないと、もったいないです!」
そう言うと、ランプは杖を持ったままくるりと振り返った。
「こっちです! まずは集落の真ん中に行きますよ!」
ランプに促され、三人はそのあとをついていくことになった。家々の間を通る道は思っていたより広く、歩きやすい。星の形をした屋根がいくつも並び、壁には黄色い飾り布や小さな星型の飾りがかけられている。風が吹くたびに、それらがかすかに揺れて、きらきらと光った。
「すごいね……どの家もきれい」
マナが思わず言う。
「そうでしょう! みんなで飾るのが好きなんです!」
ランプは得意そうに胸を張った。
「キラライフ族は、見た目も明るいけど、中身も明るいんですね」
ミクがやわらかく笑う。
「えへへ、そう言われるとちょっと照れます。でも、争うのはあまり好きじゃないです。みんなが元気で、楽しくて、笑っていられるのが一番だって、昔から教わってますから」
「それ、すてきなのです」
ミクの言葉に、ランプはうれしそうにうなずいた。
「でしょう? だから、困っている人がいたら、できるだけ助けるんです。元気になる魔法も、みんなをハッピーにするためにあるんですよ!」
ホシノが興味津々で前のめりになる。
「元気になる魔法?」
「はい! でも、人の心を無理やり変えるのはだめなんです。幸せは、自分で見つけるものだから」
その言葉に、マナは少しだけ目を細めた。どの部族にも、それぞれの考え方がある。その中で、自分たちの信じることを大事にしているのだろう。
「うん、なんだかいいね」
マナがそう言うと、ランプはにこっと笑った。
「ほんとですか! なら、もっと案内しがいがあります!」
そうしてランプは、集落の奥へと三人を案内していった。広場のような場所には、星の形をした小さな石碑が並び、そのまわりで子どもたちが楽しそうに駆け回っている。黄色い服を着た大人たちは、手にした金色の杖で何かを教え合っていた。
「ここが、みんなが集まる場所なんです!」
「にぎやかでいいね」
ホシノが笑う。
「夜になると、もっときれいなんですよ! 魔法の光を使って、星みたいに輝くんです!」
「見てみたい……」
マナがつぶやく。
ランプはその言葉を聞いて、ぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、夜までいたら見られますよ! よかったら、もっとゆっくりしていってください!」
三人は顔を見合わせる。
旅はまだ続く。けれど、こうして立ち寄った場所で、その土地のやさしさに触れられるのはうれしかった。マナはランプの明るい笑顔を見ながら、ここでもまた、新しいことをたくさん知れそうだと思った。
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次回もお楽しみに




