21話「記憶喪失の少女と風車の町『エアロバブル』」
マナとミクとホシノは丘を登り、ステラバブル高原へとやってきた。ステラバブル高原はシャボン泡が飛び交い、そこら中が泡で満ちているため、注意して歩かなければならない。道は整備されていて歩きやすいので、道を通って三人は進む。目の前に見える風車の町『エアロバブル』に向けて。
「ついた~!」
ホシノが両手を上げて叫ぶ。
風車の町『エアロバブル』も、他の町と同様に木組みでできた建物が立ち並んでいた。とても涼しい風が吹き、風車を回しながらシャボン泡を運んでいく。シャボン泡は時には壁にぶつかり、時には天高く舞い上がる。
「町のなかにも、泡あるんだね......」
「そうですよ、師匠。町のなかにも泡草がありますし、外からも泡が飛んでくるので、町のなかでも見られますよ。」
ミクが説明する。
その泡たちは陽光を浴びて不思議な輝きを放ち、とても幻想的だった。風が吹くたびに、泡はゆらゆらと揺れながら町中を漂っていく。
「ねぇねぇ! もっと見て回ろうよ!」
ホシノが元気良く言う。
「ですね♪」
「うん......」
三人は中央広場へ向かった。
町中には泡が漂っていて、少し転びそうになったが、気を付けながら進み、やがて中央広場へたどり着いた。
「ここが真ん中......」
「わぁ~! おっきな噴水!!」
ホシノはライドスターで噴水の周りを回る。
見たことがないのだろうか、という様子でミクが少し笑う。マナもまた、不思議なものを見ているような表情をしていた。記憶喪失のマナにとっては、すべてが新しい景色だった。
噴水からは澄んだ水が勢いよく吹き上がり、飛び散った水滴に泡が重なって、まるで光る粒が宙を舞っているようにも見える。風車がゆっくりと回る音、水の流れる音、そして泡が弾ける小さな音が重なり合い、この町ならではの穏やかな空気を作り出していた。
「ねぇ、ミク?」
「なんでしょうか、師匠?」
「泡があって危ないけど、キークライ族もここが好きで居心地がいいから住んでるのかな?」
マナがそんな言葉をこぼす。
「......だと思います。」
ミクは少し間を置いて答えた。
ミクも亜人部族だからこそ、他の部族については知らないことも多い。それでも、きっとこの土地にはキークライ族が暮らし続ける理由があるのだろうと思い、そう答えた。
「ホシノさ~ん! そろそろ、探しますよ~!」
「はーい!」
ホシノは上空からゆっくりとライドスターで降りてくる。
「どこから探す~?」
「そうですね、......冒険者組合で聞いてみましょう。」
「うん......」
三人は町の中央広場を後にし、冒険者組合へ向かった。
組合の建物も他の町と同じく木組みで造られていたが、風車の町らしく窓が大きく作られており、涼しい風が建物の中を通り抜けていた。
中へ入ると、受付には一人の受付嬢が立っていた。
「お帰りなさい。なにかご用でしょうか?」
受付嬢が笑顔で答える。
「キークライ族がどこにいるか、しらない?」
「キークライ族......ですか? そうですね............」
受付嬢は少し考えたあと、ステラバブル高原の地図を取り出し、一か所を指差した。
「ここですね。」
「ここから北西方向ですね。」
「ありがとうございます!」
「いえいえ、......行くさいはお気をつけて。」
「はいなのです。それでは行きましょう!」
「うん.....」
「オッケーだよー!」
三人は受付嬢にお礼を言い、冒険者組合を後にした。
町を吹き抜ける風は変わらず心地よく、風車はゆっくりと回り続けている。空にはいくつものシャボン泡が浮かび、町全体を幻想的な雰囲気で包み込んでいた。
こうして三人は、キークライ族の集落の場所を教えてもらい、その集落へ向かうことにした。
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