19話「記憶喪失の少女と歩きだす三人」
マナとミクはホシノの冒険者カードを作りに冒険者組合へ行った。そこでカードを作り、次の目的地を決めて向かった。そのままステラエルムウッドの門を出て、次の目的地「ステラバブル高原」へと向かう。
石畳の道を抜け、街の喧騒が少しずつ遠ざかっていく。見慣れた建物が背後へ流れていくたびに、旅がまた一歩進んでいくのを感じた。マナにとっては、知らない土地へ向かうたびに胸の奥が少しだけざわつく。それでも、隣にミクがいて、さらにホシノも仲間としてついてきている今は、不思議と怖さばかりではなかった。
説明「ステラバブル高原」泡草と呼ばれるシャボン泡を発生させる草がそこら中に生えている高原、夕日に照らされるととても幻想的で人気の場所でもある。キークライ族の集落もそこにある。
「へぇ~それがなんでも教えてくれる魔道書か~」
マナはホシノが仲間になったので隠していたことを話した。今なら、隠しごとをする必要もない気がしたのだ。
「うん、」
「ねぇ!キークライ族も出してよ」
ホシノがマナの肩によりかかる。ライドスターの上で揺れながらも、その表情は興味でいっぱいだった。
「うん、キークライ族って?」
説明「キークライ族」亜人の一種。身体から常に半透明の帯が出ていてキークライ族以外が触れることはできない。とてもおとなしくあまりしゃべらないが物々交換などで交流できる。悲しみや思い出を大切にする文化。言葉よりも贈り物や行動で気持ちを伝える。
「へぇ~......なんか、不思議な部族だね。」
「うん、でも、交流はできそう......」
「はい!キークライ族は争いを嫌いますので、それに、その辺の何の変哲もない石ころや雑草などでなければ交換するものは気持ちや想いがあればなんでもいいですよ。」
ミクがそう言うように、気持ちや想いがあればなんでもいいようだ。そんなものを集めてなにするんだろう? マナはそう思った。
キークライ族は、言葉よりも行動や贈り物を大切にするらしい。相手に何かを渡すというより、自分の思いを形にして差し出すような文化なのだろう。これまで出会った部族とはまた違う、静かで穏やかな空気を持つ種族なのかもしれない。マナにはまだ想像しきれないが、きっとまた、知らない世界を教えてくれる相手になるのだろう。
「へぇ~、会うの楽しみかも!」
「ですね、じゃあ、夜になる前にこの丘をこえましょう!」
ミクの言葉にうなずきながら、三人は歩みを進める。目的地はまだ先だが、空の色は少しずつ夕方へ傾き始めていた。ステラバブル高原は幻想的な景色で知られているらしいが、夜になる前にたどり着かなければ、その光景を十分に見られないかもしれない。
マナは時の流れに身を任せながら、前方を見つめた。まだ見ぬ部族、まだ知らない高原、そしてこれから出会うかもしれない記憶の手がかり。旅は少しずつ、しかし確かに広がっていく。ホシノが加わったことで、移動の空気も少しにぎやかになり、最初よりもずっと旅らしくなっていた。
こうして三人は、次の目的地へ向けて歩きだす。まだ見えない景色の向こうに、どんな出会いが待っているのかはわからない。それでも、今はただ前へ進むだけだった。
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