稲瀬 みつ
私は目を覚ました。
不思議なことに鬱ではなかった。
少しスッキリしたような感じでふと笑みを浮かべた。
一人称も「おれ」から「私」に戻した。
もう拓馬に対し自分の性別も誤魔化す必要がなくなったからだ。
彼は私の事を家族とも呼んでくれた。
嬉しかった。
ズキリ
胸が痛んだ。
この痛みは病気、傷などが原因ということではない。
恋の痛みだ。
「痛い、悲しい、好き」
これが組み合わさって私を責める。
私はある意味病んでいるのかもしれない。
「恋の病」というやつだ。
改めて考えると愛はすごい。
人を育たせ、人を傷つける。
まるでオセロのようだ。
でもいいんだ。
拓馬がそれでよければそれでいい。
拓馬が幸せなら私も幸せ。
二人の事を応援しよう…。
私にできるかな?
やっぱり拓馬の事が好き。
これはどうにもすることはできない。
恋でできた傷は愛がないと癒えない。
たくさん笑いあってきた日々の中で積み上げてきたこの思い、今更崩せと言われても城の土台のようになかなか崩すことはできない。
そもそもなんで私は性別を誤魔化したの…。
そうだ、思い出した。
このことが当たり前だったから少し思い出すのに時間がかかった。
確か始まりは両親が殺されてしばらく経った時だったと思う。
一人だけの生活、躁鬱な毎日。
せめてのしのぎとして性別を変えた。
男として強く生きる、絶対泣かないのだとそう決めた。
しかしそれらを達成することはできず泣いて、叫んで、リストカットして…。
悪い思い出だ。
そんなゴミのような私の人生の中に変化を起こしてくれたのは拓馬だった。
彼は自分の病みを持ちながらも私を支え、止めてくれた。
気が付くと私は女としての気持ちを思い出していた。
どんどん好きになっていく。
でも彼からしたら私は男。
言い出すこともできず「伊藤 雪」という女の子を連れてきた。
正直殺そうかとも思った、でも拓馬との関係を崩したくない、悩んでいる姿を見たくない、それらの理由でその女と仲良くすることにした。
でもある日恐れていたことが起こった。
拓馬に彼女ができた。
伊藤 雪という名前の彼女が。
その日の晩私は拓馬が寝ている間彼と性行為をした。
互いの性器を交じり合わせた。
その時の感情ははっきりと覚えている。
性行為は快感が原因でやめれなくなるとよく聞いていたが多分それは違う。
気持ちいのではない。
「彼と繋がっている」
これが本当に幸せで幸せで。
でも満足ではなかった。
拓馬の愛しているというその言葉が聞きたかった。
人はどんどん高みを目指してしまう、悪いところだ。
性行為の次は、次はつぎはつぎはtugiwa
依存してしまった。
wizardに依存してしまった。
クラミティ化しそうになってしまった。
伊藤 雪を
東 拓馬
を傷つけてしまった。
でも拓馬は私を許してくれた。
だから私も諦める。
苦しいけど仕方ない。
私は本当に「東 拓馬」が大好きだ
本当に愛しているのだ。




